goo

映画「ウエストサイド物語」

午前十時の映画祭第5週は「ウエストサイド物語」1961年米。

監督 ロバート・ワイズ 出演 ジョージ・チャキリス ナタリー・ウッド ラス・タンブリン 

ゆっくりと始まるこの映画、序幕が4分ある。その段階で、もうセンスのよさを感じさせる。鋭い口笛に続く大音響の音楽。やがて画面は黄色から橙、紫、赤、青とゆっくり変化して、最後の青が、マンハッタン島を囲む海になる。カメラはNYの一角へとグーッと迫る。

「ロミオとジュリエット」のような悲恋、移民間の対立、非行少年グループの抗争、いろいろな要素をこめた作品で、映画化される前、ブロードウェイのミュージカルとして4年以上も上演されてきたそうだ。

NYの貧民街に跋扈する非行少年グループが主役である。
現実の暗さから目をそむけず、はっきりと描くという姿勢はミュージカルをすっかり変えてしまった。(佐藤忠男は1-3月NHKラジオ「世界の映画作家たち」でそれを惜しみ、それ以前のジーン・ケリーやフレッド・アステアを懐かしんでいる)ただ、恋の部分は、別にどうと言うことはなかった。音楽がほかと違ってスローなバラードだし、リチャード・ベイマーとナタリー・ウッドはどちらも顔が好きになれない。恋人が死のうとしている時にヒロインが朗々と歌い上げるのが変だ。

魅力は、少年グループ。青春(17歳だった)時代に始めて感得した「不良」の魅力とはこういうものだった。当時の不良は、行動が誰にも理解できるものだったし、それを大人に訴える言葉も持っていた。私はジョージ・チャキリスがお気に入りだったが、その後はあまりたいした映画に出ていないようだ。

争いの根っこには貧困と無知、そこから来る差別があり、差別される人々の中でも更に差別が起きる。女性や、あとからきた移民への差別。警官も一部と馴れ合っている。ちょっとした間の悪さや愚かさが連続して、争いを止める努力は瓦解し、悲劇的な最後へと向う。そこがシェイクスピア劇を思わせる。

始まりはあれほどゆっくり始まったのに、終りはあっけなく終る。

バーンスタインの最大傑作と言われている。彼はユダヤ人でゲイだったが、この作品の制作姿勢はそこからも影響を受けているかも知れない。

ロバート・ワイズ監督の作品
「サウンド・オブ・ミュージック」 12-10-04
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 音が聞こえる 映画「キャタ... »
 
コメント
 
 
 
青春でした (桃すけ)
2011-03-15 20:46:03
そうです、そうです。ああ、青春やったなあ。ジョージ・チャキリス魅力的でした。そのあと、ほんとうに大した映画にでていないてすよねえ。不良の魅力、そうですけれど、品があると思いません。汚くはないわ。あまり映画を見ない私ですが、とても印象に残っています。ナタリー・ウッド、あまり好きな顔ではない、というのも同感。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2011-03-16 06:47:32
桃すけさま
そうですよね、あの頃どれだけチャキリスが素敵だったか。またあの頃教室に1人か2人いた不良は、確かにかなり下品だったわね。この映画では、上品さと節度があった。当時は私も殆んど映画を見ていなくて、35歳過ぎからみ始めたようなもの。「ウエストサイド」も2年間は東京の日比谷でしか見られず地方にはそのあと回ってきたようです。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。