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ティーエムピーワールドワイド事件東京地裁平成22年9月14日判決(労経速2086-31)

2010-12-24 | 日記
原告は,被告の正社員として一般事務等に従事していましたが,平成21年4月6日,身体,精神の障害により業務に耐えられないことなどを理由として解雇されました。
本件は,原告が,被告の社長や社員による集団的いじめや嫌がらせを受けて多大な精神的苦痛を被り,さらに本件解雇は解雇理由が存在せず,もしそうでなくても合理的相当性を欠き無効などと主張して,被告に対し,
①不法行為に基づく慰謝料等の損害賠償346万円及びこれに対する不法行為後である平成21年4月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払い,
②雇用契約上の地位確認,
③平成21年4月6日から同月20日までの賃金11万3500円及びこれに対する支払日の翌日である同月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払い,
④平成21年5月から本判決確定まで毎月25日限り賃金22万円及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払い
を求めた事案です。
これに対し,被告は,集団的いじめや嫌がらせの事実を,原告が業務上の指導をいじめ等と曲解しているという理由で否認し,また,本件解雇は解雇理由が存在し,合理性相当性も認められると主張して,原告の主張を争いました。

本判決は,集団的いじめや嫌がらせの事実の存在を否定し,解雇を有効とした上で,原告の請求を棄却しました。
本件は,原告の行動や主張内容が不適切だったことが判決の結論に影響していると考えられますが,使用者側の良かった点としては,「被告は,4月9日に本件解雇の意思決定をするまでは,原告に対し,仕事を続けたいのでこうするという意見表明の機会を与えて,退職を選択しない余地を残している。」という点が挙げられると思います。
解雇に先立ち,まずは,労働者が退職せずに済む方法について,しっかり検討すべきなのです。
しっかり検討し,それなりの対応をしたからこそ,その後の解雇が有効となったわけです。


弁護士 藤田 進太郎
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