Jackie Evancho: 18-Year-Old STUNNING Opera Singer Is BACK! | AGT Champions
Kitri -キトリ-「未知階段」 “Michi kaidan” Music Video [official]
折坂悠太 - 鶫(つぐみ)(Official Studio Live Video)
Deee-Lite - Groove Is In The Heart (Official Video)
(ちんちくりんNo,8)
圭太の懸念が現実のものとして認識せざるを得なくなったのは翌日のことだった。僕らは体験入部のために、第三キャンパスからより北に離れたところに位置する第一キャンパスの自然科学研究練前に集合し、後から現れた先輩によって屋上へと連れられた。先輩は西隅の建物を、あれが部室だ、と指さした。―そう、今まさに僕らが作業しているこの建物のことだ―。こんな場所に、と驚いたがそれよりも異様に驚かされたのは部室のドアを開けてからだった。
部屋の中にはテーブルが中央に、その左右には胡坐をかいた男二人、その後ろ正面の壁には無数のプラカードや横長の大きな看板らしきものが重ねて横に並べられていた。隅にはいくつかのヘルメットとゲバ棒の束。大きな看板には下手くそな文字が躍っていた。
”日本革命闘争
権力の暴走許さぬ!”
僕らが唖然としているとテーブルの左側に座っている見た目は優しそうな男が手招きをした。「大丈夫だ、取って食いやしない」僕らは靴を脱いで部屋に上がり、僕らを連れてきた先輩がテーブルの奥に座るのを見てからへなへなと足を折り、正座した。
それから一時間ほど彼らの説明を聞いた。ここは映画も撮るがこういう社会運動にも取り組むということ、何処のセクトにも属していない、部となっているが、我々は革命オタクで趣味の延長のようなものだ、等々・・・。
その説明を聞いている間圭太はニヤニヤしながら「おもろやんけ」と独り言ちるようになり、貢はずっと下を向いているばかりであった。僕は先輩たちが説明し終わるのを待ってから最後に勧誘のチラシを胸のポケットから取り出してテーブルに置き、”映画研究部”と書いてあるその文字を指し示して「高倉の健さん」みたいに出来るだけ静かにでも凄みを利かせた声で質問した。
「これじゃあ、詐欺のようなもんですぜ」
するとそれを聞いた正面の先輩が意外だという顔を見せながらも、口端を上げ、”映画研究部”と書かれた文字の下、空白を挟んで小さな文字が並んでいるところに人差し指を置いた。それは本当に”見逃しなさい”という位に小さく、気づいてなかった僕はチラシに目を近づけならねばならなかった。
”私たちは社会運動を通じて提言をしていきます”
「そんな」僕は騙されたことによる相手への怒りよりも、むしろそんな幼稚な手口に気づかなかった自分に腹がたって仕方がなかった。
Kitri -キトリ-「未知階段」 “Michi kaidan” Music Video [official]
折坂悠太 - 鶫(つぐみ)(Official Studio Live Video)
Deee-Lite - Groove Is In The Heart (Official Video)
(ちんちくりんNo,8)
圭太の懸念が現実のものとして認識せざるを得なくなったのは翌日のことだった。僕らは体験入部のために、第三キャンパスからより北に離れたところに位置する第一キャンパスの自然科学研究練前に集合し、後から現れた先輩によって屋上へと連れられた。先輩は西隅の建物を、あれが部室だ、と指さした。―そう、今まさに僕らが作業しているこの建物のことだ―。こんな場所に、と驚いたがそれよりも異様に驚かされたのは部室のドアを開けてからだった。
部屋の中にはテーブルが中央に、その左右には胡坐をかいた男二人、その後ろ正面の壁には無数のプラカードや横長の大きな看板らしきものが重ねて横に並べられていた。隅にはいくつかのヘルメットとゲバ棒の束。大きな看板には下手くそな文字が躍っていた。
”日本革命闘争
権力の暴走許さぬ!”
僕らが唖然としているとテーブルの左側に座っている見た目は優しそうな男が手招きをした。「大丈夫だ、取って食いやしない」僕らは靴を脱いで部屋に上がり、僕らを連れてきた先輩がテーブルの奥に座るのを見てからへなへなと足を折り、正座した。
それから一時間ほど彼らの説明を聞いた。ここは映画も撮るがこういう社会運動にも取り組むということ、何処のセクトにも属していない、部となっているが、我々は革命オタクで趣味の延長のようなものだ、等々・・・。
その説明を聞いている間圭太はニヤニヤしながら「おもろやんけ」と独り言ちるようになり、貢はずっと下を向いているばかりであった。僕は先輩たちが説明し終わるのを待ってから最後に勧誘のチラシを胸のポケットから取り出してテーブルに置き、”映画研究部”と書いてあるその文字を指し示して「高倉の健さん」みたいに出来るだけ静かにでも凄みを利かせた声で質問した。
「これじゃあ、詐欺のようなもんですぜ」
するとそれを聞いた正面の先輩が意外だという顔を見せながらも、口端を上げ、”映画研究部”と書かれた文字の下、空白を挟んで小さな文字が並んでいるところに人差し指を置いた。それは本当に”見逃しなさい”という位に小さく、気づいてなかった僕はチラシに目を近づけならねばならなかった。
”私たちは社会運動を通じて提言をしていきます”
「そんな」僕は騙されたことによる相手への怒りよりも、むしろそんな幼稚な手口に気づかなかった自分に腹がたって仕方がなかった。