1、安倍政権の総決算
ここに来てSNSで炎上気味なのが検察庁法改正の問題だ。要するに、検事も国家公務員だから、定年も横並びにしよう、という法案。所が中身は「官邸が決定権を持っている」というから大問題になった。単に定年を他の公務員と同じ65歳に一律延長すればいいのに、定年を延長「できる」と、あやふやな外部の人事権介入を認める法案になっているのが「怪しい」と芸能人から火が付いて、退職検事総長達から意見書が提出されたりして、大揉めに揉めていた。どうやら今国会での成立は断念したみたいだが、これは一連の「安倍政権失敗」の総仕上げ的なダメージになりそうである。
そもそも黒川検事長の定年延長問題が閣議決定されて以来燻っている話だが、責任ある森法相が肝心の答弁で大迷走したから一気に野党が色めき立った。つまり、この検察庁法定年延長法案を強行採決すると、安倍政権および自民党の支持率が決定的に下がるかもしれない、と内心喜んだわけだ。これも何だか不思議な逆転心理だが、それを承知で無理やり通そうとしたところを見ると、余程切羽詰まっているに違いない、と誰しもが思ったのである。他ならぬ安倍首相に何らかの重大な法律違反疑惑があって、検察の今後の追求によっては「ロッキード疑獄」の二の舞になりかねない、と恐れているように見えるのだ。前回ベストテン形式で採点した安倍くんの能力云々は、ブログ読者にえらく評判が悪かったので放棄することにした。今回はコロナ対策で露呈された「指導者のあるべきリーダーシップ」という麺で書いてみたい。
1、コロナ対策に存在感示せず
安倍首相はコロナに対して、最初に「勝利の青写真」を掲げるべきだった、と私は思う。戦いに臨む武将は誰しもが、勝負に際して局面の詳細はまだ分からないにしても、「勝った暁」の褒賞配分などは、イメージ出来ている筈である。それがなければ、部下は戦えない。ところが最初に、北海道で緊急事態宣言が出た。北海道知事は菅官房長官と仲が良い。菅官房長官は河井法相辞任問題でミソがついており、期待の小泉ジュニア進次郎も微妙に不発で、「令和おじさん」で大フィーバーした辺りから「安倍首相とは疎遠」になっているから、ここらで一発逆転を狙った、との憶測も出ている。そんな中で「北海道に出し抜かれた」安倍首相が、慌てて発表したのが「突然の学校閉鎖」である。これが見事に失敗して、全国に大混乱を巻き起こしたのは皆さんの記憶に新しい。勿論、「勝利の青写真」を持っていればこの段階で先んじてマスコミに発表し、その「戦略に従って」の学校閉鎖だと国民を納得させられたであろう。安倍さんは、コロナに関しては「殆ど考えてなかった」というのが真実である。
そこで安倍さんの取った対策を列挙していくと、
a. 学校閉鎖
b. アベノマスク
c. 10万円給付
の、3つである。
しかも、どれも「何の役に立ったのか不明」の対策だ。感染爆発を防ぐという意味では、学校閉鎖は効果がないと「政府の専門家会議でも意見が出た」との報道もある。アベノマスクは未だに殆ど配布出来ていないし、契約企業の問題や予算が5分の1に減るなど「散々」な結果になって、「もう不要」と叩かれる始末だ。それに止めを刺すのが10万円給付の「ゴタゴタ」である(私の住む柏市は何日になるのやら・・・)。つまり、安倍首相自身の責任と肝煎りで発表した対策のすべてが、やることなすこと「コケている」のだ。おまけに自宅で自粛している星野源コラボ動画が「何様だよ!」ってんで世間の大顰蹙を買ってしまっては、あの温厚な安倍首相も「踏んだり蹴ったり」の有り様である。
2、検察庁法定年延長問題
