会派「かけはし」は9月補正予算案に対する会派要望を提出しました。政務調査で東京に行った成果が「【1】食の安心安全を確立することで県産食品のブランド化を奨められたい」です。福島原発の汚染水疑惑を知った私たちが、この要望で島根原発でもあるのではと指摘したところ、汚染水が漏れていたことが相次いで発覚。予感はあったものの、残念な結果となりました。平井知事は「提案の趣旨は理解できるので、担当部局、関係者とも相談して回答したい」とのことでした。前向きな回答をいただけるのではないかと期待しています。
【1】食の安心安全を確立することで県産食品のブランド化を奨められたい。 国内の人口減少、TPPへの参加などを考えるとき、県内の農林水産業は苦難の時代を迎えるのではないかと深く心配しております。様々な支援策を考えなければならないと感じていますが、そのひとつとして、ISO9001/ISO22000/HACCP/GNPといった食品の国際認証取得を県内企業に積極的に奨め、鳥取産の食品は安全安心であるとのブランドを確立し、以って国際市場へ打って出るという展開を提言したいと思います。加えて、大手サプライチェーンの中には、認証取得を納品の条件にする企業が増えているのも現実です。そこで、以下の5点を9月補正予算に合わせて提案いたします。
(1)食の安全・安心プロジェクト推進事業補助金の追加予算を計上されたい 食の安全・安心プロジェクト推進事業補助金は平成25年度と同26年度の新規採択分として4,000万円が計上されました。一次募集では17件1439万9000円が採択され、二次募集がなされています。海外認証の上限は500万円であり、現在の予算では1件採択されれば半分が消化され、このままでは早晩、予算が尽きてしまいます。9月補正予算では追加予算を計上し、食の安全・安心プロジェクト推進事業を実効あるものしていただきたいと存じます。
(2)国際認証継続のための支援策の検討されたい 国際認証は取得しても、毎年の検査での更新が義務付けられています。一度取得した認証を継続審査で失うようなことがあれば、企業にとっては企業の命運に関わる信用問題です。そして、継続していることこそが認証の世界では信用を形成していきます。認証が継続できるような支援制度の新設を検討していただきたいと存じます。
(3)県主催のセミナー開催などで人材を育成されたい 食の安全・安心プロジェクトの推進には人材育成が欠かせません。企業がそうした人材育成を目指す場合は、食の安全・安心プロジェクト推進事業補助金から人材育成事業費を受け取り、講師の旅費やセミナー参加に充当することができますが、衛生管理体制構築を目指している意識を持った食料品製造業者の事業でなければならず、しかも補助率は2分の1です。BSIの日本オフィスやGFSIの参加会社で話を伺うと、鳥取県が関心を持った地元企業向けの研修セミナーなどを主催するなら講師派遣などできる限りの支援をするとの話も頂きました。国際認証の裾野を広げるためには人材育成が欠かせませんので、県主催の研修セミナーの開催などの実施の検討を始めると共に、必要な経費を9月補正予算に計上していただきたいと存じます。
(4)認証取得に特化した制度融資の新設されたい。 HACCPなどの認証は食品の危険因子分析に基づく運用管理のルールですが、認証を取得するために工場設備の改善が必要になることもあるようです。このことから、認証に及び腰になりがちな企業があるという声を聞きます。現行に制度融資でも工場の設備改善に融資を受けられはしますが、認証取得に特化した制度融資制度があれば、こうした不安の払拭の一助になると考えます。制度名称の新設だけで新たな予算措置も必要ないので、検討していただきたいと存じます。
