日本の花・花を詠んだ句

日本に咲いている四季の花・花を詠んだ句を紹介します♪

沙羅の花 見んと一途に 来たりけり

2024年06月11日 | 夏の花


6月に入り暑い日が多くなってきましたね。
こまめな水分補給を心がけながら体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

三重県より素敵な画像とメッセージが届きました♡
“今朝、玄関を開けると沙羅(しゃら)の木の花(夏椿)が咲いていました。
毎年咲くのを楽しみにしているので、朝から嬉しくなりました。”

「沙羅の花 見んと一途に 来たりけり」

昭和時代に活躍された女流俳人「柴田 白葉女(しばた はくようじょ)」が詠んだ句です。

◎沙羅の花(しゃらのはな・さらのはな) → 日本では夏椿(なつつばき)・ 夏の季語

沙羅の花(夏椿)は、朝に咲いて夜に散る・・・
たった一日だけの “無常の花” として古くから愛でられています。

清楚な白い花には気品があり、
“はかない美しさ” に多くの人々が魅了され続けていますね♡
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紫陽花や 帷子時の 薄浅黄

2024年05月23日 | 夏の花


小庭の紫陽花(あじさい)が色づきはじめました。
四季咲きの紫陽花を小さな苗から育てて6年目になります。

昨年は樹高を低くする剪定にチャレンジしておりまして・・・
無事に花芽がでてくれるか心配しておりましたが、
樹高もなんとか1m弱くらいで花が咲いてくれました♡

「紫陽花や 帷子時の 薄浅黄」

江戸時代を代表する俳人「松尾 芭蕉(まつお ばしょう)」が詠んだ句です。

◎帷子(かたびら)→夏用の衣
 帷子時(かたびらとき)→帷子を着る季節

◎薄浅黄(うすあさぎ)→浅黄色を薄くしたような淡い黄色
 浅黄色(あさぎいろ)→薄い黄色

芭蕉は、薄浅黄色の夏衣を着ていたのですね♡
“あさぎいろ” には「浅黄色」と「浅葱色」の二つの色があります。
それぞれの色は全く違う色です。

<浅黄色>:薄い黄色
黄色は、苅安(かりやす)という草、黄蘗(きはだ)という木の皮、クチナシの実など、
今でいう “草木染め” で染められていました。

<浅葱色>:ごく薄い藍色
浅葱色は、藍(あい)で染めた時の薄い藍色。
薄い葱(ねぎ)の色にも似ていることから浅葱色と呼ばれるようになりました。

二つの “あさぎいろ” は、平安時代から使われていた色名です。
江戸時代よりも遥かに色をつくることが難しかった時代・・・
色に対する想いは、とても深かったことと思われます。

平安貴族の女性たちの正装とされていた十二単(じゅうにひとえ)など・・・
衣装でも繊細な色の変化を楽しまれていました。
源氏物語の登場人物たちも、美しい十二単や狩衣(かりぎぬ)を身にまとっていますね♡
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芍薬や 棚に古りける 薬箱

2024年05月13日 | 夏の花


昨日は母の日でしたね♡
小庭では日本芍薬(にほんしゃくやく)が満開を迎えました。
いつも母の日のころに綺麗に咲いてくれます。
球根から育てて七年目になります。

今年は5月に入ってから白と薄いピンクが咲きはじめまして・・・
その後、濃いピンクが咲きはじめ、一昨日に満開となりました。

「芍薬や 棚に古りける 薬箱」

大正時代から昭和時代に活躍された俳人「水原 秋桜子(みずはら しゅうおうし)」が詠んだ句です。

◎芍薬(しゃくやく)→夏の季語

芍薬の花は、開花から三日程度で花が終わります。
我が家の日本芍薬は、花が終わりに近づくにつれて薬のような香りがします。

芍薬は、古くから薬草としても活用されておりまして、
現在も漢方薬に使用されているとのことから、
なんとなく漢方薬の匂いに似ているようにも思います。

この句を詠まれた水原 秋桜子は、
名前に秋桜(コスモス)の花の名前が入っておりますが、男性の俳人です。
本業は産婦人科医で、ご実家の病院が皇室御用達の産科であったことから、
秋桜子もたくさんの皇室の赤ちゃんを取りあげられていたそうです。

芍薬は、昔から漢方薬として極めて重要な植物とされておりましたので、
医師としても大切にされていた植物の一つだったことと思います。

また、「ホトトギス四S(シイエス)」の一人としても知られています。
ホトトギス四Sとは、水原 秋桜子、山口 誓子(やまぐち せいし)、
阿波野 青畝(あわの せいほ)、高野 素十(たかの すじゅう)の四人ことで、
共通のイニシャルをとって四Sと呼ばれていたそうです。
ちなみに四人とも男性の俳人です。

