宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

勝手に趣味ブログ
のんびりしようよ

みらーじゅ 39

2008-12-24 21:31:01 | 小説 ミラージュ
『明球輪』
 グルラディーヌの手のひらに光球が灯る。
 先ほどのとは違い、光量をおさえその代わり術の永続時間を延ばしてあるのだ。もっとも、魔力が尽きれば、放っておいても消えるものだが。
「ほら、大丈夫でしょう?」
 グリシーヌの後ろで大きな体を小さくしているレトにそれを見せた。
「・・・それ?」
「そう、ただエネルギーを一気に開放したから、目いかれる危険性があって、だから目つぶっててもらったんだけど。あいつらには、本当に良く効いたみたいね」
 うんうんと頷く、グルラディーヌを見たレトの頬に、つぅー と、一筋の汗が流れた。

 壁に灯るオレンジの灯りが弱くなってきている。頼りになるのは、グルラディーヌの灯した明球だった。
 あれ以来、襲ってくるものもなくひたすら廊下が続くばかり、窓もなく時間の感覚すらなくなりそうだ。
「だけど、外から見た時、この建物ってそんなに大きかったっけ?」
 ふと、そんな疑問を漏らすのは、光球を持ったグルラディーヌ。
 そういえば、それほど大きな建物のような記憶はなかった。
 突然、レトが荷物の中から丸いものを取り出し床に置く。と、それは、ゆっくりと前方に転がっていくではないか。
「ここ、下り坂になってたんか」
 常人では、気づかないほどの傾斜なのだろう。
「もしかして、もう、教会の外に出てるかもな」
「・・・・」
 姉妹そろって、コメント出来ず。
 レトの手から離れた玉は、前面に広がる暗闇の向こうに吸い込まれていった。
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みらーじゅ 38

2008-12-23 12:21:03 | 小説 ミラージュ
 あれ、いっちゃった・・・・。
 確かにある程度のダメージは、与えられるのではないかと期待したものの、こうもあっさり逃げられてしまうと、罠かとも思ってしまう。
 追うべきか、・・・。と迷ったところ
「おーい、目あけていいか?」
 レトののんびりした声が聞こえた。
 見上げれば、律儀に目を閉じたレトとグリシーヌがいた。
「いいよ、目開けて」
 グルラディーヌの返事に二人が目を開ける。
「あれ、・・・・さっきのは?」
 辺りを見回すレトに
「向こうに、いっっちゃった」
 と、グルラディーヌが答えた。
「逃げたのか?」
「多分、ね」
「それで、どうしますの?」
「どうって・・・・」
「いくしか、ないでしょう」
「・・・・だな」
 廊下は、まだ奥まで続いている。一体、どこまであるんだ?
「ところで、何やったんだ?」
「は?」
 唐突なレトの問いに、気の抜けた声を出すグルラディーヌ。
「だから、どんな術使ったんだか知りたいんだけど」
「あぁ、それは、・・・・やってみる?」
「えええ、ちょっと待った、ストップ」
 をい。そこでどうして女の子の後ろに隠れる?
 レトがでかい体をグリシーヌの後ろに隠そうと・・・・、て、とても隠れられたものではないが。
「あのね。目つぶってる間、爆風とか衝撃とか感じたりした?」
 あまりの行動に、グルラディーヌがあきれた声をあげた。
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燃え

2008-12-22 21:42:44 | 朝の画像
これは、山火事の写真    ではありません。

大規模な朝焼けです。

あまりにも凄いので 思わず携帯カメラを構えてしまいました。

相変らず へたくそですが・・・・。

しかも、去年撮りためたうちの一枚です。

   2008/12/22  AM06:38  撮影
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朝の街路樹

