木村カエラ - ZIG ZAG feat. BIM Music Video
Tony Tani - ガッポリ節
Dragon Ash「夢で逢えたら」
いかれたbaby - fishmans (cover)
(ちんちくりんNo,7)
彼らとはその日の内に意気投合した。話し足りなかったこともあり、一旦解散してから夕方、駅の北口近くにある居酒屋チェーン店に集合した。僕が店の中に入った時にはすでに二人は入り口左奥に解放された座敷部屋にお互いテーブルを挟んで胡坐をかいていた。
僕はゆっくりと彼らの許に向かい、右手をあげ軽く挨拶をしてから靴を脱ぎ、上がり框に足を付けて座敷に上った。わるいな、手刀を鼻先につけながら貢の隣の座布団に腰を下ろした。
「何がいいかな」
そう聞かれてテーブルの中央に瓶ビールが三本、目の前にグラスが伏せて置かれているのを見て焼き鳥の盛り合わせを頼むことにした。「焼き鳥盛り合わせ」、近くにいた店員に注文してからそれぞれ酌をし合い軽く「お疲れ」を口にし、グラスを掲げた。
「それにしてもさぁ」
店員が丁度「焼き鳥の盛り合わせ」の大皿をテーブル上にのせ、「他にご注文はありますか」と問うた時に貢が、ほの赤くにやけたような顔を僕に向けた。圭太は律儀にメニューを見ながら店員の期待に応えようとしていた。
「面白いよね、僕たち」
「俺たちが、って。面白いのか」
「映研に入る理由がさ、みんな似たり寄ったりで」
「そうかねぇ」
「そうさ、君は教育学部の国語、標くんは工学部芸術工学科で映像・音響を、そして僕は文学部で社会科学」
「それが何?」
「分からないのかなぁ、君は脚本を書きたい、標くんは学んだことをリアルに試したい、僕は社会文化とか風俗というかそういうものを深めたいんだよ」
「ああ、皆映画を作りたいってよりかはやりたいことを磨きたいってか」
「そう」
貢は酔いが急にまわって来たのか、真っ赤な顔でテーブルの端を大きく叩いた。「なになに、映研の話かあ?」注文を終えた圭太がこちらに乗り出すように僕たちの会話に割り込んできた。
「映研な、なんかなぁ、わからんが不吉な匂いがせんか」
僕と貢が顔を見合わせると圭太は続けてその「匂いのもと」を口にした。
「”同志“てなぁ、仲間って意味やろうけど今時そんなん死語やろ、そう思わん?」
ああそうだ。僕も、そして貢も疑問に思っていて頭の隅になんとなく置いていた記憶を圭太は見事に呼び起こしてくれた。
Tony Tani - ガッポリ節
Dragon Ash「夢で逢えたら」
いかれたbaby - fishmans (cover)
(ちんちくりんNo,7)
彼らとはその日の内に意気投合した。話し足りなかったこともあり、一旦解散してから夕方、駅の北口近くにある居酒屋チェーン店に集合した。僕が店の中に入った時にはすでに二人は入り口左奥に解放された座敷部屋にお互いテーブルを挟んで胡坐をかいていた。
僕はゆっくりと彼らの許に向かい、右手をあげ軽く挨拶をしてから靴を脱ぎ、上がり框に足を付けて座敷に上った。わるいな、手刀を鼻先につけながら貢の隣の座布団に腰を下ろした。
「何がいいかな」
そう聞かれてテーブルの中央に瓶ビールが三本、目の前にグラスが伏せて置かれているのを見て焼き鳥の盛り合わせを頼むことにした。「焼き鳥盛り合わせ」、近くにいた店員に注文してからそれぞれ酌をし合い軽く「お疲れ」を口にし、グラスを掲げた。
「それにしてもさぁ」
店員が丁度「焼き鳥の盛り合わせ」の大皿をテーブル上にのせ、「他にご注文はありますか」と問うた時に貢が、ほの赤くにやけたような顔を僕に向けた。圭太は律儀にメニューを見ながら店員の期待に応えようとしていた。
「面白いよね、僕たち」
「俺たちが、って。面白いのか」
「映研に入る理由がさ、みんな似たり寄ったりで」
「そうかねぇ」
「そうさ、君は教育学部の国語、標くんは工学部芸術工学科で映像・音響を、そして僕は文学部で社会科学」
「それが何?」
「分からないのかなぁ、君は脚本を書きたい、標くんは学んだことをリアルに試したい、僕は社会文化とか風俗というかそういうものを深めたいんだよ」
「ああ、皆映画を作りたいってよりかはやりたいことを磨きたいってか」
「そう」
貢は酔いが急にまわって来たのか、真っ赤な顔でテーブルの端を大きく叩いた。「なになに、映研の話かあ?」注文を終えた圭太がこちらに乗り出すように僕たちの会話に割り込んできた。
「映研な、なんかなぁ、わからんが不吉な匂いがせんか」
僕と貢が顔を見合わせると圭太は続けてその「匂いのもと」を口にした。
「”同志“てなぁ、仲間って意味やろうけど今時そんなん死語やろ、そう思わん?」
ああそうだ。僕も、そして貢も疑問に思っていて頭の隅になんとなく置いていた記憶を圭太は見事に呼び起こしてくれた。