Cocco 「青葉」 DIY Music Video
斉藤和義 - 小さな夜 [Music Video]
みずいろの雨 八神純子 【ヤガ祭りで Stay Home】
流星 吉田拓郎
(ちんちくりんNo,11)
うあぁぁぁ
悪夢。目が覚めたときにはその大半のストーリーは忘れていた。暑さのためか大量の寝汗で張り付いた下着はあまり気持ちの良いものではない。
僕は布団から起き上がり、部屋の角に三つ縦に重ねた収納ケース、一番上の引き出しから白のTシャツと縞のトランクスを取り出し、汗を含んだ下着からそれに着替えた。少しだけ気持ちが落ち着くと、古い下着を収納ケース左に無造作に置かれた洗濯かごに放り込み、そこから数歩と離れていない勉強机からチープな作りの椅子を引き出して腰を下ろした。机の上にタバコとライター、灰皿の三点セットが並んでいた。僕はタバコ一本をおもむろに箱から引き出し、ライターを手にしてタバコに火をつけ大きく吸い込み煙を鼻から大きく押し出し、さらに落ち着きを取り戻した。
夢はほとんど憶えていなかったがその主役ははっきりしている。母だ。
—おまえの伯父さんがいっていたんだよ。先生だ、先生がいいって—
呪いの言葉。一旦脳に沁み込んだそれは八年という歳月をかけても簡単には消去されないようだ。あの時父はいたのだろうか、と思い起こしてみても何の意味もなさないことに気づいた僕は自嘲した。
あの頃、あの後、僕の戦いは始まった。二年近くかかっただろうか。傷跡は残った。苦しんだ。それを、その苦しみを吐き出すために僕の小説は存在する。
”言霊は文字にも宿る”というが本当だ。一字一句誠実に文章を紡ぐことによって僕は救われてきた。
小説を人生の一部にしようと考えた。
でも僕は”先生”にならねばいけなかった。
その葛藤の中で僕はこれまで来た。
さあ、どうする。今が最後の分岐点だ。まだ”船”が見つからない。それでも―。
僕はほとんど物がなく、暗く狭い部屋を見まわしながら、ともかくそれでも書くしかないのだという現状に苛つきを感じたのだった。
斉藤和義 - 小さな夜 [Music Video]
みずいろの雨 八神純子 【ヤガ祭りで Stay Home】
流星 吉田拓郎
(ちんちくりんNo,11)
悪夢
うあぁぁぁ
悪夢。目が覚めたときにはその大半のストーリーは忘れていた。暑さのためか大量の寝汗で張り付いた下着はあまり気持ちの良いものではない。
僕は布団から起き上がり、部屋の角に三つ縦に重ねた収納ケース、一番上の引き出しから白のTシャツと縞のトランクスを取り出し、汗を含んだ下着からそれに着替えた。少しだけ気持ちが落ち着くと、古い下着を収納ケース左に無造作に置かれた洗濯かごに放り込み、そこから数歩と離れていない勉強机からチープな作りの椅子を引き出して腰を下ろした。机の上にタバコとライター、灰皿の三点セットが並んでいた。僕はタバコ一本をおもむろに箱から引き出し、ライターを手にしてタバコに火をつけ大きく吸い込み煙を鼻から大きく押し出し、さらに落ち着きを取り戻した。
夢はほとんど憶えていなかったがその主役ははっきりしている。母だ。
—おまえの伯父さんがいっていたんだよ。先生だ、先生がいいって—
呪いの言葉。一旦脳に沁み込んだそれは八年という歳月をかけても簡単には消去されないようだ。あの時父はいたのだろうか、と思い起こしてみても何の意味もなさないことに気づいた僕は自嘲した。
あの頃、あの後、僕の戦いは始まった。二年近くかかっただろうか。傷跡は残った。苦しんだ。それを、その苦しみを吐き出すために僕の小説は存在する。
”言霊は文字にも宿る”というが本当だ。一字一句誠実に文章を紡ぐことによって僕は救われてきた。
小説を人生の一部にしようと考えた。
でも僕は”先生”にならねばいけなかった。
その葛藤の中で僕はこれまで来た。
さあ、どうする。今が最後の分岐点だ。まだ”船”が見つからない。それでも―。
僕はほとんど物がなく、暗く狭い部屋を見まわしながら、ともかくそれでも書くしかないのだという現状に苛つきを感じたのだった。