2008-12-22 09:26:30 | 朝の画像
朝、通勤途中で空を見上げたら、木の枝に雲が引っかかっているように見えた。

で、バスを待ちながら 携帯カメラで カシャ 

いつものバス停 空の色が違うと 風景まで違って見える。


    そんな、ガラじゃないのになぁ・・・


   2008/12/22 撮影
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みらーじゅ 37

2008-12-21 16:53:22 | 小説 ミラージュ
 それにしても、いるはいるは異形の存在のオンパレード。
「後から後から、湧いてくるようですわね」
 じゃしっ
「どんだけいるんだ?」
 ぐわっしゃ
「さぁ  ねぇ? 『砕牙剣』」
 ざんっ 
 レトとグリシーヌだけには任せされないと、グルラディヌーも魔力の剣で応戦する。
 本当は、もう少し大きな魔力の術を使いたいのだが、左手がふさがっていて両手で印が結べないため、大技が使えない。
 後ろから襲われないですむのはありがたいのだが、これでは全然前に進めない。
 う~ん、困ったな。
 グルラディーヌも考えていた。それほどの魔力を使わず、両手で印を結ばずにすんで、比較的威力のある術は・・・・。
『裂風陣』
 同時に手前のモノが どん と、弾き飛ばされる。
 もともとこの術は、自分に向けて飛んできた矢などを弾き飛ばすのに使われる防御の術だが、すこし術の内容を変えれば、こういう使い方も出来る。あまり、攻撃力はないが・・・・。
 よし、次。と思った瞬間
「妹姫。火の術は、だめですわよ」
 グリシーヌの注意が飛ぶ。
 確かに燃えるものはないが、逃げ場もない。考えてみると、炎の術って使い勝手悪いかも・・・・。だったら
「姉姫、レト、ちょっと目つぶってて」
 言ったが早いか
『明球輪』
 術を放つ。
 ソレらの目の前で、爆発的な光が放たれる。
 うぎゃ  ぎゃぎゃ  きがぐえ   ・・・・
 光を浴びたソレらは、少しの間じたばたしていたが、グルラディーヌが新たに術を繰り出そうとしているのを見ると、慌てて奥へ逃げ出していった。
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みらーじゅ 36

2008-12-20 21:13:04 | 小説 ミラージュ
「嬢ちゃん。あれが、幻か実体か見分けがつくか?」
 そう、言いながら、レトが腰の剣に手をやる。
「実体の上に幻覚をかぶせているみたい。普通に生きているのは、いないみたいね」
 奥から押し寄せる、音と匂いでグルラディーヌが判断する。
「普通に生きているのは・・・・ね」
 レトがにやり と笑って剣の柄を ぽん と、叩いた。
 何事かと姉妹の視線が集中する中、すらり と、剣を抜く。と、そこに現れたのは、刃のない細身の剣。
 青白い光を放ち、刀身には複雑な文様が刻み込まれていた。
「妹姫、お願いしますわ」
 グリシーヌがグルラディーヌに抜き身の剣を渡す。
 それを受け取ったクルラディーヌが魔力を吹き込んだ。
 外見は何の変化もないが、これなら妖魔などとも多少は渡り合える。
「嬢ちゃん。それ、絶対なくすんじゃねーぞ」
 レトがグルラディーヌの抱えている袋を指差した。
「え、って、これなに?」
 そう言えば、袋の中身を知らずに持っていたのだった。
「竪琴、だそうだ。ただ、魔力が込められたものだそうだ。俺には、よく分からんが。チョウカがそう言うんだから、そうなんだろう」
 レトは、あまり興味がないようだが何かを感じたのだろう。
「ん、じゃ、行くか」
 レトが廊下の奥に向かって、足を踏み出した。
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朝日

2008-12-19 11:36:34 | 朝の画像
木々の間から差し込んでくる、朝日の光


   2008/12/19 撮影
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巣ごもりの緑

2008-12-18 21:27:38 | 植物
通勤途中で見つけた、枯葉の中の小さな緑

春と間違えたのだろうか?

本当の春まで 枯れないで欲しい   な。


   2008/12/18
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冬の街路樹

2008-12-18 17:00:24 | 通勤路
秋は、輝いていた街路樹の木々。

今は、葉が落ちきって寒々しい枝を伸ばしている。

枝の向こうの空が 青いなぁ・・・


てか、ピンボケだし・・・・(汗)


   2008/12/18  撮影

   
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みらーじゅ 35

2008-12-18 09:46:19 | 小説 ミラージュ
 きぃ・・・・
 三人が神殿(もどき)に着くのを待っていたように、入り口の扉が勝手に開いた。
はっきり言って、出来すぎである。
「いかにも、って感じだな・・・」
 それでも、入り口の前で一応足を止めてみる。で、さて、どうするか。
 一瞬考え込んだレトの脇を姉妹がすり抜ける。そして、
「行きませんの?」
 入り口の前に立ったグリシーヌが振り返った。
「ぐずぐずしてると、本当に日が暮れるよ」
 グルラディーヌも、すでに建物に入りかけている。躊躇も何もあったものではない。
 この二人、無敵かも・・・・。
 レトが二人に後に続いて、建物に足を踏み入れた。

 ぎ ぎ い・・・・・       ばたん

 と、ドアが閉まるのは、お約束。
 そして、侵入者を誘うように、黒い廊下の壁に明かりが灯るのも、お約束。
「ご丁寧なこって・・・」
 ぼそり と、レトの呟きに反応したように、廊下の奥がざわめいた。
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電線に引っかかった月

