Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

お蚕さま

2005-08-07 09:33:28 | 農村環境
 信州中条「まゆっこ」を購入した。蚕20匹である。わたしの家ではかつて蚕を飼っていた。わたしの家だけではない。かつては養蚕が盛んで、一時代を築いたものである。子どものころ上座敷と下座敷に蚕を飼っていたもので、上座敷の隣が寝室であったことから、夏蚕のころは、戸で隔たることもなかったので、ほとんど蚕と一緒に寝ていたようなものである。桑を食べる音が賑やかで、今でも忘れられるものではない。そうした養蚕も、昭和40年代ころからいっきに衰退し、現在でも養蚕を行なう農家は、たとえば伊那谷の下伊那郡でも数えるくらいという。
 もう何年もじかに見たことはなかった蚕であるが、久しぶりに見た蚕は、昔の蚕と同様かわいい姿であった。中条村ではこの蚕のセットを販売していて、それを購入したものである。毎年こうして販売しているようである。送られてきた蚕は4~5齢の幼虫といい、7月10日に孵化したものという。飼いはじめて10日ほどであるが、オヤトイをした。もう3匹繭になっている。餌になる桑は、探してくれば今でもあるが、安定した桑を手にいれるには手がかかる。このセットには人工飼料がセットされていて、それを与えるとちょうどオヤトイ(上ぞく)までの間に合う。オヤトイに近くなると、頭をあげ繭をつくり出す格好をする。この蚕をオスガキと呼んだ。体の青みが取れて、透き通るような体になる。家で飼っていたころは、マブシというものがあって、その中に1匹1匹拾ってやとい込んだ。いまどきそのようなものも無いので、近い形にダンボールで作ってみたが、枠が大きすぎるのか、気持ちよく入ってくれない。夏蚕は飼い易いといわれる。陽気がよく、成長も早い。
 蚕の糸の長さは800mから1000mくらいという。繭になりかけると、一日というと、外から見えなくなる。5日もたつとさなぎになる。考えてみると不思議な生き物であるが、蚕の姿ほど心を和ませるものはない。もう少し、蚕の時期が長ければペットにもなるかもしれない。それほど見ていて飽きないのである。
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