偉人とは大事をなす人であると思うは大なるまちがいである。偉人とは小事に忠実なる人である。小事に忠実なるがゆえに、その小事が積もりて、彼をして大ならしむるのである。
小人他なし、虚偽の人である。万事をごまかす人である。何事をも完全になさんと欲してその事を努めざる人である。ゆえに彼は生涯を費やして一事も成就し得ないのである。
偉人たらんと欲するか? はなはだ容易である。すべてなんじの手に来る事は、力を尽くしてこれをなすべしである。
誠実その事が偉大である。誠実をもって万事に当りて、何びとも偉大たらざらんと欲するも得ない。世にはいまだかつて誠実ならずして偉大なりし人のあったことはない。 (内村鑑三)
失敗は失敗にあらず。失敗は成功に達するの階段なり。
花落ちて実を結ぶがごとく、種死して芽出づるがごとく、失敗を重ねて成功は来るなり。
失敗は成功の順路にほかならず。全き者来らんがために、全からざる者廃(すた)るなり。
されば失敗せりとて何をか悲しまん。成功の一歩近づきしを喜び、感謝して働くべきなり。 (内村鑑三)