病院の採血室の受付で見たことのある男性を見つけた。
名前を確認した時に聞いた名前は間違いなく昔の上司だった。
採血室でさらに確認したが
30年前に一緒に仕事をさせてもらった上司だった。
懐かしい。
仕事にはとても厳しい人だったが部下を守ってくれた。
いろいろな新しいことを企画し、職場に活気があった。
本当に楽しい毎日だった。
計算したら85歳くらいになっていらした。
次はもう会えないかもしれないので
私のことは覚えていないかもしれないが
絶対に声をかけようと心に決めた。
採血が終わって慌てて廊下に出ると
ソファのところで上司はまだ身支度をしていた。
思い切って声をかけた。
名前を告げると分かっていただいたようだ。
「その節は大変ご迷惑をおかけいたしました」とおっしゃった。
私は「あの頃が一番楽しかった」と言うことと「お会いできてよかった」ということを伝えた。
上司は「久しぶりに思い出した」と話し、少し涙ぐんでいらした。
声をかけてよかったと思った。
また病院でお会いできたらまた声をかけよう。