それまでは「桜を見る会疑惑」で揉めていたのがウソみたいにコロナ一色になって、ちょっと安倍首相としては「一休み」出来たんじゃないだろうか。そうやって世間がコロナで頭が一杯なところを狙って、コッソリ黒川検事の定年延長を決めてしまった。反対はいろいろありそうだったが、野党も足並みが揃わずに閣議決定が通ってしまう。これを「そのままソッとしておけばいいものを」、検察庁法の定年延長という形で国会提出したもんだから大騒ぎになった。SNSで賛否両論が花盛りだが、要は「官邸の介入を合法化」と「黒川氏の定年延長による検事総長人事の恣意化」が争点である。これは黒川氏を定年延長せずに退職させ、検察庁法は「単に63歳を65歳まで延長するだけ」、とすれば「済む」話だ。これを変に捻じ曲げて政権に都合の良いようにしようというから、おかしくなる。しかし議席数を確保している自民党が力で押し切れば、何の問題も無く衆院を通過していた筈だ。これがこれほど騒ぎになっているのは、偏に「安倍首相の周りから人々が去っている」ことの現れではないだろうか。このままでは、アベノミクスで日本経済の劇的飛躍を成し遂げた功績も人気も、「楓の緑葉に映える朝露」のごとく消えてしまうのは必定の流れだ。そういえば安倍首相、最近の答弁では、官僚が作成したものをプロンプターを見ながら「ただ読むだけ」と揶揄されて、何だか心なしか「顔色が悪い」って評判である。
3、ホントは割と「けなげ」な性格
自分の発言・行動には責任を持つ生真面目なB型的性格が、逆境にあってはむしろ傷口を拡げる。そのいい例が、大失敗のアベノマスクだ。首相自身はかたくなに「ちっちゃい布製のマスク」を付けているが、周りの閣僚や官邸メンバーは、誰一人アベノマスクを付けている様子は見えない。これは配布がまだ全部終了していないというのもあるだろうが、やっぱ「使いづらい」のではないだろうか。見かけを余り気にしない議員達だから、「カッコ悪い」という理由ではないと私は見た。麻生財務大臣などは、見事なまでの「年寄りの嫌々マスク」でズレまくりだから、何にしても評価は「最低」である事間違いない。ここで「公務員お得意の忖度」が完璧に皆無なのは、もう誰も、安倍首相が政府のコロナ対策でリーダーシップを取っているとは思っていない、ということの証ではないだろうか。ここまで見捨てられると、ちょっと可哀想な気にもなるが、まあ、自業自得だよね。
4、トップに必要な資質はなんだろうか
そもそも安倍首相が野田佳彦元首相に代わって政権を握った時、大きく変化が始まって日本経済が伸びた原因が「アベノミクス」の成功である。安倍首相がもし「現状分析と判断力」を持つ政治家であったなら、アベノミクスには「実体経済の推進力は無かった」ことが分かっていたはずである。アベノミクスは株や投資家が潤っただけの「砂上の楼閣」なことは、当初から指摘されてきた。長年のデフレ圧力を解消するには、根本的な「問題解決の立案力」が不可欠である。ところが安倍首相の得意とするところは「気配りと人心掌握術」なのだ。それは「信賞必罰の公平性」とは真逆の「お友達政治」に現れて、持ち前の「憲法改正論議に見る国家観」から森友学園問題を引き起こし、加計学園問題・桜の会疑惑・IR不正から北方領土発言で非難轟々の議員が出るなど、政権不祥事が続出して来た。何か根本的な仕組みを変えようというよりも、「人の良さで皆をまとめる」現状維持タイプのリーダーである。つまり、岸元首相や佐藤元首相というリーダーの家系に生まれた、「お坊ちゃん」なのだ。言わば平成の藤原北家である。さしずめ安倍首相は、藤原道長ということになろうか。それにしても実績に乏しい首相である。海外の首脳に比べて存在感が薄い安倍首相の唯一の頼りは、アメリカのトランプ大統領と親密ということだが、最近はこれもちょっと怪しい。そこで中国の習近平主席に擦り寄る「二枚舌外交」を展開した。ところがコロナ問題でトランプと習近平とがバチバチやり合っていて、どっちを立てても「万事休す」になりそうな状態である。そこで、そろそろ引導を渡されそうな安倍政権がお坊ちゃん特有の、政権「嫌になっちゃった」投げ出し」をやりかねない、と永田町ではもっぱらの噂になっているというのだ。