タケ・タケ・エヴリバディ!

当ブログは「竹林や自然と共に生きる」をメインテーマに、管理人の田舎暮らしの様子をお届けします。

「俺たちの箱根駅伝(上)」(池井戸潤)

2025年02月01日 | 読みました!見ました!

去年の7月に図書館に予約した池井戸潤の「俺たちの箱根駅伝(上)」が、ようやく順番が回ってきました。さすが人気作家・池井戸潤の作品です。期待以上に面白く、あっという間に読了してしまいました。

池井戸潤の小説って、「半沢直樹」や「花咲舞」などの銀行シリーズ、「下町ロケット」や「空飛ぶタイヤ」などの企業シリーズ、「陸王」や「ルーズヴェルト・ゲーム」などのスポーツシリーズなど、本当に多岐にわたります。この「俺たちの箱根駅伝」は、もちろん「箱根駅伝」をテーマにしたスポーツシリーズの小説です。期待に違わぬ面白さにグッと引き込まれてしまいました。

この小説は、箱根駅伝の本戦を逃した選手たちのみで結成された「学生連合」チームの話です。公式記録に残らない「学生連合」が箱根を走る意味とは何なのか?学生連合に参加する学生たちサイドと、箱根駅伝を中継するテレビ局側サイドの視点。同時並行で進んでいく構成なのですが、箱根駅伝を内と中の異なる視点から捉え、それにそれぞれの人間ドラマが加わるからとても面白いのですよ。

主人公である古豪・明誠学院大学陸上競技部の主将・青葉隼斗と、その他の学生連合参加選手それぞれの箱根駅伝への走りへの思いに心揺さぶられました。そして何より、明誠大学の新監督であり、学生連合チームも監督として指導する、甲斐真人のキャラクターの魅力にも魅せられます。上巻のラストは、箱根駅伝直前の最後の合宿の場面でした。なんかもう、感動で涙がこぼれてきましたよ。これ、絶対に映画かテレビドラマになりますね。

「もう一気に下巻まで読みたい!」ってところなのですが、いよいよ箱根駅伝の当日のレースが舞台になるであろう下巻は、図書館の予約が「あと34人待ち」なんですよ。う〜ん。この続きを読めるのは、まだ数か月先になりそうだなぁ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松岡まどか、起業します(安野貴博)

2025年01月28日 | 読みました!見ました!

安野貴博さんの小説「松岡まどか、起業します(早川書房)」を読了しました。著者の安野貴博さんは昨年の都知事選に立候補した方(確か5位で落選?)ということで、少しボクも知っている方でした。「テクノロジーを通じて未来を描く」というスローガンを掲げて活動してきた、1990年生で無所属のAIエンジニア・起業家・SF作家です。東京生まれで、開成高校→東京大学と進んだ秀才です。

この小説、「AIスタートアップ戦記」という副題もついている通り、AIネイティブの女子大生がベンチャービジネスを起業して、経営者としても人間としても成長していくという物語です。amazonに掲載されていた、この小説の紹介文はこんな感じでした。


日本有数の大企業・リクディード社のインターン生だった女子大生の松岡まどかはある日突然、内定の取り消しを言い渡される。さらに邪悪な起業スカウトに騙されて、1年以内に時価総額10億円の会社をスタートアップで作れなければ、自身が多額の借金を背負うことに。万策尽きたかに思われたが、リクディード社で彼女の教育役だった三戸部歩が松岡へ協力を申し出る。実は松岡にはAI技術の稀有な才能があり、三戸部はその才覚が業界を変革することに賭けたのだった――たったふたりから幕を開ける、AIスタートアップお仕事小説!


