私が「ねじ式」(つげ義春)に出会ったのは1969年の頃?漫画月刊誌「ガロ」だった。友人の兄(大学生)が「少年よ、これが理解できるか。」と高校生になったばかりの私にニヤニヤ笑いながら本を開いたのだった。「暗い。」と思った。読んでも意味がわからないことばかりだった。しかし、漫画に出てくる登場人物たちは夢で会ったことのあるような・・・。そうだ、これは夢の中で遭遇した人々だと思った。夢で見た光景を後から付け加える。懐かしい。鼓動が高鳴ったのは少年が見てはならないようなタブーを感じたからだった。以来、ニヒリズム(虚無主義)とアナーキズム(無政府主義)を覚えた。それ自体をタブーだと思い込んでいた。だが、漫画は思想や哲学ではない。
この暗さを楽しめるようになったのは二十歳を過ぎた頃からだった。娯楽だ。娯楽の視野が広がったのだった。
三十を過ぎた頃、劇にしてみたいと思うようになった。記憶は螺旋階段を上るようにくるくると回っていた。劇団員たちに「ねじ式」を読ませると感動していた。口から泡を飛ばしながら「つげ義春」を語る仲間が集まっていた。世代は一回りも違う劇団員たちだったが、「ねじ式」を新鮮なものとして受け止めていたのだった。だが、劇にはできなかった。
私が四十代になって「ねじ式」の脚本にとりかかったが、書いては破り捨てる日が続いた。漫画を読んだ方が面白いからだ。劇は読むこと以上のことが起こらないと面白くない。
そして。・・・その時が来た。50代になって発酵してきた。
「ねじ式」公演年表
第43回公演「ねじ式Ⅰ」
「熊本関西演劇交流公演」於、熊本県立劇場地下特設小劇場 2005.11月
第44回公演「ねじ式Ⅱ」
福岡・熊本公演 2006.3月-4月
第45回公演「ねじ式Ⅲ」
名古屋・大阪・熊本・福岡公演 2006.8月
第55回公演「ねじ式 復活篇2011」3月
熊本市河原町ギャラリーADO
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「ねじ式」DVD◎実験シネマ
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