国民の目も「戦った結果の向こう傷」は許されるが、「せこい逃げ傷」ばっかでは冷ややかにならざるを得ない。冷静な目で安倍首相の過去の政策を見直してみると、実は経済は「コロナの前から失速していた」というのが分かってきた。例の消費税アップの影響がモロに出て、国民の消費意欲は既に減速していたのだ。それを官邸主導の「数字捏造のマジック」で乗り越えようとしたいた矢先に、コロナ台風が襲来したのである(おお、ラッキー!)。だが、その初動対応で「オリンピックと習近平」という一大イベントを守るために、感染の蔓延に対して適切な防御策を取らず「国民を犠牲にした」、という非難が出てしまった(そんなことに頭が回らなかっただけ、というのが真相のようだが)。この判断は安倍首相じゃなくても果たして出来たかどうかは難しいだろうが、政治家の評価は「すべて結果」である。所詮、ホームランが打てなければ、4番に据える理由は「無い」わけだ。
5、とうとう薪を捨てて、泥舟から逃げ出す議員達
安倍政権を支える「仲良しトリオ」の人間関係は、平たく言えばお坊ちゃんに群がる利益追求集団である。社会の傍系に鬱々としていた実力のある政治家が、ついに神輿を見限る時が来た。安倍首相を追い詰めるメンバーは、叩き上げの菅官房長官・古狸の二階幹事長・そしてじっとヤブに隠れて機を伺う石破議員と、顔ぶれは揃っている。一方、お仲間である「国民の気持ちを逆なでする麻生財務大臣」などは引き気味で、既に「政権崩壊は止められない」と腹をくくった感じで、身辺整理なのか、動きが「不活性化」しているのが哀愁を誘う。国会答弁で大炎上の森雅子法務大臣、それに自民党税制調査会長の甘利明議員などは一蓮托生、首相と最後まで運命を共にして、泥舟と一緒に沈没する組だろう。さようなら・・・。西村康稔経済再生担当大臣・萩生田光一文部科学大臣・加藤勝信厚生労働大臣など、大して実力がある訳でもないのにマスコミの矢面に立たされて割りを食った連中は、逆に首相に恨みを抱いてもおかしくはない。一番悪あがきをしそうなのが、30万円給付を「ちゃぶ台返し」された岸田政調会長の動向は、起死回生のホームランを打とうと躍起になって「どす黒い画策」を練っているに違いなく、今や永田町の政治ウォッチャー達の「注視する」ところである。公明党も離反しそうな雰囲気だし、もう「挽回する要素」が全く見えない死に体になってしまった。これ、英語で言うと「レームダック」である。英語で言うと、ちょっとカッコイイ感じがするが、どう言い換えてみようが意味するところは同じなので、間違いなきよう。まあ、私のブログを読むような「文字だらけの文章に抵抗がない人」であれば、まったく無用の心配であるが。もう安倍首相に忠誠を誓うのは「官邸に伺候する補佐官」だけしかいない。この関係は、本能寺の変の織田信長と森蘭丸だ。或いは、垓下の戦いで四面楚歌に包まれ敗れた「項羽と虞美人」というのが正しいかも。いろいろ考えてみると安倍さんは、皆さんが思っているほど悪い人間ではないんじゃないかと思えてきた。お坊ちゃんが調子に乗って「お友達政治」を続けてきたが、悲しいかな「周りを支える実行役」が離れて行くと、途端に「神輿は動かなく」なって、衆人環視の中で「道の真ん中に頓挫する」羽目に陥った。
コロナが終わるか安倍政権が消滅するか、何れにしても、もう終わりのようである。後は誰が引導を渡すのか?、だ。世の中、コロナで大混乱だが、その影に隠れて政権交代は静かに着々と進行していく。それはまるで、命を蝕む癌が、ステージ3から末期へと、身体全体へ転移するように、最後の時を刻んでゆく。そして、ただ一つ分かっていることは、今度は一気に「世代交代の嵐」が破壊的に吹き荒れるだろうという事である。
少なくとも今度の選挙においては、私は無名の新人に未来を託してみようか、と思っている。