いやぁ〜起業の大変さと痛快さを感じられて、おもしろかったです。著者の安野さんは、都知事選の公約で「テクノロジーを使って、誰も取り残さない」ということを掲げていたけれど、主人公の松岡まどかの仕事への理念の中に、AIと共存する社会に対する安野さんの想いが込められているんだなぁ…と感じました。

なんかTVドラマを見ているような感覚で小説にぐんぐん引き込まれ、ページをめくる指が止まりませんでした。たった2日間で読了してしまいましたよ。あぁ面白かった!いつテレビドラマや映画になってもおかしくない傑作だな…と思いました。ボク的には、主人公の”松岡まどか”は、芳根京子のイメージです。

小説の中の「世界に君の価値を残せ」という三戸部さんの言葉が、とても印象的で心に残りました。若い人たちがこの小説を読み、自分自身の仕事をするうえで、この言葉を胸に秘めながら少しでもこの世の中をよく出来るように頑張っていこうと思ってくれたらいいなぁ…と思いました。と同時に、「自分自身は多少なりとも、世の中に自分の価値を残すことができたかなぁ…」と己の人生を振り返りました。まぁほんの少しは足跡を残せたかな?

この小説、とても面白かったのですが、テーマが「生成AI」だけに最新のカタカナ言葉が多くてちょっと閉口しました。例えば無作為にボクが今開いたある1ページに登場している言葉を、抜き出してみますね。プロトタイプ、AIエージェント、ニッチ市場、アジリティ、イノベーション、カスタマイズ、HRソリューション、ローカルコミュニティ、フリーランスサービス…。まぁ、なんとなく雰囲気や前後の流れからニュアンスを理解できる言葉もあるけど、「さっぱりわかりませーん!」って言葉も小説全体の中には本当にたくさん出てきました。

本当はそれらの言葉の意味をしっかり調べて読み進めればいいのでしょうけど、今のボクにはとてもそんなガッツがありません。意味がわからない言葉もそのまま読み飛ばしてしまいました。まぁそれでも十分にこの小説の魅力を堪能できましたけどね。

まぁ去年の暮に「まちなかキャンパス」で、生成AIについて勉強したことがあったので、この分野に関する予備知識が少しあったこともヨカッタのかもしれません。

 

「ChatGPT」ってすごいのね? - タケ・タケ・エヴリバディ!

今年最後の「まちなかキャンパス」の講座に参加してきました。今回のテーマはこれです。「今と日々を変える『ChatGPT』」。今、話題の「ChatGPT」についての、1時間半の1...

goo blog

 

実はこの小説は、いつも拝見している50foxさんのブログ「ON MY WAY」で紹介されているのを見て興味をもち、図書館に予約した本でした。

 

「松岡まどか、起業します ―AIスタートアップ戦記― 」(安野 貴博 著;早川書房)を読む - ON  MY  WAY

これは、今年出た本だ。本書の帯には、こう書いてあった。22歳の非力な新卒社長のミッションはたった1年で10億円企業を作ること⁉AIエンジニア&起業家にしてSF作家が描く、...

goo blog

 

面白い本を教えていただいた盟友・50foxさんに、感謝し御礼を申し上げます。ありがとうございました。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死んだ山田と教室(金子玲介)

2025年01月24日 | 読みました!見ました!

金子玲介さんの「死んだ山田と教室」(講談社)を読了しました。なんとも不思議な小説でした。

まずは、ストーリーの概要から。amazonに掲載されていた本書の紹介文書です。


夏休みが終わる直前、山田が死んだ。飲酒運転の車に轢かれたらしい。山田は勉強が出来て、面白くて、誰にでも優しい、2年E組の人気者だった。2学期初日の教室。悲しみに沈むクラスを元気づけようと担任の花浦が席替えを提案したタイミングで教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきたーー。教室は騒然となった。山田の魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。〈俺、2年E組が大好きなんで〉。声だけになった山田と、2Eの仲間たちの不思議な日々がはじまったーー。


まぁこの物語は、こんな奇想天外なストーリーとして始まります。実にくだらない。くだらないけど面白い。なんか自分自身のくだらなかった高校生活を思い出しながら(ずいぶん昔の話だけどね)、途中まで読み進めました。死んだ山田と会話を始める合言葉は「おちんちん体操第二」。なんかもう予備知識無しで読み始めたので、「あら、そう来たか~!」って感じ。男子高校生のふざけたノリが、懐かしくて心地よかったです。