【2】境港のマグロの冷凍施設の拡充 漁業者の経営を安定させるためには、市場開拓など様々な努力がなされていますが、魚価を上げていくことが何より重要です。漁法の改良や取った魚の処理、大都市圏へのPR活動などに県が取り組まれていることに敬意を評しますが、デパートやサプライチェーンとの取引量が増えてきているとはいえ、まだまだ市場の競りを通してのルートが流通の中心です。市場の価格変動を見つめながら、供給過剰時には冷凍保存して出荷を見合わせ、反対に需要過剰時に積極的に出荷することが有効であると考えます。境港ではマグロの水揚げが注目されていますが、冷凍技術の発達に伴い冷凍マグロの市場ニーズも大きなっています。そこで、市場価格の変動を見ながらマグロを出荷できるように市場施設としてマグロの冷凍施設を境港に建設することを提言します。来年度からの事業着手を視野にマーケッティングリサーチなど検討費用を9月補正予算に計上していただきたいと存じます。
【3】手話言語条例を実行あるものにするための予算計上されたい。 手話言語条例の制定に向けて研究会での議論が4月から始まりました。私たちの会派「かけはし」は鳥取県ろうあ団体連合会からの要望も受け、手話言語条例の制定を知事要望などで訴えてきただけに、平井知事の姿勢に賛同すると共に、敬意を評したいと思います。9月にも手話言語条例が上程されるものと期待しておりますが、条例には手話に関する総合施策に関する計画の策定や手話に関する環境整備などが盛り込まれると県民説明会などで説明されています。聴覚障害者の皆様の期待を集めている条例ですから、条例制定と同時に手話通訳者の養成、温度差のある市町村の施策の平準化などの喫緊の課題と取り組んで欲しいと思います。条例制定を受けて必要育成の予算を計上すると、施策の実施が遅れます。条例制定と同時に様々な政策を実行に移せるよう、条例制定という条件を付して必要経費を計上していただきたいと存じます。
【4】都市緑化フェア開催に合わせ、「緑の都市空間創造計画」の検討をされたい。 いよいよ9月21日から全国都市緑化フェア「水と緑のオアシスとっとり2013」が開催されます。全国からの誘客を想定し、県費5億円を投入する事業ですので、遺漏なく準備を進めていただいていると思いますが、重ねてのご努力をお願いします。情報発信力の弱い鳥取県においては、一昨年は海、昨年はマンガ、今年は緑、来年は障がい者福祉と、毎年何かのテーマを決めてイベントを展開することは必要だと思いますが、一過性のイベントにとどまることなく、海づくりの充実、マンガという地域産業の創造、緑の地域づくりの進展などが地に足を着けた形で進むことを望みます。今回の「水と緑のオアシスとっとり2013」も同様です。森林の多い鳥取県ではありますが、市街地は緑が多いとは言えないのでしょうか。特に鳥取市は街路樹が少なく、貴重な鳥取駅前の緑も不可解な看護学校誘致計画に伴い消滅することになりました。県が主体になって市町村と協力して「緑の都市空間創造計画」(仮称)をつくり、計画的に都市空間に緑を増やしていって欲しいと存じますので、検討を開始していただきたいと思います。
【5】ゲリラ豪雨の私有地被害に対する災害復旧支援制度の新設されたい。 県内でもゲリラ豪雨の被害が発生しています。しかし、ゲリラ豪雨は被災地域が狭いことから激甚災害の指定がなされることは少ないようです。県内に大きな被害をもたらした今年7月15日をはじめとする一連の集中豪雨も、農林水業に限っての激甚災害の指定でした。そうなると県民の復旧と復興を支えるのは県と市町村となります。自然の急傾斜地等であれば復旧の支援制度はありますが、人工造成など崖などに人の手が入れば援助を受けることも出来ません。社会福祉施設でも、復旧費が80万円を超える場合は支援制度がありますが、工事費が80万円を下回る場合は自力で復旧するしかありません。社会福祉法人で不正経理が相次いで発覚したため、社会福祉法人は裕福だとの誤解も生じてきていますが、多くの社会福祉法人は質の高い福祉サービスを目指したり、初期投資の返済に追われたりして、規模は大きく見えても、経営が安定していない法人も少なくありません。ゲリラ豪雨でどのような支援策が必要か調査していただき、支援制度の新設を検討していただきたいと存じます。
