Blind Melon - Mouthful of Cavities (OFFICIAL VIDEO with Jena Kraus)
THE CHARM PARK / Sunflower [Official Music Video]
Yoko Ueno (上野洋子) - SEVEN SWAN SONGS
Mineral - Love Divine (Official Video)
(ちんちくりんNo,12)
いつもより早い時間に第一キャンパスの正門をくぐった僕は、自転車を降りてから自然科学研究練を通り過ぎ中庭に向かった。ここ何日か圭太と貢二人に昼食を奢る日が続いていた僕は、昨日「競争中止宣言」を出して二人の同意を取り付け、時間の縛りがなくなり心が軽くなった。それに昨日あれから眠れなくて結局ずっと起きていたこともあり、中庭で少しだけ一休みと考えたのだ。
学舎と学食等の建物に囲われた中庭は広い。短く刈った芝生が敷き詰められ、何の意図があるのか中央と四角に楓の木が植えられている。あとは適当な位置に数か所、丸テーブルと数脚の椅子がセットで置かれている。センスのかけらもありゃしない。
僕は中央の楓の木を正面に見るやや離れたテーブル席に向かおうと目を向けたが、そこに誰かが腰かけて、正面をじっと見つめて腕を組んでいる様子に気が付いた。黄色い麦わら帽子・・・、無視しようと思ったが、何故か気になってそちらの方へ向かうことにした。
「あら、昨日の男子」
僕がその顔がはっきりと確認出来るところまで近づいたら”誰か”はこちらに振り向きざまにそう口に出し、えくぼを伴って微笑んだ。―昨日の女子か―
黄色の麦わら帽子に黄色のノースリーブのシャツにジーンズ、昨日の恰好よりは遥かにましではあったが、どうもちぐはぐな感じが拭えない。
「どうぞ座ったら」
彼女は自分の斜め前の席を勧め、僕はそこに腰かけた。テーブルの上にはスケッチブック。ああ、そうそう、彼女はいきなり足元に置いてあったトートバックを手に取り、中から茶色い小瓶を二本取り出し一本を僕の前に置いた。
「何?」
「何って、栄養剤、”ムキット7”だよ」
「じゃなくて何故」
「お詫び。昨日大丈夫って言えなくて」
僕は正直分からなかった。お詫びだということは分かるがそれが何故”ムキット7”なんだ。
「あ―、不満そう。昨日あなたさ、顔色悪かったし体力つけなきゃね。それにこれ、炭酸入っててスカッとするんだよ」
彼女は自分の分の”ムキット7”の蓋を捻じり開け、口に持っていくと一気に飲み干した。・・・ね。そうこちらに向ける笑顔が眩しく見える。
その様子に僕も続けと蓋を開け一気飲みをした。適度の甘みと炭酸が喉を通るときの爽やかさが何とも言えない。「美味い」
「ね、そうでしょう」
「確かに」
「私はかほる、七瀬かほる。あなたは?」
「えっ、ああ神海人。カミさまにウミのヒト」
僕は何故ここで自己紹介する流れになるのだ、と一瞬頭にクウェスチョンマークが浮かんだが、悪い気はしなかった。それよりも彼女が何者で何故ここにいるのかの方が気になったのだ。
THE CHARM PARK / Sunflower [Official Music Video]
Yoko Ueno (上野洋子) - SEVEN SWAN SONGS
Mineral - Love Divine (Official Video)
(ちんちくりんNo,12)
黄色い麦わら帽子の女の子
いつもより早い時間に第一キャンパスの正門をくぐった僕は、自転車を降りてから自然科学研究練を通り過ぎ中庭に向かった。ここ何日か圭太と貢二人に昼食を奢る日が続いていた僕は、昨日「競争中止宣言」を出して二人の同意を取り付け、時間の縛りがなくなり心が軽くなった。それに昨日あれから眠れなくて結局ずっと起きていたこともあり、中庭で少しだけ一休みと考えたのだ。
学舎と学食等の建物に囲われた中庭は広い。短く刈った芝生が敷き詰められ、何の意図があるのか中央と四角に楓の木が植えられている。あとは適当な位置に数か所、丸テーブルと数脚の椅子がセットで置かれている。センスのかけらもありゃしない。
僕は中央の楓の木を正面に見るやや離れたテーブル席に向かおうと目を向けたが、そこに誰かが腰かけて、正面をじっと見つめて腕を組んでいる様子に気が付いた。黄色い麦わら帽子・・・、無視しようと思ったが、何故か気になってそちらの方へ向かうことにした。
「あら、昨日の男子」
僕がその顔がはっきりと確認出来るところまで近づいたら”誰か”はこちらに振り向きざまにそう口に出し、えくぼを伴って微笑んだ。―昨日の女子か―
黄色の麦わら帽子に黄色のノースリーブのシャツにジーンズ、昨日の恰好よりは遥かにましではあったが、どうもちぐはぐな感じが拭えない。
「どうぞ座ったら」
彼女は自分の斜め前の席を勧め、僕はそこに腰かけた。テーブルの上にはスケッチブック。ああ、そうそう、彼女はいきなり足元に置いてあったトートバックを手に取り、中から茶色い小瓶を二本取り出し一本を僕の前に置いた。
「何?」
「何って、栄養剤、”ムキット7”だよ」
「じゃなくて何故」
「お詫び。昨日大丈夫って言えなくて」
僕は正直分からなかった。お詫びだということは分かるがそれが何故”ムキット7”なんだ。
「あ―、不満そう。昨日あなたさ、顔色悪かったし体力つけなきゃね。それにこれ、炭酸入っててスカッとするんだよ」
彼女は自分の分の”ムキット7”の蓋を捻じり開け、口に持っていくと一気に飲み干した。・・・ね。そうこちらに向ける笑顔が眩しく見える。
その様子に僕も続けと蓋を開け一気飲みをした。適度の甘みと炭酸が喉を通るときの爽やかさが何とも言えない。「美味い」
「ね、そうでしょう」
「確かに」
「私はかほる、七瀬かほる。あなたは?」
「えっ、ああ神海人。カミさまにウミのヒト」
僕は何故ここで自己紹介する流れになるのだ、と一瞬頭にクウェスチョンマークが浮かんだが、悪い気はしなかった。それよりも彼女が何者で何故ここにいるのかの方が気になったのだ。