のり巻き のりのり

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演劇鑑賞会 蟹工船

2016年11月20日 | つれづれ日記
定例の演劇鑑賞会がありました。
東京芸術座の「蟹工船」 小林多喜二の作品であることは誰でも知っているでしょう。



いわゆるプロレタリア文学の代表作です。
戦前の資本主義時代の労働者を描く小説で、カニ漁に携わる労働者たちが過酷な労働条件のもとで団結し資本家と対立する様を描いたものです。

戦前の資本家と労働者、ブルジョア階級とプロレタリア階級はすなわち人間そのものの格差でした。
人権を確立するための戦いだったのに、小林多喜二はじめ何人もの人々が拷問で命を落としていきました。

私は高校生の頃に読みました。「蟹工船」
大学生になると「社会思想史」「資本論」「マルクスレーニン主義」等の経済関係の書をかじり社会への扉をたたきました。

しかし現実の時代の流れにのみこまれ、すっかり忘れていた今、よみがえった「蟹工船」
2008年にもブームがあったといいます。なぜ今?

現代に復活した理由は、経済格差が拡大し、貧困層の労働実態・生活実態は戦前と変わらないではないかと、当事者たちが感じているためと指摘されています。



非正規雇用が拡大し、サービス残業の常態化、過労自殺の多発、形が変わっても「蟹工船」の時代の再来のようです。
劇中、労働者たちは言います。
「海軍は俺たちを守ってくれると思っていたのに、敵だったのか」と。

カムチャッカで漁をする船を守ってくれるはずの海軍(国家権力)が、実は労働者の取り締まりをすることになるとは。
それが国家です。

現在の政府の進む方向には何があるでしょう。不安の種は尽きません。
演劇であれ、文学であれ、音楽であれ、人権と平和な暮らしを守るために、あらゆる手段を使って表現していかなければならないのです。