ここに来てSNSで炎上気味なのが検察庁法改正の問題だ。要するに、検事も国家公務員だから、定年も横並びにしよう、という法案。所が中身は「官邸が決定権を持っている」というから大問題になった。単に定年を他の公務員と同じ65歳に一律延長すればいいのに、定年を延長「できる」と、あやふやな外部の人事権介入を認める法案になっているのが「怪しい」と芸能人から火が付いて、退職検事総長達から意見書が提出されたりして、大揉めに揉めていた。どうやら今国会での成立は断念したみたいだが、これは一連の「安倍政権失敗」の総仕上げ的なダメージになりそうである。
そもそも黒川検事長の定年延長問題が閣議決定されて以来燻っている話だが、責任ある森法相が肝心の答弁で大迷走したから一気に野党が色めき立った。つまり、この検察庁法定年延長法案を強行採決すると、安倍政権および自民党の支持率が決定的に下がるかもしれない、と内心喜んだわけだ。これも何だか不思議な逆転心理だが、それを承知で無理やり通そうとしたところを見ると、余程切羽詰まっているに違いない、と誰しもが思ったのである。他ならぬ安倍首相に何らかの重大な法律違反疑惑があって、検察の今後の追求によっては「ロッキード疑獄」の二の舞になりかねない、と恐れているように見えるのだ。前回ベストテン形式で採点した安倍くんの能力云々は、ブログ読者にえらく評判が悪かったので放棄することにした。今回はコロナ対策で露呈された「指導者のあるべきリーダーシップ」という麺で書いてみたい。
1、コロナ対策に存在感示せず
安倍首相はコロナに対して、最初に「勝利の青写真」を掲げるべきだった、と私は思う。戦いに臨む武将は誰しもが、勝負に際して局面の詳細はまだ分からないにしても、「勝った暁」の褒賞配分などは、イメージ出来ている筈である。それがなければ、部下は戦えない。ところが最初に、北海道で緊急事態宣言が出た。北海道知事は菅官房長官と仲が良い。菅官房長官は河井法相辞任問題でミソがついており、期待の小泉ジュニア進次郎も微妙に不発で、「令和おじさん」で大フィーバーした辺りから「安倍首相とは疎遠」になっているから、ここらで一発逆転を狙った、との憶測も出ている。そんな中で「北海道に出し抜かれた」安倍首相が、慌てて発表したのが「突然の学校閉鎖」である。これが見事に失敗して、全国に大混乱を巻き起こしたのは皆さんの記憶に新しい。勿論、「勝利の青写真」を持っていればこの段階で先んじてマスコミに発表し、その「戦略に従って」の学校閉鎖だと国民を納得させられたであろう。安倍さんは、コロナに関しては「殆ど考えてなかった」というのが真実である。
そこで安倍さんの取った対策を列挙していくと、
a. 学校閉鎖
b. アベノマスク
c. 10万円給付
の、3つである。
しかも、どれも「何の役に立ったのか不明」の対策だ。感染爆発を防ぐという意味では、学校閉鎖は効果がないと「政府の専門家会議でも意見が出た」との報道もある。アベノマスクは未だに殆ど配布出来ていないし、契約企業の問題や予算が5分の1に減るなど「散々」な結果になって、「もう不要」と叩かれる始末だ。それに止めを刺すのが10万円給付の「ゴタゴタ」である(私の住む柏市は何日になるのやら・・・)。つまり、安倍首相自身の責任と肝煎りで発表した対策のすべてが、やることなすこと「コケている」のだ。おまけに自宅で自粛している星野源コラボ動画が「何様だよ!」ってんで世間の大顰蹙を買ってしまっては、あの温厚な安倍首相も「踏んだり蹴ったり」の有り様である。
2、検察庁法定年延長問題
