50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

幸男はそういささか夏子にげんなりしながら思ったが・・・

2016-01-17 09:59:44 | 小説
幸男はそういささか夏子にげんなりしながら思ったが、夏子がこだわりだすと執拗なのも先刻承知。だから少し意気地を見せて冗舌気味に、
「ぼくはもう白状したようなものだろうが。夏子さんは夏子さんで岬ホテルに会いにいけばいいと思う。ぼくに意地悪しているとしか思われない。つまり理恵さん、そう彼女にも彼女の立場や思い入れがあるだろうし、悪口にとらないでほしいけどむしろよく一過性の人と思ってあげて、ぞんぶんに宇礼市で楽しんでいってほしい。邪魔をしたくない、ぼくは。ぼくも夏子さんもふるさとで暮らしつづけている、でも彼女は違う」

(「おしのび」つづく)