50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「私に相談は・・・

2015-04-24 22:18:11 | 小説
「私に相談はこのぶんじゃ何もなさそうじゃないか」
と素直にいえた。劇場とそのロビー、今日の演目、若者とその話がうまくクモの中で噛みあったように、その明朗な声を内心納得した。

(つづく)

「彼女を信じてもいい・・・

2015-04-23 19:48:41 | 小説
「彼女を信じてもいいでしょうか」
と若者の声、クモはふと彼をうらやましくなった。曽根崎心中の初も、姪や先妻にかかっては顔なしだと思った。いつもの嫌味な心持ちの逆しまの、恋物語を観た心持ちになる。

(つづく)

ベッドが見える部屋・・・

2015-04-22 21:29:54 | 小説
ベッドが見える部屋、抱擁、キッス、それでも彼女は冷静を、ヒステリックだった直後に装うことがよくできるものだった。
「結婚は約束するわ。帰りましょう」
・・・・・・・・・・・・
姪らしいやりとりとクモは思い思い、遠い先妻を近くに呼び寄せていた。

(つづく)

彼女を抱きすくめた・・・

2015-04-21 22:01:52 | 小説
彼女を抱きすくめた。だが一方的にハチの胸が波打ったのは、その一瞬後に、
「愛してる」
と囁く彼女がいたからだった。なれたしぐさのキスを求めたのも・・・・・・彼女。
「でも今日はいや。安売りはいやなのよ」

(つづく)

彼女は入るなり・・・

2015-04-20 19:39:05 | 小説
彼女は入るなり、
「戻りましょう、ねえ、帰りましょう」
とヒステリックにくりかえしいった。誘ったのはどちらかといえば彼女の方だった癖に。
ハチは焦った、焦りはたちどころに、吐け口を失った若い性欲を部屋に、彼女に爆発させていた。

(つづく)