2008-12-16 21:15:20 | 月のある風景
通勤途中に撮った月

本当は、邪魔な人工物のないところで月を撮りたかったのだけど

うまい場所がなかった。

だったら、思いっきり人工物のなかで。


   2008/12/16  撮影
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霜色

2008-12-16 20:51:13 | 通勤路
木の枝にある時は、金色だった木の葉が、霜色になってしまいました。


   2008/12/16  撮影
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みらーじゅ 34

2008-12-14 16:55:11 | 小説 ミラージュ
 日がかなり傾いてきた。
「妹姫、どうですの?」
 日の傾き具合を気にしながら、グリシーヌの問いかけに、
「うん、・・・近いね。もうすぐ・・・」
 グルラディーヌが頷く。
 探るような足取りで雑木林を抜けた。
 ひゅー るー  風が吹く。と、周囲の空気が変わる。
 背の高い草をかき分けて見えたそこには、崩れかけた小さな神殿のような建物とその後ろに広がる沼であった。
「ここか?」
 レトに頷いて、グルラディーヌが神殿を指差す。
 夕日に照らされたその建物は、不気味なほどオレンジに映えていた。
「いくぞ」
 自分に気合を入れるように、レトが呟き足を踏み出す。
 姉妹が頷いて、その後に続いた。
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みらーじゅ 33

2008-12-13 22:25:08 | 小説 ミラージュ
「ね、レトは、チョウカのドラグス(呪歌)聞いた事ある?」
 グルラディーヌの問いかけに
「あぁ、一度だけな」
 レトが答える。
「どらぐす かどうかは分からんが、多分あれがそうだろうな」
 その時の事を思い出すように、レトが視線を宙におどらせる。
 はっきり言って、それが“どらぐす”か普通の歌か聞き分けなどつかないが、知らない言葉を使った歌をチョウカが歌った途端、空から襲ってきた怪物たちが ポトリ ポトリ と地面に落ち、眠ってしまったのだ。
「それって、こんな感じ?」
 一章節ほど歌ってみせたグルラディーヌに
「そう、それだ。その歌」
 レトが ぽん と、手を叩いた。
「それは、間違いなくドラグスよ」
 グルラディーヌがきっぱり、言い切る。
「はぁ、それって、何語で歌ってんだ?」
「たぶん、精霊語」
「なんで、そんなの知ってんだ?」
「そりゃぁ、チョウカがドラグナーだから・・・・」
「じゃなくて、あんたが何で知ってんのかって事を聞きてーんだけど。こっちのお嬢さんは、お前さんが知り合いに教わったって言ってたけど」
 前を歩く姉妹を見比べながら、言うレトに
「うん、まあ、そういうことよね。近所にいたのそういうの詳しい人が。あたし、そこによく入り浸ってたから」
 何気ない口調で言うグルラディーヌだが、レトは納得が出来ない。
「おい、普通、親が止めるんじゃねえのか、そんな事やってたら」
「だって、姉姫にはね、家庭教師つけたり色々お稽古事させたりしてたけど。あたしの場合、完全に ほったらかし だったから」
 ほったらかし を、思いっきり強調するグルラディーヌ。
「あら、あたくしだって、似たようなものですわ。家庭教師や他の人に任せたまま、何日も親の顔を見ない日がよくありましたもの」
 負けじとグリシーヌも言い返す。
 その後、レトが口を挟めないほどの、姉妹昔話が炸裂した。
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みらーじゅ 32

2008-12-12 09:30:14 | 小説 ミラージュ
 岩と小石と背の枯れたような色の低い草の生えた荒地をしばらく進むと、じょじょに草の色がみずみずしい色に変わり、草の背も高くなってきた。
 足元に気をつけないと、下草に足をとられる。
「おい、大丈夫か?」
 レトが前を歩く姉妹に声を掛けた。
「大丈夫」
 グルラディーヌの緊張した声が返って来る。
「そういえば、・・・」
 グリシーヌがレトを振り返った。
「突然こんなことを聞いて申し訳ないですけど、チョウカって、何者ですの?」
「本当に突然だな」
 レトが目を丸くする。が、考えてみれば、まともな自己紹介すらやっていなかった。
 それどころではなかった。というのが正直なところだが。
「その格好を見れば、レトが戦士・兵士の職についてることはわかりますわ。でも、チョウカは? 学者でもないし、ただの楽師にも思えませんし・・・」
 服装からすると楽師か吟遊詩人のようだが、それにしては、魔術師がらみの依頼を受けるなど只者とは思えない。
「まあ、俺も詳しくは知らんが、・・・何でも “どらぐなー” とか言ってたな」
「ドラグナー っ?」
 その言葉に反応したのは、グルラディーヌであった。
「知ってんのか?」
「ドラグナーって、あの、ドラグス(呪歌)の使い手のドラグナー(呪歌詩人)?」
「あのかそのか知らんが、多分、その “どらぐなー” の事だろう」
「ってことは、もしかして、あいつが狙う目的は・・・・」
 いいながら、グルラディーヌが持っているチョウカの包みをしっかり抱え込んだ。
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