「成長記」フルver.歌詞 琴音
Imagine 長谷川きよし(Kiyoshi Hasegawa)
Anna Calvi - Surrender (Elvis Presley) (Live in New York) | Moshcam
Chicago - 25 or 6 to 4 (Official Audio)
(ちんちくりんNo,19)
―凄いね、これ。
声に反応して後ろを振り返ると、かほるが壁を背にして「ゲラ」を読んでいた。
まずはラストをと「ゲラ」を端に除けて、そうしてから原稿に向かっていた僕は、その様子を見て少し慌てた。
「読んでいいとは言ってないけど」
「そう?忙しそうだったからチェックしてあげようと思ってさ」
「頼んでいない」
「でも、私に小説の挿絵を頼んだでしょ、それには読まないと」
そうだ、そのとおりだ。そりゃ、当たり前か。僕は頭を掻きながら体ごとかほるの方に顔を向けた。
「で、凄いって何が」
「まだ最初のところだけだけど、いきなり母親が出てくるところ」
「どう思った?」
「表情が見えるようだと感じた。朝、起き抜けに中学生の″私″がおかしくなった母親を見た時の描写が」
実はそこが小説の中で一番重要な場面だった。だから詳細に母親の細かい皺ひとつ見逃さないように、さらに狂った母親を見た時の″私″の恐怖の感情をできるだけ読む人に訴えかけるように描いたつもりだった。圭太や貢にも原稿を読んでもらってはいたが、「いいんでないかい」位の感想しか返ってこなかった。あの時の落胆した記憶が蘇る。「全部読んだらまた聞かせて」僕はそうかほるに頼み、前に向き直った。圭太と貢は斉木君によって仕上げられた原稿を整理している。ふっとこちらを見て貢が「かほるちゃん、表紙のイラストもお願いね」と言う。かほるは顔を上げ、「明日には」と返事をした。テーブルの上には描きかけのイラストが、ぽつんとまるで主人を待ちわびているかのように寂しく置かれていた。
僕は再び目の前の原稿に向かう。ラストの結末はすでに決まっている。それをどのように表現して描いていくか、だ。
文芸部でしたか。
私も高校半年だけ文芸部でした。。(^_^;)
もし、最初からお読みになるのであれば、(小説)のカテゴリーから入って頂ければ。
ありがとうございます。