50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「いってしまいます。こんなことも・・・

2015-04-19 19:48:02 | 小説
「いってしまいます。こんなこともあったんです。この際おじさまには・・・・・・今いっていいものかどうか・・・・・・けどお仲人していただこうと、彼女に明日にも相談しようかと思っています、そんなおじさまだから」
・・・・・・・・・・・・
もちろん彼女と二人だけで、ハチはあるホテルの部屋に入っている。ホテルの手前に舗道脇の桜がちらほら咲きだった季節でその季節感を部屋は完全に打ち消している。

(つづく)

負うた子に教えられているようで・・・

2015-04-18 22:22:03 | 小説
負うた子に教えられているようでクモは頭の中で赤面をこらえながらいた。その中に、「それはそうだ」と鸚鵡がえしにいうばかりだった。
「けど彼女の場合に矛盾なのです。矛盾が多いんです」
「どうして?」
とクモは口調が釣られて柔らかにいった。

(つづく)

若者の話声がようやく・・・

2015-04-17 20:38:51 | 小説
若者の話声がようやく、そう第三者の耳に入ってきている。
「いってしまいます。愛とはセックスとは個人間のカテゴリーに属しています。観客読者はいろんな文句をいいだしたらきりがない。つまり世間を気にすることはないと彼女はいいます。それはそうだと思います」

(つづく)

都会はまわりに刺激が・・・

2015-04-16 21:50:54 | 小説
都会はまわりに刺激があふれずぎて、個人の間が置き去りにされている。そんなニュアンスの彼の声で、姪の愛情をいうのだったろう。苦い口にクモの方から乗ってみた時にようやく彼に彼女にも、ある距離が確かめられてきだしたが、クモには過去の姿がちょうど劇場を立ち去る客の姿に似て消えかける。

(つづく)

渾名をつけてくれる女・・・

2015-04-15 20:00:10 | 小説
渾名をつけてくれる女がいて、彼を妬ましくさえなりだしていて、おっと危ないと思い、自分の過去の誤りをクモ自身がむしかえしてしまいかねなかった。だが、
「旅行した昨年の初夏から、ぼくと彼女の間には発展的なきざしが見えないんです」

(つづく)