とこのへや

とこの雑貨と、とこのお洒落着。とこは樺太に住んでいたことがあります。とこの嫁の体験談、日記、備忘など。

おいしかった、と言ってた!

2021-12-12 16:01:25 | 丘の上(認知症・入院)
姑とこ、今は特別養護老人ホームに入所している。

私たちは新型コロナウイルス感染防止のため、制限のある中、月に1度、面会のため施設を訪れる。

前回、寒いのよと言っていた姑とこのために、ユニクロで購入したフリースを持参した。

今回珍しく、前の面会者とすれ違った。窓の外からも、ちらりと人がいるのが見えたので、少し待たされるだろうことは予測できた。ちょっとばかり驚いたのは、面会に訪れている方が、グレーの髪を刈り上げたスタイルで、体格もがっしりとしていらしたので、お声を聴いたら女性だと判ったこと。
と、同時に男性の面会者は少ないのかなぁとも思った。

受付では、初めて対応してくださった女性だったが、とても親切でいらしたので、なんだかホッとした。
郵送されてくるお便りに、スタッフの紹介もあり、お名前は目にしていたが、これまでにない対応に感じた。
お声がけが優しい印象であること、入所者に対する姿勢が、尊厳あるものであることが、私の中ではかなり好印象であった。女性ならではの共感性あふれる対応である。
若手の男性スタッフも笑顔で丁寧な対応だったが、たまたま、そういうシーンがなかっただけかもしれないし、立場が異なるのかもしれないが、次回の予約などは、積極的に尋ねられたことはなかったなぁと思うのだ。
また、前の面会者が部屋を出てくるまでの間、エレベーターで上の階から車いすで移動してきた姑とこに、「こちら、どなたでしょうか、ご紹介いただけますか?」とタイミングを見て取次ぎ会話に入って来られるところなど、上手いなぁと思う。
通常、人とのやりとりって、そういう気遣いがあるものだけれども、入所するような老人は何も分からないと思っていると、このような対応はしてもらえないものだろう。

まずは、エレベーターホールの前で、車いすのとこ、顔色は良さそう。
目もしっかり開いている。
部屋が空きましたよ、といつもの面会の部屋に通していただき、対応してくれた女性が去ると、透明ビニール越しの会話が始まる。
今朝は食べられなかったの、と姑とこ。
食べたくないのよ。という。
この話題は今までも何度となく出てきた。そしていつもちょっと絶望っぽい話になる。が、今回は違ってた。
姑とこは、息子(夫)に「動いていないんだから」と言われて納得という表情の後、夜は寝られると言った。

以前は、寝られないのもネックで、睡眠薬を飲んでも、夜中に目が覚めると、こぼしていた。

私は、姑とこの変調は、睡眠薬の服用も遠因だったろうと思っている。
寝汗がひどい、夜中にパジャマがびっしょりになるほど汗をかく、もう着るパジャマなくなってくる、と。その数日後だった、妄想と思われるようなことを言ったのは。
そして鬱状態のような、なんらかの思い込みのような、さまざまなこと、悪いことをしたからもうダメだ、もう何もかも終わり。何も食たくないのよ、とも。

夫はしっかりしていたお母さんが、分かるような分からないような話をすることに驚いて、すぐ「怒りモード」となってしまう。私は一緒に居たら双方いけないと思ったので、まずはサービス付き高齢者住宅へと移ることを勧めた。
しかし、いつもなら見知らぬひとともすぐに打ち解けてコミュニケーションを取れる姑とこだったのに、「みんな私に早く出ていけと言ってる」と、周囲の人全てを疑っていた。
水にも何か入れられていると言って、食事もとらず、水も飲まなくなったので病院へ緊急搬送されたのだ。
入院は2年、食事がとれるようになっても、水分量が不足しており点滴の毎日。トイレに行こうとしたのか、ベッドから落ちたのか、床で寝ていることがあったので、拘束されていた。
食事のことを、「靴底を噛んでるのと一緒よ」と言っていた。

それが。
このあいだ、焼きそば、美味しかった。
と、言ったのだ。
さらに、「朝ごはん食べられなかったけど(その日)お餅つきをしてくれたのね、そのお餅、美味しかった」とも話してくれた。
「つきたてだった」「あんこ餅かな?」「そう、あんこ餅よ」
私は、嬉しかった。
夫も帰り道、「焼きそばとお餅、美味しいって言ってたね!」と驚いていた。嬉しい驚きである。

羊羹とか、どう?食べる?と夫が尋ねたら、とこは、うんうん、と肯定の様子。今までは、すーんって感じの無反応、もしくは「いらないわ」の一言だった。ベッドにほぼ横たわっている一日なのかもしれず、自分のベッドサイドの引き出しの中のモノも自由に見ることもできないのかもしれない。
以前、最中の差し入れをしたとき、1か月後に尋ねたら「ひとつ食べた」と言っていたが。
日持ちのするお菓子を渡しても、本人が食べたい時に食べることはできないのかもしれないという懸念はあるが、近く届けようと思う。

ほかに、介護を担当している方からのお便りに、「ロンドンの街並みなど見て私ここ行ったことあるのよと話してくださいました」とあり、動画サービスを利用したらしい。それを本人に尋ねてみたが、反応は、やや薄かった。
前回の面会時に、とこは海外旅行好きで、何度も行ってるんですと伝えてあったのだ。ヨーロッパの街並みとか、動画見たいんじゃないかなと。介護ご担当者のリップサービスだろうか。

しかし、食べたいものが本人からの話題に出るようになったのならば、前向きだと思っていいと思える。

以前の疑い深い目つきも、このところないので、あの妄想は終わったのかも。
とにかく、姑とこが「おいしかった」と言っていたことは、まるで明るい鐘の音の様に、響いた。

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