【6】湖山池の水門開放による環境影響調査の実施し、湖山池将来ビジョンを抜本的に見直しされたい。 湖山池将来ビジョンに基づき実施された水門開放は、淡水湖だった湖山池を汽水湖に帰るもので問題が多かったと本会議で提言したところです。アオコとヒシが激減し、悪臭がなくなって生活環境が改善されたと評価されているとのことでしたが、淡水の生態系は破壊され、フナなどの大量斃死による悪臭も発生し、水門開放は止めて欲しいという生物学会等からの陳情も出されています。水門開放は工作物でないため、県環境評価条例では環境アセスメントは義務付けられていませんが、一度、地域の生物学研究者にも参加していただいて正確で詳細な環境アセスメントを実施し、水門開放による影響のシミュレーションを実施していただきと思います。高い潮位や猛暑による流入水量の減少などが県議会の委員会で県側から説明されましたが、これは想定すべき事態であり、事前調査が稚拙だったと批判されてもしかたありません。魚の大量斃死は水門を開放して湖水の塩分濃度を上げたため、塩分躍層が発生し、貧酸素化が進んだためとの指摘もあります。環境アセスメントの結果が出れば、その結果を専門家や地域住民に公開し、しっかりとした議論を重ねて、本当に今の湖山池将来ビジョンでいいのか検討していただきたいと存じます。
【7】照明施設や屋内練習場など県立高校の体育施設等の格差を調査し、解消する方向で取り組みを始められたい。 甲子園では球児たちの熱闘が感動を呼んでいますが、大きな舞台での活動は生きていく上で大きな支えになるでしょうし、チームワークの大切さや仲間を信じることの大切さなど社会に出てから役に立つ多くのことを学ぶことが出来、高校における部活動は教育効果の高い活動であると思っています。全国大会に出場した学校は、先輩たちの努力で多額の出場費をカンパで集めたものの勝ち進むことなく敗退し、残ったカンパで照明施設や屋内練習場などを整備し、格段に充実した体育施設を持つ学校も出ています。その一方で、こうした経験のない学校の体育施設の整備は遅れているように思えます。もちろん先輩方や保護者の皆さんのご努力で整備されたものではあり、そのご努力には敬意を表しますし、特色ある学校運営という面からは評価すべきでしょうが、強豪校とそうでない学校の間に大きな格差が生じるのも、公教育の中では問題があると存じます。そこで、一度、体育施設等の状況を調査していただき、整備の遅れている学校については新年度以降、格差を解消する方向で予算計上していただきたいと存じます。
【8】島根原発の汚染水対策を検証していただきたい 資源エネルギー庁が公表した推計では、福島第1原発1~4号機では主に裏手の山側から1日あたり1000トンの地下水が流れ込み、400トンが建屋のひび割れ部分から中に入っている。残りの600トンは海に流れ、このうち300トンは建屋の地下とつながるトレンチ(坑道)などの高い濃度の汚染水と混ざってから海に流出していると見られています。首都圏では太平洋側で取れた魚介類は敬遠する動きすら出ています。島根原発の地下構造を精査して地下水脈を探り、万が一、事故が起きた場合の汚染水対策を事前に講じるよう中国電力に求めていただきたい。
【9】メタンハイドレート研究の人材育成を図られたい 日本海側、特に山陰沖のメタンハイドレートの調査も来年度から予定されるなど、表層型メタンハイドレートに関する関心が高まりつつあり、資源エネルギー庁でも、砂層型のメタンハイドレート開発への志向が高まってきています。長期間、そして、多額の投資を必要とする資源開発ですが、他府県をリードするには何をおいても、人材育成が重要になってきます。ところが、国内ではメタンハイドレートの研究者は数えるほどしかないのが実情です。他所から連れて行くのでは定着するのは難しく、人材育成は時間がかかります。本会議でも提案いたしましたが、公立化された鳥取環境大学に資源開発とリサイクルの講座を新設するための検討を始めていただきたいと存じます。
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