福祉生活病院常任委員会の地下水条例に関する県内調査の2日目は王子製紙米子工場から始めました。
大場英之工場長=下の写真の右端から2人目=から「製紙にとって水は欠かせません。日野川の伏流水、地下水、の3つから水を得ていますので、その現状等を説明したいと思います」とご挨拶いただいた後、会社と王子工場の概要をまとめたビデオを見せていただきました。以下はビデオの概要です。
王子製紙は木を育て、森を守るとフォレストカンパニーであり、米子工場はその主力工場であると分かりやすく説明する映像でした。輸入したチップからパルプを製造、さらに抄紙工程、塗工工程、仕上げ工程を経て紙が出来上がるまでの流れの解説もあり、機械化が進んでいることが印象的でした。環境に積極的に取り組んでいることの説明もありました。2005年に稼働した新ボイラーはRPFや生産過程で出る製紙スラッジを燃料にしており、CO2を70%削減したこと、配水は生物処理などをして水質改善を努めていること、地域での割り箸回収などグランドワークをしていることなどが説明されました。
工場の現況と地下水の取水状況について、前田英典事業部長=上の写真の左端=から説明を受けました。以下は概要です。
木と水が製紙の命。60年前工場ができたが、日野川の水、中国山地の木がこの地が選ばれた理由だった。9万6000トンを日野川から取水している。加えて工業用水、地下水を使っている。
チップを煮てセルロースという繊維を取り出す工程で水がいる。大量の水の中に繊維が溶けていて、その水を抜いていって紙にするのが製紙。王子製紙は国内で19万ヘクタールの社有林があるが、これは民間では最大。中国地方には1万4134ヘクタールある。海外は24万ヘクタールあり、これを2015年までに30万ヘクタールに増やす。塩害を防ぐ意味もある。国内での森の役割は、木材の供給だけでなく、水源涵養、土壌流出防止など様々な役割がある。北海道では湧水もボトリングして販売している。
採水の状況は長谷川直樹パルプ部長=上の写真の左端から2人目=から「 井戸は8本。採水量は日量1万6900トン。給水能力は2万3620トン。構内の1本は水道用として日吉津に供給している。7本が工場構内、日吉津井戸は敷地の外にあり、ポンプとパイプで構内に送水している」などとお聞きしました。
質問にも丁寧に答えていただきました。
Q 採水量の説明を
A 工場稼働日の平均日量です。の流量計が付いているのが3本。残り5本は推計で出している。
Q 能力は
A 井戸の能力からいって目一杯と考えている。給水能力は設計時で井戸は年々落ちてきている。
Q 吐水口は14センチよりも大きいか
A 全部の井戸で大きい
Q 水は公水と考えているのか、私水のものと考えているのか、社としての基本的な考えは
A 水は使わさせていただいているというスタンス。そして、これからも使わせていただきたいと思っている。きっぱり分けて考えてはいない。水はみんなのもの。
Q 井戸と工業用水の関係は
A 節水もあったし、一番利潤の出る方法を採用した。県にご協力き、2本の井戸を掘らせていただきました
Q 大山への涵養は。節水は。井戸の水位を測るようなことはしていないか。排水の水質だが排水処理はどうなっているか
A 中国地方に1万4000平方メートルの森があり、全国で年間5億円かけている。日野川の伏流水は水位を常時見ていて、渇水時は操業を落としている。井戸も水位レベルを見ている。排水については県、市、村と国の基準よりも厳しい水準で協定を結んで、毎月調査している。
Q 水を取れば水が減る。その分涵養するという考え方がいると思うが
A 水をどこで取るのかが問題ではないだろうか。たくさんの水を取っているが、下流で取っている。水を取れば水が減ると単純なものではない。
Q 井戸水はどうして使っているか
A 無濾過で使っている
Q 伏流水の採取量は。日吉津井戸は敷地外だが、どういう位置づけか。
A 伏流水は9万6000千トンを上限として国土交通省と取り決めている。工業用水は5000トン。日吉津井戸は王子製紙の所有地。配管の7割も所有地で、できるだけ購入しようとしている。
Q 排水ですが、水のリサイクルは可能なのか。
A リサイクルはできることはやっている。しないと何十倍もの水が必要となる。しかし、排水を再利用して使うのは紙のような付加価値が低い製品ではなかなか難しい。排水は海岸から300メートル沖で海中に排水している。
Q 高度紙工業さんが井戸を掘って操業を始めた。その影響は
A 日吉津井戸が一番近いが影響は出ていない。
Q 伏流水の実際の使用量は。
A 日量9万4000トンから9万5000トン。ほぼ上限いっぱいです
Q 水のリサイクルでやっていることは何か。
A 紙漉を考えていただけば、同じ水で何度も紙を作っているので、それがリサイクルと言えばリサイクルになるのでは。何%という形ではななかなか出ない
Q 採取量や水位を県へ報告することへの抵抗感は
A ありません。
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