”瀬尾まいこ”さんの「私たちの時代は(文藝春秋)」を読了しました。瀬尾さんの小説は、なんかボクの波長に合うんですよね。スッと受け入れられる感じがします。「そしてバトンは渡された」を読んで以来、「傑作はまだ」「君が夏を走らせる」「僕らのご飯は明日で待ってる」「ファミリーデイズ」「あと少し、もう少し」「春、戻る」など、今までにも数多く読ませてもらい、その都度いろいろ考えさせられ、「あぁ…いい小説だったなぁ…」と読後感を抱いてきました。
今回読んだ「私たちの世代は」は、コロナ禍に小学校3年生頃を過ごした2人の少女の成長の物語です。「あのコロナ禍の異常事態が小説の重要な要因になるんだな…」とあらためて認識させられました。あらすじはこんな感じです。
小学3年生になる頃、今までにない感染症の流行で不自由を余儀なくされた二人の少女、冴(さえ)と心晴(こはる)。母子家庭の冴は中学生になりイジメに遭い、心晴は感染症が落ち着いた休校明けに学校に行くきっかけを失って以来、引きこもりになってしまう。それでも周囲の人々の力添えもあり、やがて進学や就職の季節を迎える――。望まずしてマスク世代などのレッテルを貼られてしまった若者たちの生き方を描いた物語。(WEBサイト「本の話」より抜粋)
コロナ禍で学校が休みになったり登校に制限があった頃、きっとこの小説のなかのような子どもたちがいたのだろうな…。そんなことを思いながらこの小説を読み進めました。作者の瀬尾さんは、そんな子どもたちの姿や取り巻く周りの人たちを優しく描いています。
ボク的には、「冴ちゃんのお母さんの生き方がパワフルですごいな」と感動しました。そして、「親がいなくても、友達と上手くいかなくても、引きこもっていても大丈夫」とか「リアルでもネットでも誰かと繋がってさえいれば何とかなるよ」って、人と人との繋がりの大切さを教えてくれる物語でした。
終盤にいろいろな事柄がパタパタっと繋がっていく様は、読んでいて気持ちが良かったです。伏線回収、おみごと!って感じ。一番驚いたのは樋口くんと樋口くんのお兄さんと心晴ちゃんのつながりでした。「えー!」とびっくり。そしてハッピーエンドに心が温かくなる、素敵な物語でした。
本屋さんが近くにあれば、走りますよ。
瀬尾まいこさんの小説、どれも面白いですよ。お薦めです。ボクは小説は基本的に図書館で借りるようにしています。終活も視野に入れ、蔵書も大幅に処分しました。