弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログです。

サービス内容

2012-12-25 | 日記
サービス内容

1 労働問題の予防解決(使用者・経営者側専門)

 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係を構築して労働問題のストレスから会社経営者を解放したいという強い想いを持っており,様々な業種の企業の顧問弁護士として,
① 健全な労使関係の構築
② 解雇・退職勧奨,解雇・退職に関する紛争の対応
③ 残業代請求対策,残業代請求に対する対応・他の従業員への波及防止・労基署対応
④ 問題社員対応
⑤ 労働審判・労働訴訟・仮処分の対応
⑥ 団体交渉,労働委員会における不当労働行為救済申立事件・あっせん・調停の対応
⑦ 長時間労働,うつ病,過労死,過労自殺,セクハラ,パワハラ,石綿(アスベスト),じん肺等に関する損害賠償請求の対応
等に力を入れています。
 労働問題でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。

2 企業法務・訴訟対応等

 様々な業種の企業の顧問弁護士として,企業法務全般・訴訟対応等を行っています。

3 企業向けの一般労働相談

 顧問弁護士となっていない企業向けの一般労働相談を行っていますので,従業員とのトラブル等,労働問題でお悩みでしたら,お気軽にご相談下さい。

4 倒産処理・破産管財業務

 企業の代理人として破産を申し立てたり,東京地裁から破産管財人に選任されて破産管財業務を行ったりしています。

5 その他

 経営者・人事労務担当者向けに,労働問題に関するセミナー講師等(所長ご挨拶ページ「主な講師担当セミナー・講演・著作等」参照)を行っています。
 その他,顧問弁護士を務めている企業の関係者からの様々な相談に応じています。

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四谷麹町法律事務所

2012-12-25 | 日記
四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係を構築して労働問題のストレスから会社経営者を解放したいという強い想いを持っており,使用者・経営者側専門の弁護士として,健全な労使関係の構築,労働問題の予防解決,問題社員・団体交渉・労働審判等の対応に力を入れています。
 労働問題,団体交渉,労働審判の対応でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎東京)にご相談下さい(使用者・経営者側専門)。

 近年,競争の激化等により企業に余裕がなくなっていることや労働者の権利意識が高まっていること等を背景として,解雇,退職勧奨,残業代などに関する労使紛争が急増し,会社経営者が労働問題の強いストレスにさらされることが多くなっています。
 健全な労使関係の構築方法について十分に検討・実施していない会社,労働問題に対するリスク管理意識が希薄な会社がまだまだ多く,無防備な状態のまま,採用すべきでない問題社員を安易に採用したり,必要な注意指導を怠ったまま問題社員を放置して職場環境を悪化させて周囲の社員や顧客に迷惑をかけたり,残業代請求対策を取らないまま残業させて高額の残業代請求のリスクにさらされていたりするケースが散見されます。
 問題社員の言動による職場環境の悪化を原因として多数の退職者が出たり,顧客からのクレームが多発したりして追い詰められてやっと問題社員の対応を検討し始めるものの,適切な対処方法がわからず,必要な手順を踏まずに従業員をいきなり解雇した結果,解雇された労働者から内容証明郵便が届いたり,合同労組から団体交渉を申し入れられたり,労働審判を申し立てられたりして,不当に非難されて強いストレスにさらされるだけでなく,解雇が無効であることや多額の残業代が未払となっていること等を理由として多額の解決金の支払を余儀なくされるケースが多いというのが実情です。
 四谷麹町法律事務所に相談にお越しになった多数の会社経営者が,本当につらそうな様子で,社員に裏切られたとか,詐欺にあったようなものだとか,社員にも裁判官にも経営者の苦労を分かってもらえないだとか,法律が社会の実情に合っていないだとか嘆いてがっかりしている姿を見ていると,本当に残念な気持ちになります。
 せっかく一生懸命育ててきた会社なのですから,労働問題で大きなダメージを被って取り返しがつかない結果になる前に,対処していかなければなりません。

 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係を構築して労働問題のストレスから会社経営者を解放したいという強い想いを持っており,使用者・経営者側専門の弁護士として,健全な労使関係の構築,労働問題の予防解決,問題社員・団体交渉・労働審判等の対応に力を入れています。
 労働問題団体交渉労働審判対応でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

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有期契約労働者の試用期間

2012-12-21 | 日記
Q248 有期契約労働者についても試用期間を設けることができますか?


