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澤田ふじ子の『深重の橋』の下巻まで読み終えた。その才を見込まれ武具屋に引き取られた(牛)。激化する守護大名の勢力争い、度重なる凶作と飢饉、頻発する土一揆。そして日本文化を誕生させたといっても過言でない足利義政の為政―。やがて(牛)は応仁・文明の大乱の渦に身を投じる。そのたたかいの中で、(もも)との間に生まれた息子と悲劇的な対面をする。澤田ふじ子らしい、決して幸せでない結末が用意されている。やがて戦国時代につながっていく、応仁・文明の大乱の時代に題材をとりながら、「奴隷」として売られた(牛)らの、困難で波乱に飛んだ生きざまを描いた作品だ。
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