11月のタイ出張(CAFEO参加)の報告書作成
最終章「6 おわりに」の執筆に丸一日苦吟する
相手の「為になる」報告でなければ意味がない
皆が無視して居るアジア情勢を解説することに
6. おわりに
国際情勢は音を立てて変化している。米国主導のグローバル化が損座し、代わって俄かに中国が台頭し始めた。ASEANは統合から満3年、第一目標達成後の内部調整の課題が噴出しはじめ、いよいよ正念場を迎えている。
ラオスの脱落が懸念される一方ミャンマーの健闘が目立っていたがイスラム教徒(ロヒンギャ)問題が足枷となってきた。世代交代によりタイ・カンボジアの王政が弱体化し、それ故の国内政情不安定を「ASEAN」が補っている。
その「ASEAN統合」の目玉の一つは「民族和解」にあるはずだが、シンガポール及びインドネシアとならぶ最大指導国のマレーシアではマハティール元首相(92)の10年ぶりの復権により「マレー人優遇(中国系差別)政策」の復活が懸念される。これも、中国の「一帯一路」政策の影響に対する過剰反応ではないかと考えられる。習近平のなり振りかまわぬ「一帯一路」政策による急激な近代化の影響がASEANの随所に深い影をおとしている。
たとえば、今回見学したタイ王国の誇る「メガソーラ」のパネルも全て中国製とのこと。中国では自動車の「電気化」が急速に進んでいるとの噂も囁かれていた。(昨年訪問した上海空港ではリニヤ・モーターが実用化されていた)
今後、ASEANを始めアジア各国は(インドを除き?)欧米の影響を脱し「中国化」が進むと予測される。ただし、
ASEANの共通言語は将来とも「英語」(正統のイングリッシュに対してグローリッシュと呼ばれる簡略英語)であろう。従って、半世紀後のアジアの言語は、英語、中国語、日本語に集約されるのではないか(韓国ではかなり以前から英語ブームが続いている)。では共通貨幣はドルか元か。最近タイ・ミャンマーでは円が流通しはじめている。
こうした海外の趨勢に我が国内では(一時ニッサンやソニーの取締役会議が英語で行われているとの噂はあったが)ほとんど無頓着である(この「海外」という言葉自体が「特殊日本的」用語であることにも気が付かない)。
日本技術士会が2004年以降(故高城重厚国際委員会長等の提言により)青年技術士を毎年(当初は3人ずつ)CAFEOに参加させた結果、今回は11人もの青年技術士が、日本技術士会の補助金を当てにせず自費で参加し、各国の若手エンジニアとの交流を深めた事は朗報である。また、ASEAN各国でも、政治情勢に関係なく技術教育の相互認証と共通化が進められ、次世代のエンジニアが育ちつつあることが、明るいニュースである。(完)
タイのメガソーラにてProf.リディア(比)と
最終章「6 おわりに」の執筆に丸一日苦吟する
相手の「為になる」報告でなければ意味がない
皆が無視して居るアジア情勢を解説することに
6. おわりに
国際情勢は音を立てて変化している。米国主導のグローバル化が損座し、代わって俄かに中国が台頭し始めた。ASEANは統合から満3年、第一目標達成後の内部調整の課題が噴出しはじめ、いよいよ正念場を迎えている。
ラオスの脱落が懸念される一方ミャンマーの健闘が目立っていたがイスラム教徒(ロヒンギャ)問題が足枷となってきた。世代交代によりタイ・カンボジアの王政が弱体化し、それ故の国内政情不安定を「ASEAN」が補っている。
その「ASEAN統合」の目玉の一つは「民族和解」にあるはずだが、シンガポール及びインドネシアとならぶ最大指導国のマレーシアではマハティール元首相(92)の10年ぶりの復権により「マレー人優遇(中国系差別)政策」の復活が懸念される。これも、中国の「一帯一路」政策の影響に対する過剰反応ではないかと考えられる。習近平のなり振りかまわぬ「一帯一路」政策による急激な近代化の影響がASEANの随所に深い影をおとしている。
たとえば、今回見学したタイ王国の誇る「メガソーラ」のパネルも全て中国製とのこと。中国では自動車の「電気化」が急速に進んでいるとの噂も囁かれていた。(昨年訪問した上海空港ではリニヤ・モーターが実用化されていた)
今後、ASEANを始めアジア各国は(インドを除き?)欧米の影響を脱し「中国化」が進むと予測される。ただし、
ASEANの共通言語は将来とも「英語」(正統のイングリッシュに対してグローリッシュと呼ばれる簡略英語)であろう。従って、半世紀後のアジアの言語は、英語、中国語、日本語に集約されるのではないか(韓国ではかなり以前から英語ブームが続いている)。では共通貨幣はドルか元か。最近タイ・ミャンマーでは円が流通しはじめている。
こうした海外の趨勢に我が国内では(一時ニッサンやソニーの取締役会議が英語で行われているとの噂はあったが)ほとんど無頓着である(この「海外」という言葉自体が「特殊日本的」用語であることにも気が付かない)。
日本技術士会が2004年以降(故高城重厚国際委員会長等の提言により)青年技術士を毎年(当初は3人ずつ)CAFEOに参加させた結果、今回は11人もの青年技術士が、日本技術士会の補助金を当てにせず自費で参加し、各国の若手エンジニアとの交流を深めた事は朗報である。また、ASEAN各国でも、政治情勢に関係なく技術教育の相互認証と共通化が進められ、次世代のエンジニアが育ちつつあることが、明るいニュースである。(完)
タイのメガソーラにてProf.リディア(比)と