Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ある谷あいの光景

2024-05-26 23:20:55 | 農村環境

 

 確認したいことがあって、ある市に平成の合併で併合された村を訪れた。長野県内のほとんどの行政区域をおおかた知っているが、この村は一部分を頻繁に通行することはあったが、この村へ行くことを目的で訪れたことは一度もなかった。ようはわたしにとってはあまり詳しくない地域。その最も奥の集落から川を下りながら集落の様子をうかがった。明らかに無住の家が多いエリアから、川を下ることにより次第に人影はもちろん、家々の息遣いが感じられるようになったが、とても気になる光景をあちこちで捉えた。それを捉えたものが写真である。

 まず1枚目は、耕作地の向こうに河原が見える。河川沿いであるから、かつてはこの空間全てが水田だったのではないかと想像するが、今、この空間に水稲が植えられた水田は1枚もない。そもそも数枚は畑作が行われているが、あとは耕作放棄状態である。

 2枚目はずいぶん緑が濃いが、稲が植わっているわけではない。草が生えているのてある。手前から4枚目の水田には人影があって、水が漬いている。田植の準備をされているようで、この空間内ではその方の水田のみ、今年は稲作が行われそうである。

 3枚目は2枚目の写真から少し下って行ったところの水田地帯である。何枚か水が漬いていて、田植が行われるようだが、あとは耕作はされないようだ。

 4枚目はさらに下って行った県道端から1枚通り奥に入ったところの水田地帯の光景だ。そもそもの空間に導くかんがい用の用水路には、水が導水されていない。その理由はこの一帯は全て稲作は行われないようなのだ。集団転作のような空間であるが、たまたま遥か向こうで耕起されている方が見えた。この方だけなのかもしれない、この空間で耕作を試みておられるのは。

 5枚目の写真は4枚目の隣接地。県道端の水田地帯である。用水路に水が導水されているが、水が漬いている水田2枚はともかくとして、その下からは耕作の準備がされていない。少し下ると水田は見えたが、ここまでの印象で捉えると、水田の内水稲が植えられているのは3割から4割程度かと想像する。稲作の植栽率はもちろんだが、耕作率も低いエリアだ。

 6枚目の写真はさらに下って行ったら田植えをされている姿が見えた。が、周囲はみな稲作をされているのかと見渡すと、やはり耕作放棄地が目につく。

 県道が谷の真ん中を通っており、その両側に展開される水田地帯は、耕作されていない耕地が際立って多い。実はこれら多くの水田はほ場整備が実施されている。整備されてから2、30年は経過しているかもしれないが、それにしても耕作されていない水田が多い。空き家が多いのだから当然の姿なのかもしれないが、この傾向は徐々に下流へと下っていく。ところがこの谷あい、人の姿を見ることは、田植の季節なのに少ないが、騒々しい。そもそも県道脇に車を停めていると、車の往来が意外に多いことに驚く。皆がみな、この谷あいに用事があって来るのではない。その先にある高原地帯に用事がある様子。地元のナンバーもたまに見かけるが、ほとんどが県外車。東京近郊のナンバーが中心で、名古屋の方のナンバーも見られる。これだけ他県の観光目的の車が多いと、住んでいる人たちが出て行ってしまうのもわかるような気がする。この暇な往来者が通行する中で、せっせと農業するのも馬鹿げて見えてくる。加えて県道を走る車はけっこうスピードを出して走る。危なくてしょうがない。


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