からくの一人遊び

音楽、小説、映画、何でも紹介、あと雑文です。

おとぎ話 "HOMEWORK" (Official Music Video)

2021-04-09 | 小説
おとぎ話 "HOMEWORK" (Official Music Video)



Rozzi - Joshua Tree (live a cappella from my friend's backyard)



Michael Jackson - Billie Jean (Official Video)



Rock Free Concert - ノーノーボーイ(feat. ムッシュかまやつ)



(ちんちくりんNo,14)

―ちょ、ちょっと待って、殺す気―

 自然科学研究棟の入口、前階段に上ろうと足を掛けかけた時に、かほるの異常を感じて振り返った。かほるは息が切れ、胸を押さえている。顔色も心なしか青い。ふらふらしているので慌てて抱きかかえたら、「スケベ」とか細い声が僕の耳元にふれたのでどうしようかと狼狽してしまった。するとかほるは息を切らせながらも微笑み、「許すから、そこで膝枕をしてくださいませんか」と神妙な声で僕に依頼した。「そこって」、一瞬迷ったが僕は彼女を抱えながら「そこ」の階段にまずは彼女を座らせて、隣に僕が座り、彼女の麦わら帽子を脱がせてから彼女の身体を横たわせて僕の膝に頭をのせた。「ありがとう。眩暈がするから、少しだけお願い」かおるは目を瞑った。
 夏休み中とはいえ、大学にはサークル活動であるとか大学寮があるため朝十時から開いている学生食堂に向かう者もそれなりにいる。彼らは僕らの前を通ると一様に不審者を見るような視線を浴びせかけ、逆にカップルと見られる二人なんかは、わざわざ僕らに近寄ってきて「やるぅ」と感心しているのか嘲笑しているのか分からない言葉を投げていく者までいた。でも僕はそれほど恥ずかしいものとは感じていなかった。何よりも眩暈がするというかほるのことが心配だったし、目を瞑ったきり口もきかない彼女の様子に「救急車を呼んだほうがいいかもしれない」と思い始めていたからだった。
 そろそろ本当に呼んだ方がいいと判断し、少し離れた男子学生に声をかけようとしたとき、「あー、落ち着いた」かほるが頭を上げた。身体を起こし、一旦立ち上がって両腕を大きく開いて伸びをしてからまた僕の隣に腰を下ろした。

「ありがとう。恥ずかしいことさせてごめんなさい」

「いや、でも大丈夫か?一応病院行った方がいいかも」

「あ、それは大丈夫。分かっているから、これは持病」

「持病」

「そう、持病」

 持病ってなんだ、重いのか?軽いのか?

 そう頭の中で繰り返していたときに、僕らの両脇にストンとドスンといきなり腰を下ろす者らが現れた。圭太と貢。
 僕の隣に座った圭太が「だるまさんがころんだ」の鬼が動いた者を見つけた時のような気色悪い笑みを僕に向かって見せつけた。

 「さて、部室へ行こかぁ。尋問にな」

コメント
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