それまでは「桜を見る会疑惑」で揉めていたのがウソみたいにコロナ一色になって、ちょっと安倍首相としては「一休み」出来たんじゃないだろうか。そうやって世間がコロナで頭が一杯なところを狙って、コッソリ黒川検事の定年延長を決めてしまった。反対はいろいろありそうだったが、野党も足並みが揃わずに閣議決定が通ってしまう。これを「そのままソッとしておけばいいものを」、検察庁法の定年延長という形で国会提出したもんだから大騒ぎになった。SNSで賛否両論が花盛りだが、要は「官邸の介入を合法化」と「黒川氏の定年延長による検事総長人事の恣意化」が争点である。これは黒川氏を定年延長せずに退職させ、検察庁法は「単に63歳を65歳まで延長するだけ」、とすれば「済む」話だ。これを変に捻じ曲げて政権に都合の良いようにしようというから、おかしくなる。しかし議席数を確保している自民党が力で押し切れば、何の問題も無く衆院を通過していた筈だ。これがこれほど騒ぎになっているのは、偏に「安倍首相の周りから人々が去っている」ことの現れではないだろうか。このままでは、アベノミクスで日本経済の劇的飛躍を成し遂げた功績も人気も、「楓の緑葉に映える朝露」のごとく消えてしまうのは必定の流れだ。そういえば安倍首相、最近の答弁では、官僚が作成したものをプロンプターを見ながら「ただ読むだけ」と揶揄されて、何だか心なしか「顔色が悪い」って評判である。
3、ホントは割と「けなげ」な性格
自分の発言・行動には責任を持つ生真面目なB型的性格が、逆境にあってはむしろ傷口を拡げる。そのいい例が、大失敗のアベノマスクだ。首相自身はかたくなに「ちっちゃい布製のマスク」を付けているが、周りの閣僚や官邸メンバーは、誰一人アベノマスクを付けている様子は見えない。これは配布がまだ全部終了していないというのもあるだろうが、やっぱ「使いづらい」のではないだろうか。見かけを余り気にしない議員達だから、「カッコ悪い」という理由ではないと私は見た。麻生財務大臣などは、見事なまでの「年寄りの嫌々マスク」でズレまくりだから、何にしても評価は「最低」である事間違いない。ここで「公務員お得意の忖度」が完璧に皆無なのは、もう誰も、安倍首相が政府のコロナ対策でリーダーシップを取っているとは思っていない、ということの証ではないだろうか。ここまで見捨てられると、ちょっと可哀想な気にもなるが、まあ、自業自得だよね。
4、トップに必要な資質はなんだろうか
そもそも安倍首相が野田佳彦元首相に代わって政権を握った時、大きく変化が始まって日本経済が伸びた原因が「アベノミクス」の成功である。安倍首相がもし「現状分析と判断力」を持つ政治家であったなら、アベノミクスには「実体経済の推進力は無かった」ことが分かっていたはずである。アベノミクスは株や投資家が潤っただけの「砂上の楼閣」なことは、当初から指摘されてきた。長年のデフレ圧力を解消するには、根本的な「問題解決の立案力」が不可欠である。ところが安倍首相の得意とするところは「気配りと人心掌握術」なのだ。それは「信賞必罰の公平性」とは真逆の「お友達政治」に現れて、持ち前の「憲法改正論議に見る国家観」から森友学園問題を引き起こし、加計学園問題・桜の会疑惑・IR不正から北方領土発言で非難轟々の議員が出るなど、政権不祥事が続出して来た。何か根本的な仕組みを変えようというよりも、「人の良さで皆をまとめる」現状維持タイプのリーダーである。つまり、岸元首相や佐藤元首相というリーダーの家系に生まれた、「お坊ちゃん」なのだ。言わば平成の藤原北家である。さしずめ安倍首相は、藤原道長ということになろうか。それにしても実績に乏しい首相である。海外の首脳に比べて存在感が薄い安倍首相の唯一の頼りは、アメリカのトランプ大統領と親密ということだが、最近はこれもちょっと怪しい。そこで中国の習近平主席に擦り寄る「二枚舌外交」を展開した。ところがコロナ問題でトランプと習近平とがバチバチやり合っていて、どっちを立てても「万事休す」になりそうな状態である。そこで、そろそろ引導を渡されそうな安倍政権がお坊ちゃん特有の、政権「嫌になっちゃった」投げ出し」をやりかねない、と永田町ではもっぱらの噂になっているというのだ。