山田はクラスの人気者で、面白くて、良いやつ。 でも本当は根暗で、擦れたところのある。そんな人間臭くて魅力的な山田の人物像が、小説を読み進めるに従ってありありと思い浮かんでくるような作品でした。

春が来てクラスが替わり、春が来てみんな卒業し、また春が来て..。教室は次第に静かになっていき、2Eのクラスメイトの生活や記憶から消えていく山田の孤独。さらに、山田を忘れられない和久津の孤独。小説の終盤は、山田と和久津の友情と生き方の物語。生きることの大切さをこんな形で見せられようとはねぇ…。最後は衝撃のクライマックスでした。

いろんな小説があるなぁ…としみじみ思った読書経験でした。ドラマや映画にしても面白いかもね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心の傷を癒やすということ(ドラマ)

2025年01月21日 | 読みました!見ました!

今年の1月17日は平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災から30周年ということで、テレビや新聞でもこのことが大きく取り上げられましたね。

今放送中のNHKの朝ドラ「おむすび」も、阪神・淡路大震災で被災した主人公一家が神戸の町で生きていく物語で、今は東日本大震災が発生した時代がドラマの舞台になっています。震災や防災、自助や共助、避難所生活や地域の絆など、この阪神・淡路大震災から30年のタイミングで、日本国民全体で考えいく機会にすることはとても意義のあることだと思います。

考えてみればこの1995年の阪神・淡路以降にも、何度となく大きな地震が日本列島を襲い大きな被害が発生しています。2004年の中越地震や2007年の中越沖地震はボクらの地元・新潟県で発生した忘れることのできない災害ですし、同じ2007年には能登半島地震も起きています。さらに、2011年には未曾有の大災害となった東日本大震災が、2016年には熊本で、2018年には北海道で大きな被害の地震が発生しています。昨年2024年の元旦に発生した(2度目の)能登半島地震は未だ記憶に新しいところです。今年になってからも宮崎で地震が起きましたし、今後は南海トラフ地震が現実のものとなることが懸念されています。

ちょうど30年前に発生した阪神・淡路大震災は、避難所運営、災害復興、仮設住宅、災害支援、公助や共助、ボランティア運営などなど、いろいろな面でその後に発生した災害対応の手本となった取組がスタートしており、そのノウハウは現在も継続的に蓄積され生かされています。いわば「近代における災害対応の原点が阪神・淡路大震災にある」とも言えると思います。

前置きがずいぶん長くなりました。先週NHKで、2020年に放送された4回シリーズのドラマ「心の傷を癒やすということ」が再放送されました。これは、阪神・淡路大震災の発生時、自ら被災しながらも、他の被災者の心のケアに奔走した若き精神科医・安克昌氏をモデルにしたドラマです。日本におけるPTSD(心的外傷後ストレス障害)研究の先駆者となった彼が寄り添い続けた人々との「心の絆」を描いています。

ボクは5年前にこのドラマを見損なっていたので、今回はしっかり録画をして全4回をじっくり見させてもらいました。

いや〜、いいドラマだったなぁ。柄本佑さんが演じる精神科医の安先生。彼自身の在日韓国人としての苦悩も描く初回から、回が進んで震災の起きた神戸で精神科医として働くもどかしさや、己の力のなさ(実際には十分あるのですが) に対する苦悶など、見ているこちらが辛くなるような、こんな真摯で純粋な人がいらっしゃったのか…と思い胸が締め付けられるような、そんなズッシリと心に響くドラマでした。

そして、精神科医として真摯に患者さんや周りの方に接する姿も、自身の弱いところを曝け出す姿も、人として見習うべきところがたくさんあるなぁと感じました。最終回で病魔に蝕まれた安先生が、「心のケアて何かわかった、誰も一人ぼっちにさせへんてことや」という言葉にも感動しました。安先生が3番目のお子さんの誕生と同時に、39歳という若さで逝去されたことが、残念でなりません。実話に基づいたドラマだけに、そのリアリティに胸が熱くなりました。

ドラマ名にもなっている「心の傷を癒やすということ」は、安先生の著書の題名でもあります。この本もぜひ読んでみたいなぁ…と思い、早速図書館に予約を入れました。難しい本なのかな?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「入船亭扇辰」独演会

2025年01月18日 | 読みました!見ました!