当時、俳句雑誌「ホトトギス」の黄金時代を築いていた四Sの方々が詠まれた俳句は、
現在もたくさんのファンの方々に愛され続けています♡
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風さけて 入り日涼しき 菖蒲の日

2024年04月27日 | 夏の花


もうすぐ端午の節句ですね。
先々月に陶器の雛人形の画像を送っていただいた方より、
素敵な画像が届きました♡

とても可愛らしい陶器の五月人形ですね。
“鯉のぼり”と “お道具”も、とても可愛いですね♡

「風さけて 入り日涼しき 菖蒲の日」

江戸時代に最も活躍された女流俳人「加賀 千代女(かがの ちよじょ)」が詠んだ句です。

◎入り日(いりひ)→沈みゆく太陽・夕日・落日
◎菖蒲(あやめ)の日→端午(たんご)の節句の別名・夏の季語

端午の節句は五節句のうちの一つになります。
端=はじめ、五月最初の午(うま)の日=午(ご)と五(ご)の文字の音が同じということから、
奈良時代以降、5月5日が “端午の節句” として定着してゆきました。

江戸時代には、菖蒲(しょうぶ)=武士を重んじる=尚武(しょうぶ)の節句として、
武家の間で盛んに祝われるようになります。
家の後継ぎとして生まれた男の子が無事成長してゆくことを祈念し、
一族の繁栄を願う重要な行事となり・・・
端午の節句=男の子のための節句として定着してゆきました。

また、“菖蒲(しょうぶ)の湯” に入ることから “菖蒲(しょうぶ)の節句” という別名もあります。
ちなみに菖蒲湯の菖蒲は、花を咲かせる花菖蒲(はなしょうぶ)とは異なる植物になります。

◎葉に香りのある菖蒲=葉菖蒲=サトイモ科の植物
◎花菖蒲=アヤメ科の植物=端午の節句の頃に咲く花

現在では “こどもの日”=子供たちの成長を祝う日として定着していますね。
爽やかな香りの菖蒲湯には、リラックス作用・血行促進の効能があるそうです♡

近所の公園には、美しい菖蒲(あやめ)の花が咲いていました。
これから色とりどりの花菖蒲も見頃を迎えますね♡
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夜桜へ 社を抜けて 行きにけり

2024年04月08日 | 春の花


4月になり、あちらこちらで桜が満開を迎えていますね。
今年は例年よりも少し遅い開花でしたので、
心待ちにされていた方も多くいらっしゃったことと思います♡

「夜桜へ 社を抜けて 行きにけり」

昭和時代に活躍された俳人「高濱 年尾(たかはま としお)」が詠んだ句です。

◎社(やしろ)→神をお祀りしている建物・神社

この画像は、3日前に京都に居ります弟家族から届きました。
いつもお参りしている長岡天満宮の夜桜がとても綺麗で・・・
たくさんの方が訪れていらっしゃったそうです。

今年は息子さん(甥っ子)の高校受験があり、
初めての受験を見守りながら応援されていたご家族も大変だったことと思います。
甥っ子も無事に志望校に合格いたしまして、
一昨日は入学式で、学校の満開の桜と満面の笑顔の画像が届きました (✿◠‿◠)

あっという間に満開になった桜の花々・・・
美しい春の風景は、ほんとうに見ているだけで癒されますね♡
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クリスマスローズ 気難しくて 優しくて

2024年03月19日 | 春の花


一昨日は初夏のような陽気でしたが、今日は一変して寒さが戻ってきたようです。
この時季は、ほんとうに寒暖差が激しいですね。
お風邪などひかれませんよう、どうぞ暖かくしてお過ごしくださいね♡

小庭では3種類のクリスマスローズを育てておりまして、
昨年は白だけが咲かなくて心配しておりましたが、今年は綺麗に咲いてくれました。

「クリスマスローズ 気難しくて 優しくて」

昭和時代から平成時代に活躍された俳人「後藤 比奈夫(ごとう ひなお)」が詠んだ句です。

今年も2月中旬にピンクが咲きはじめまして・・・
3月初旬に濃いピンク、一昨日から白が咲きはじめました。

なぜ昨年は白だけが咲かなかったのか謎なのですが、
白の株まわりの土を根に注意しながら慎重に掘り起こしまして、
新しい用土(培養土+赤玉土)を入れましたところ、
葉っぱの数も増えて無事に開花してくれました。

来年10年目を迎える小庭のクリスマスローズたち・・・
可愛らしい花姿に癒され続けております♡
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ある日ふと 沈丁の香の 庭となる

2024年03月02日 | 春の花


3月になりました。
昨日は風もおさまって暖かかったのですが、今日はとても寒い一日でした。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