国民の目も「戦った結果の向こう傷」は許されるが、「せこい逃げ傷」ばっかでは冷ややかにならざるを得ない。冷静な目で安倍首相の過去の政策を見直してみると、実は経済は「コロナの前から失速していた」というのが分かってきた。例の消費税アップの影響がモロに出て、国民の消費意欲は既に減速していたのだ。それを官邸主導の「数字捏造のマジック」で乗り越えようとしたいた矢先に、コロナ台風が襲来したのである(おお、ラッキー!)。だが、その初動対応で「オリンピックと習近平」という一大イベントを守るために、感染の蔓延に対して適切な防御策を取らず「国民を犠牲にした」、という非難が出てしまった(そんなことに頭が回らなかっただけ、というのが真相のようだが)。この判断は安倍首相じゃなくても果たして出来たかどうかは難しいだろうが、政治家の評価は「すべて結果」である。所詮、ホームランが打てなければ、4番に据える理由は「無い」わけだ。
5、とうとう薪を捨てて、泥舟から逃げ出す議員達
安倍政権を支える「仲良しトリオ」の人間関係は、平たく言えばお坊ちゃんに群がる利益追求集団である。社会の傍系に鬱々としていた実力のある政治家が、ついに神輿を見限る時が来た。安倍首相を追い詰めるメンバーは、叩き上げの菅官房長官・古狸の二階幹事長・そしてじっとヤブに隠れて機を伺う石破議員と、顔ぶれは揃っている。一方、お仲間である「国民の気持ちを逆なでする麻生財務大臣」などは引き気味で、既に「政権崩壊は止められない」と腹をくくった感じで、身辺整理なのか、動きが「不活性化」しているのが哀愁を誘う。国会答弁で大炎上の森雅子法務大臣、それに自民党税制調査会長の甘利明議員などは一蓮托生、首相と最後まで運命を共にして、泥舟と一緒に沈没する組だろう。さようなら・・・。西村康稔経済再生担当大臣・萩生田光一文部科学大臣・加藤勝信厚生労働大臣など、大して実力がある訳でもないのにマスコミの矢面に立たされて割りを食った連中は、逆に首相に恨みを抱いてもおかしくはない。一番悪あがきをしそうなのが、30万円給付を「ちゃぶ台返し」された岸田政調会長の動向は、起死回生のホームランを打とうと躍起になって「どす黒い画策」を練っているに違いなく、今や永田町の政治ウォッチャー達の「注視する」ところである。公明党も離反しそうな雰囲気だし、もう「挽回する要素」が全く見えない死に体になってしまった。これ、英語で言うと「レームダック」である。英語で言うと、ちょっとカッコイイ感じがするが、どう言い換えてみようが意味するところは同じなので、間違いなきよう。まあ、私のブログを読むような「文字だらけの文章に抵抗がない人」であれば、まったく無用の心配であるが。もう安倍首相に忠誠を誓うのは「官邸に伺候する補佐官」だけしかいない。この関係は、本能寺の変の織田信長と森蘭丸だ。或いは、垓下の戦いで四面楚歌に包まれ敗れた「項羽と虞美人」というのが正しいかも。いろいろ考えてみると安倍さんは、皆さんが思っているほど悪い人間ではないんじゃないかと思えてきた。お坊ちゃんが調子に乗って「お友達政治」を続けてきたが、悲しいかな「周りを支える実行役」が離れて行くと、途端に「神輿は動かなく」なって、衆人環視の中で「道の真ん中に頓挫する」羽目に陥った。
コロナが終わるか安倍政権が消滅するか、何れにしても、もう終わりのようである。後は誰が引導を渡すのか?、だ。世の中、コロナで大混乱だが、その影に隠れて政権交代は静かに着々と進行していく。それはまるで、命を蝕む癌が、ステージ3から末期へと、身体全体へ転移するように、最後の時を刻んでゆく。そして、ただ一つ分かっていることは、今度は一気に「世代交代の嵐」が破壊的に吹き荒れるだろうという事である。
少なくとも今度の選挙においては、私は無名の新人に未来を託してみようか、と思っている。
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