泉まくら 『candle』 (Official Music Video)
友人から携帯に電話が来た。
声を聞くのは10年ぶりだ。
確かその時に小さな喧嘩をしてそれっきり疎遠になったんだっけ。
彼はこの携帯の電話番号を知らないはずなので、何故?と聞こうとしたが、構わずしゃべり始めた。
自分の今の現状、奥さんがいるのだけど子供ができないこと、故郷はどうかということ、等々・・・。
10分ほど話して気が済んだのか、彼は一息ついて「あのさ」と言った。
「なに?」
「ほんとはさ、こんなこというために電話したんじゃないんだ」
「・・・・・」
「外出てみないか?」
「外?何故?」
「ともかく外々・・・」
私は不審に思いながらも、彼の言う通りに縁側のあるサッシを開放して外に出た。
柴犬のコロが遊んでくれるのかと思ったのか、足にまとわりついてきた。
「出たよ、何?」
「星がきれいだな」
「え?」
「冬はさ、寒いから夜はみんなめったに外は出ないし、暗い夜空を見ようとしない」
私は天を見上げてみた。黄色いのや、赤いのや、白いのや・・・・、ともかく光っていた。
「きれいだ」
「おれもそう思った」
「で?」
「それをお前に伝えようと思ってさ、・・・電話してみた」
「それだけ?」
「そう、それだけ」
彼はそう言うと、じゃあ、また10年経ったら電話するわと言って、通信を断った。
私はまた天を見上げた。
いくつもの星を眺めながら彼もまた一緒に同じ星を見ているのだなと理解した。
トモダチ。
ふとそういう言葉が浮かんだ。
柴犬のコロがまたまとわりついてきたので、中腰になり、鼻先を軽く指で弾いてみた。
キューンと鳴いた。
ハハ、お前もトモダチだよ。
そして私はからだが急激に冷えて来ているのを感じ、家の中に入ろうかと背中を丸めながら縁側に足をかけ、そこで動きを止めた。
・・・・彼とはなにが原因で疎遠になったんだっけ?
まあいいや、10年後にまた聞いてみよう。
そして再度中に入ろうとしたら、カミさんがやってきて私を通せんぼした。
「ズルい。私も星を見たいのに」
ハイハイ。
私は彼女の手を取り、その温かさにこころが小さく動いたのを感じた。
微かに風が頬を切る。
その痛みは微かなもので、なぜか人間には血が流れているのだなあ、と感じた。
冬の星もいいものだ。
と、思った。
友人から携帯に電話が来た。
声を聞くのは10年ぶりだ。
確かその時に小さな喧嘩をしてそれっきり疎遠になったんだっけ。
彼はこの携帯の電話番号を知らないはずなので、何故?と聞こうとしたが、構わずしゃべり始めた。
自分の今の現状、奥さんがいるのだけど子供ができないこと、故郷はどうかということ、等々・・・。
10分ほど話して気が済んだのか、彼は一息ついて「あのさ」と言った。
「なに?」
「ほんとはさ、こんなこというために電話したんじゃないんだ」
「・・・・・」
「外出てみないか?」
「外?何故?」
「ともかく外々・・・」
私は不審に思いながらも、彼の言う通りに縁側のあるサッシを開放して外に出た。
柴犬のコロが遊んでくれるのかと思ったのか、足にまとわりついてきた。
「出たよ、何?」
「星がきれいだな」
「え?」
「冬はさ、寒いから夜はみんなめったに外は出ないし、暗い夜空を見ようとしない」
私は天を見上げてみた。黄色いのや、赤いのや、白いのや・・・・、ともかく光っていた。
「きれいだ」
「おれもそう思った」
「で?」
「それをお前に伝えようと思ってさ、・・・電話してみた」
「それだけ?」
「そう、それだけ」
彼はそう言うと、じゃあ、また10年経ったら電話するわと言って、通信を断った。
私はまた天を見上げた。
いくつもの星を眺めながら彼もまた一緒に同じ星を見ているのだなと理解した。
トモダチ。
ふとそういう言葉が浮かんだ。
柴犬のコロがまたまとわりついてきたので、中腰になり、鼻先を軽く指で弾いてみた。
キューンと鳴いた。
ハハ、お前もトモダチだよ。
そして私はからだが急激に冷えて来ているのを感じ、家の中に入ろうかと背中を丸めながら縁側に足をかけ、そこで動きを止めた。
・・・・彼とはなにが原因で疎遠になったんだっけ?
まあいいや、10年後にまた聞いてみよう。
そして再度中に入ろうとしたら、カミさんがやってきて私を通せんぼした。
「ズルい。私も星を見たいのに」
ハイハイ。
私は彼女の手を取り、その温かさにこころが小さく動いたのを感じた。
微かに風が頬を切る。
その痛みは微かなもので、なぜか人間には血が流れているのだなあ、と感じた。
冬の星もいいものだ。
と、思った。
とにかくいい ですね。
今夜は空を 見上げてみます。
今日は朝、雨降りだったので心配したのですが、今は陽が出ています。
今日の夜空はどうかな。
誰かが同じように同じ時刻に、同じ星々を見上げていると想像すると嬉しくなります。
私、妄想癖があるので。(;^_^A