花の日本語

暑さが少し和らいだのは台風が影響しているからでしょうか。
庭のクレオメが風にゆらいで倒れそうです。

風に舞う蝶のような花の姿・・・そこから風蝶草という名がつけられrました。
白い羽根のような花びらと、触覚のように長く突き出たおしべが特徴です。

ところで、この風蝶草、現在日本では、ほとんど栽培されていないのだそうです。
その代わり、明治初期に入ってきた西洋風蝶草が日本中に広まって、風蝶草といえば、こちらを指すようになりました。

もともとの風蝶草が、お酒に酔ったとみたのでしょか、酔蝶花ともいうそうです。
クレオメより、風蝶花、酔蝶花といった方が風情がありますね。

そろそろ萩の花も見かけるようになりました。
『万葉集』では萩を詠んだ歌が約１４０首あり、花の中で最も多い数です。

萩のお花見もしていたそうですし、秋の七草でも筆頭にあげられています。
萩の花が咲いたことによって、秋が来たことを知ったのかもしれません。
秋知草（あきしりぐさ）と呼ばれるようになりました。

秋といえば、鹿の恋の季節だとか。
萩のそばで鳴く鹿を詠んだ歌も多く、いつしか萩は、鹿妻（しかつま）、鹿花妻（しかのはなづま）、鹿妻草（かのづまぐさ）
などど呼ばれるようになりました。

夏から秋に季節が移ろうとしています。
四季の風景の中に、必ず季節季節の花が咲いています。

昔から人は、草花を通して人生を知ったり、命を考えたりしてきました。
身の回りの植物たちが友だちであり、先生でもありまるで対話をするように眺めてきました。

昔からある花の日本語を知ることは、昔の人々からの言葉の贈り物のような気がしてきます。