気楽に山歩き

山歩きもHPも気楽に楽しむ日々を綴ります。話題は主に山歩き関連です。

『蜜蜂と遠雷』 恩田陸著(幻冬舎)

2018年01月15日 | 
ピアノコンクールに参加する人たちの内面を含めた成長の様子が丁寧に描かれています。

クラシックに詳しい人には、より面白い作品かもしれません。

私は音楽に詳しくないのですが、活字で曲を奏でられているといった感じでしょうか。

コンクールの数日間を細かく綴られた長編ですが、曲を知らないながらもイメージが広がって一気に読了、楽しめました。

ピアニストとは特殊な才能の持ち主だなと、複雑な楽譜を器用に弾きこなすのを見て思います。

「本当に、一人の人間のできることは少ない、一人の人間に与えられた時間は短い。ちっぽけな短い人生のあいだにあたしはピアノに出会って、ピアノに人生の少なからぬ時間を費やし、こうして人に聴いてもらっている。・・・」というフレーズ、この後に続くフレーズもまた心に残ります。

この場合はピアノですが、あるいはそれに代わるものがある人は幸せです。

「音楽というその場限りで儚い一過性のものを通して、我々は永遠に触れているのだと思わずにはいられない。そう思わせてくれるのは、本物の演奏家だけであり、・・・」という所など読むと、あぁ、この短い一生の間に何も知りえていない自分が情けなくなってしまいます^^;

でも達成感とそのあとのモチベーションの維持を、山登りに例えていた【P.459】のは実に分かりやすいです(笑)

他にも「・・・人間というどろどろした沼から、いや、その混沌とした沼だからこそ、音楽という美しい蓮の花が咲く。」という言葉には救われますね。

その「蓮の花の種は千年経っても芽を出すことができるという。」、これは平泉でも知ったことでしたが、「まだまだ眠っている種が、次に咲くのを待っている種が、今この時も無数に埋もれているのかもしれない」・・・つまり将来の可能性とか、明るい未来とか、期待する気持ちとかを、特に若い人が持てたら良いと思いました。



恩田陸 1964年生まれ(53歳)

2016年発行

2017年(平成29年 )、第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞する。
直木賞と本屋大賞のダブル 受賞及び同作家2度目の本屋大賞受賞は、史上初。
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