安野貴博さんの小説「松岡まどか、起業します(早川書房)」を読了しました。著者の安野貴博さんは昨年の都知事選に立候補した方(確か5位で落選?)ということで、少しボクも知っている方でした。「テクノロジーを通じて未来を描く」というスローガンを掲げて活動してきた、1990年生で無所属のAIエンジニア・起業家・SF作家です。東京生まれで、開成高校→東京大学と進んだ秀才です。
この小説、「AIスタートアップ戦記」という副題もついている通り、AIネイティブの女子大生がベンチャービジネスを起業して、経営者としても人間としても成長していくという物語です。amazonに掲載されていた、この小説の紹介文はこんな感じでした。
日本有数の大企業・リクディード社のインターン生だった女子大生の松岡まどかはある日突然、内定の取り消しを言い渡される。さらに邪悪な起業スカウトに騙されて、1年以内に時価総額10億円の会社をスタートアップで作れなければ、自身が多額の借金を背負うことに。万策尽きたかに思われたが、リクディード社で彼女の教育役だった三戸部歩が松岡へ協力を申し出る。実は松岡にはAI技術の稀有な才能があり、三戸部はその才覚が業界を変革することに賭けたのだった――たったふたりから幕を開ける、AIスタートアップお仕事小説!
いやぁ〜起業の大変さと痛快さを感じられて、おもしろかったです。著者の安野さんは、都知事選の公約で「テクノロジーを使って、誰も取り残さない」ということを掲げていたけれど、主人公の松岡まどかの仕事への理念の中に、AIと共存する社会に対する安野さんの想いが込められているんだなぁ…と感じました。
なんかTVドラマを見ているような感覚で小説にぐんぐん引き込まれ、ページをめくる指が止まりませんでした。たった2日間で読了してしまいましたよ。あぁ面白かった!いつテレビドラマや映画になってもおかしくない傑作だな…と思いました。ボク的には、主人公の”松岡まどか”は、芳根京子のイメージです。
小説の中の「世界に君の価値を残せ」という三戸部さんの言葉が、とても印象的で心に残りました。若い人たちがこの小説を読み、自分自身の仕事をするうえで、この言葉を胸に秘めながら少しでもこの世の中をよく出来るように頑張っていこうと思ってくれたらいいなぁ…と思いました。と同時に、「自分自身は多少なりとも、世の中に自分の価値を残すことができたかなぁ…」と己の人生を振り返りました。まぁほんの少しは足跡を残せたかな?
この小説、とても面白かったのですが、テーマが「生成AI」だけに最新のカタカナ言葉が多くてちょっと閉口しました。例えば無作為にボクが今開いたある1ページに登場している言葉を、抜き出してみますね。プロトタイプ、AIエージェント、ニッチ市場、アジリティ、イノベーション、カスタマイズ、HRソリューション、ローカルコミュニティ、フリーランスサービス…。まぁ、なんとなく雰囲気や前後の流れからニュアンスを理解できる言葉もあるけど、「さっぱりわかりませーん!」って言葉も小説全体の中には本当にたくさん出てきました。
本当はそれらの言葉の意味をしっかり調べて読み進めればいいのでしょうけど、今のボクにはとてもそんなガッツがありません。意味がわからない言葉もそのまま読み飛ばしてしまいました。まぁそれでも十分にこの小説の魅力を堪能できましたけどね。
まぁ去年の暮に「まちなかキャンパス」で、生成AIについて勉強したことがあったので、この分野に関する予備知識が少しあったこともヨカッタのかもしれません。
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実はこの小説は、いつも拝見している50foxさんのブログ「ON MY WAY」で紹介されているのを見て興味をもち、図書館に予約した本でした。
「松岡まどか、起業します ―AIスタートアップ戦記― 」(安野 貴博 著;早川書房)を読む - ON MY WAY
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面白い本を教えていただいた盟友・50foxさんに、感謝し御礼を申し上げます。ありがとうございました。