2007 No.9 9/2~9/4
作者:松本清張(新潮文庫)
評価・・・★★★★☆ 4.5
作者の作品を元にしたドラマや映画はたくさん観てきたけれど、作品を読むのはたぶん初めて。
初☆清張です。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ちょっとネタばれかも!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
東京から博多まで電車で何十時間もかかったり、問い合わせをするのに電報を使うあたりに時代を感じたものの、それ以外は特に古くささを感じませんでした。
さすがですね。
某省の不正事件がキーになるのですが、描かれる某省の姿なんて、今と特に変わってないんじゃないかな。
鉄壁と思われたアリバイ。だけど、ちょっとした思いこみによりわざわざ鉄壁にさせていただけで、その思いこみを排除すると事件の真実が見えてくる、というあたりはゾクゾクしました。
タイマーやピアノ線や滑車なんかを用いたトリックが登場するミステリよりも、こういう人間の心理を利用した緻密な計画によるミステリの方が好きな私にはピッタリの作品でした。
印象的だったのが、事件のキーパーソン・安田の妻が著した「数字のある風景」という随筆。時刻表から広がる空想の世界に遊ぶ病に伏せる女・・・出番は少ないのに、この随筆のおかげですごく存在感があった。
小説中の作品だけど、かなり完成度の高い作品と感じました。