地元のアオーレ長岡で開かれた、入船亭扇辰の独演会に行ってきました。

さすがに一昨日に38℃の発熱があった時には、「せっかく前売りチケットを手に入れたのに、キャンセルかなぁ…」と半ばあきらめていたのですが、昨日の午前中に熱が平熱に戻り、しかも抗体検査でインフルエンザもコロナも陰性。「こりゃぁ神様が『独演会に行け』と言っている!」って思いましたよ。さすがにマスクはしていきましたけど、おかげさまで咳も出ませんでした。

入船亭扇辰さんは長岡市出身の落語家で、ボクの高校の後輩でもあります。彼は今年、還暦かな?61歳かな?まぁそんな年代です。ボクと高校生活は被っていないけど、落語好きのボクは、昔から「同窓生に噺家がいるのか…」って興味をもっていました。同窓会総会なんかで一席披露してもらったこともあったしね。彼の生落語を聴くのは、これで何回目かな?5回目くらいかな?

独演会はもちろん撮影・録音禁止なので、始まる前の会場をちょっと撮影しました。今日は昼の部・夜の部の二部構成だったそうですが、チケットは前売り完売だったとか。さすが、毎年恒例で行われる故郷での凱旋独演会です

そして、やはりさすが「名人・扇辰」です。マクラで地元ネタを取り入れてボクらの心をぐっと引き付け、メリハリのある迫力ある演目でボクらを唸らせました。いやぁ〜!楽しかった!魅せられました!笑いました!演じた演目は「道灌(どうかん)」と「小間物屋政談」の二席です。

「道灌」は以前に(たぶん)上野の鈴本演芸場で、別の落語家の噺で聞いたことがあった演目でしたが、扇辰さんの話芸にはすっかり引き込まれましたね。


八五郎が隠居の家にある太田道灌の掛け軸の絵の説明を聞く。道灌が狩に出かけにわか雨に遭い、雨具を借りにあばらやに入ると娘が山吹の枝を捧げる。「七重八重、花は咲けども山吹の みのひとつだになきぞ悲しき」という古歌のように、実と箕をかけて雨具のないことを断ったのだが、道灌は分からず家来から説明される。道灌は歌道に暗いことを嘆き、のちに大歌人になったという故事です。

八五郎は隠居に歌を書いてもらい、誰かが雨具を借りに来たらこの歌で断ろうと家に帰る。都合よく雨が降ってきたが、友達が雨具ではなく提灯を借りに来る。無理やり友達に「雨具を借りに来た」と言わせ、「七重八重・・・」の歌を見せる。→ここで最後のオチです。


「小間物屋政談」は、ボクは初めて聞いた噺でした。いやぁ〜扇辰さんの話芸(って言うか、もはや演劇でした)は芸術です。名人芸です。もう手に汗を握るストーリーの展開に、固唾を飲んで…っていうか、感情移入して…っていうか、すっかり引き込まれてしまいましたよ。ストーリーはこんな感じ。


小四郎という小間物屋が江戸から仕事で上方に向かう途中で、強盗に遭って身ぐるみを剥がれた江戸で大きな小間物屋を営む若狭屋仁兵衛を助ける。ところが仁兵衛は江戸に戻る途中に宿屋で急死。仁兵衛の身元を探るものは、小四郎の住所と名前が書かれた書き付けだけだった。間違えて小四郎が死んだと連絡を受けた女房や大家は葬式をあげ、大家の強い勧めで女房は新しい亭主と新たな幸せな人生を歩み始めた。そこに上方から小四郎が帰って来る。そこで巻き起こる大騒動…。


まぁこんな感じの噺でした。いやぁ〜面白かった!さすが!名人!入船亭扇辰です。生の落語は面白い!最高!でも、こうして地元で開催される独演会もいいけど、たまには上野の鈴本演芸場か浅草演芸ホールあたりで、何も考えずにボーっとしながら半日過ごして落語を楽しみたいなぁ…と思いました。コロナ禍以降、寄席にも行っていないからなぁ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする