永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
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公的年金制度は必要か(その2)

2012-06-27 | 社会保障制度

国家(政府)と個人(民間)、全く同じことをやっても、前者は合法、後者は違法になる行為が少なくない。 戦争と死刑はその代表的なものだ。 国家はどちらも合法だが、個人がやったらただの殺人である。

古来から法学者たちを悩ました哲学的課題だが、両者の線引きはどこにあるのだろうか。 おそらく、線引きの確定は永久にできないだろう。 ただ確実に言えることは、20世紀後半から、両者を同じ規範で語ろうという傾向がでてきている。

死刑廃止論はその典型だ。 戦争でも、兵士たちの戦争犯罪が半世紀前とは比べ物にならないくらい厳しく監視されている。 国家主権と言っても、具体的実体があるわけではない。 その主権を行使しているのは常に一部の政治家や官僚、軍人たちだ。 国家の大義の下、権力行使者の立身出世や利権拡大のために国権が私用される恐れはつねにある。 戦前の軍官僚の暴走もそうだ。 しかも、それを積極的に支持したのも当時の新聞だったのではないか。

だからこそ、国民主権を前提とする近代民主国家では、彼らへの主権委任方法、彼らの主権行使を厳しく監視しなければならない。 もちろん、その先導役は第四権力と呼ばれるマスコミと学識者たちである。 ところが今回、マスコミとほとんどの識者は、財務省の旗振り役を務めただけだった(後々のエクスキューズとしての反対記事は散見したが)。 文系エリートを更迭できる制度がない日本では、マスコミ、識者の裏切りは特に深刻だ。

今回の民主党の詐欺話、マニフェストならぬサギフェストは、近代民主国家の根幹を傷つける重大な瑕疵だ。

だが、選挙制度も民主主義も、明治時代に近代国家を作る方便としてヨーロッパから輸入した借りモノの制度と思想だから、誰もこの重大な瑕疵を真剣に考えない。 『しょうがない』という無気力モードになっている程度だ。 ただ、日本のマスコミと識者たちには、有権者の政治無関心を批判する資格などないことだけは確定した。

年金制度から脱線してしまいましたが、明日は戻ります。おやすみなさい。

 


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民主党の変心の奥にあるもの (ラブリースノー)
2012-06-27 23:27:22
「年次改革要望書」を読めば、自民党政権は米国の要請に応えるために努力していたことがわかります。
・談合規制
・郵政民営化
・ISO
・消費税 etc.

社会党村山内閣は、それまでの主張を180度方向転換し、日米安保・自衛隊を受け入れました。

民主党も、政権に就くと反米から米国追従に態度を変えました。
・沖縄米軍基地
・TPP
・消費税増税

公約違反の増税は、勝栄二郎事務次官を頭とする財務官僚に、政治家が屈したようにも見えます。

しかし、穿った見方かも知れませんが、野党が政権の座についた時にわかることがあり、それによって野党時代の主張を捨てざると得なくなるのではないでしょうか?

総理になってわかること…
「エッ!日本って米国の51番目の州なの?」 
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