小庭では、可愛らしい沈丁花(じんちょうげ)が見頃を迎えています。
小さな苗から育てて5年目になります。
ふんわりやさしい香りに癒されております♡

「ある日ふと 沈丁の香の 庭となる」

大正時代から平成時代に活躍された女流俳人「今井 つる女(いまい つるじょ)」が詠んだ句です。

◎沈丁の香→沈丁花(じんちょうげ)の花の香り・春の季語

沈丁花が咲く時季は、春の嵐の到来で雨の日も多いですね。
手毬(てまり)のように咲く花は、雨風にさらされながら少しずつ咲きそろって・・・
そして、ふんわりやさしい香りを漂わせます。

春のやさしい香りに誘われて・・・
冬の間ずっと休眠していた小庭の草花たちが芽吹きはじめます。
芍薬(しゃくやく)、文目(あやめ)、紫陽花(あじさい)、クレマチス・・・
草花たちも本格的な春の訪れを心待ちにしているようです♡
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紅梅の 宿にもどれば 雛の客

2024年02月17日 | 春の花


もうすぐ雛祭りですね。
三重県より素敵な画像が届きました♡

とても素敵な陶器の雛人形ですね。
お孫さんたちが小さい頃は大きな段飾りの雛人形を飾られて、
ご家族でお祝いされていらっしゃったそうです。

お孫さんたちも成長されて・・・
その後、お気に入りの陶器の雛人形を見つけられて、
お道具などもコツコツと集められて・・・
可愛らしい雛飾りが完成したそうです♡

「紅梅の 宿にもどれば 雛の客」

明治時代〜大正時代に活躍された小説家・俳人・詩人・随筆家「中 勘助(なか かんすけ)」が詠んだ句です。

◎紅梅(こうばい)→赤や濃い桃色の梅の花・春の季語

お庭の紅梅も咲き・・・
可愛らしい雛飾りを愛でながら過ごされていらっしゃるそうです。
ほんとうに見ているだけで心が癒されますね♡




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雪の花 ひろくうつろふ 小町かな

2024年02月12日 | 冬の花


先週、関東地方では二年ぶりの大雪となりました。
日陰の場所には、まだわずかな雪が残っておりますが、
季節は少しずつ春に近づいているように感じられます。
寒暖の差が大きい時季ですので、体調に気をつけてお過ごしくださいね♡

小庭ではスノードロップが咲きはじめました。
球根から育てて5年目になります。
可愛らしい花姿に癒されております♡

「雪の花 ひろくうつろふ 小町かな」

江戸時代に活躍された俳人「榎並 舎羅(えなみ しゃら)」が詠んだ句です。

◎雪の花(ゆきのはな)→雪を花にたとえた語・冬の季語
他にも六花(むつのはな)、雪華(せっか)という雪や雪の結晶をたとえた語があります。

◎うつろふ→移り変わっていく
◎小町→小町娘(こまちむすめ)

スノードロップは、雪の花(ゆきのはな)や待雪草(まつゆきそう)という、
名前でも古くから親しまれています。
日本には明治時代に渡来したそうです。

この句が詠まれたのは江戸時代ですので、スノードロップは渡来しておりませんが、
雪がとけて春になりますと・・・
小町娘たちが故郷を離れて旅立ってゆく情景を詠んだ句のようにも思います。

新たな場所でも笑顔で暮らしてゆけますように・・・
あたたかく見守りながら応援してくださっているようにも感じられます。

これから進学や就職などで故郷を離れて新生活を迎える皆さんのことも、
たくさんの方々が応援してくださっていることと思います♡
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チューリップ 喜びだけを 持つてゐる

2024年01月22日 | 春の花


大寒を迎え、昨日までは雪になりそうな寒い日が続いておりましたが、
今日はお天気も少し回復し、気温も上がり暖かく感じられます。

寒い時季ですが、ほっこりするような素敵な画像が届きました♡
チューリップやスイートピーなど・・・
お孫さんが春の花々を生けてくださったそうです。

「チューリップ 喜びだけを 持つてゐる」

大正時代から昭和時代に活躍された女流俳人「細見 綾子(ほそみ あやこ)」が詠んだ句です。

◎ゐ→い(状態が変わらずにある場合に使われる)
持つてゐる→持っている

チューリップが嬉しそうに春の舞台で踊っているようにも感じられて・・・
とても元気をいただきました♡

我が家の小庭の植物たちも、
球根の芽が少しずつ伸びてきたり、木々の芽が膨らんできたり・・・
春の訪れを心待ちにしているようです。

これから咲く春の花々を楽しみに・・・
また素敵な句を紹介させていただきますね♡
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