50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

幸男はそうして、パチンコが一向に楽しめなかった。

2016-01-23 20:22:45 | 小説
幸男はそうして、パチンコが一向に楽しめなかった。またいつにない大勝を、閻魔庁から逃げ帰る男のような気分で店をでる気持ちが悪いものだった。歩道に小雨の染みを見つめて帰る真昼時で、理恵のおしのび旅行一週間分の悩みを背負いながら、とぼとぼ帰っていっている。

(「おしのび」つづく)