 民法628条は,「やむを得ない事由」があるときに契約期間中の解除を認めていますが,労契法17条1項は,使用者は,有期労働契約について,やむを得ない事由がある場合でなければ,使用者は契約期間満了までの間に労働者を解雇できない旨規定されています。
 労契法17条1項は強行法規ですから,有期労働契約の当事者が民法628条の「やむを得ない事由」がない場合であっても契約期間満了までの間に労働者を解雇できる旨合意したり,就業規則に規定して周知させたとしても,同条項に違反するため無効となり,使用者は民法628条の「やむを得ない事由」がなければ契約期間中に解雇することができません。
 このため,例えば,契約期間1年の有期労働契約者について3か月の試用期間を設けた場合,試用期間中であっても「やむを得ない事由」がなければ本採用拒否(普通解雇)できないものと考えられます。
 3か月の試用期間を設けることにより,「やむを得ない事由」の解釈がやや緩やかになる可能性はないわけではありませんが,大幅に緩やかに解釈してもらうことは期待できないものと思われます。
 したがって,有期契約労働者についても試用期間を設けることはできるものの,その法的効果は極めて限定されると考えるべきことになります。

 では,どうすればいいのかという話になりますが,有期労働契約者には試用期間を設けず,例えば,最初の契約期間を3か月に設定するなどして対処すれば足ります。
 このようなシンプルな対応ができるにもかかわらず,有期契約労働者にまで試用期間を設けるのは,あまりセンスのいいやり方とは言えないのではないでしょうか。
 正社員とは明確に区別された雇用管理を行うという観点からも,有期契約労働者にまで試用期間を設けることはお勧めしません。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨が違法とならないための心がけ

2012-12-21 | 日記
Q247 退職勧奨が違法とならないために,退職勧奨の各担当者はどのようなことを心がければよろしいでしょうか?


 退職勧奨のやり取りは無断録音されていることが多いということは既にお話ししました。
 退職勧奨の各担当者が,自分の行っている退職勧奨のやり取りは全て無断録音されていて,訴訟になった場合は全てのやり取りが裁判官にも上司にも世間一般にも明らかにされることを覚悟した上で,退職勧奨を行って下さい。
 それだけの自覚があれば,よほど退職勧奨に向いていない方でない限り,違法となるような退職勧奨を行うことはないのではないかと思います。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨が違法なることはありますか?

2012-12-21 | 日記
Q246 退職勧奨が違法なることはありますか?


 退職勧奨を行うことは,不当労働行為に該当する場合や,不当な差別に該当する場合などを除き,労働者の任意の意思を尊重し,社会通念上相当と認められる範囲内で行われる限りにおいて違法性を有するものではありません。
 しかし,その説得のための手段,方法がその範囲を逸脱するような場合には違法性を有し,使用者は当該労働者に対し,不法行為等に基づく損害賠償義務を負うことがあります。

弁護士 藤田 進太郎

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事務所案内 四谷麹町法律事務所

2012-12-20 | 日記
事務所概要




法律事務所名

四谷麹町法律事務所



所在地

〒102-0083
東京都千代田区麹町5丁目4番地
クロスサイド麹町8階
MAP



アクセス情報


四ッ谷駅(JR中央線・総武線,丸ノ内線,南北線)麹町口・1番出口から徒歩4分
麹町駅(有楽町線)4番・5番出口から徒歩4分
オリコ本社ビル・麹町東急ビルの時間貸し駐車場から徒歩2分
新宿通り(麹町大通り)「麹町六丁目」信号機・「仲良し公園」そば



電話番号

03-3221-7137



FAX番号

03-3221-7138



所属弁護士

藤田 進太郎(所長)
野口 成貴



営業時間

9:30~17:30



定休日

土曜日,日曜日,祝祭日,年末年始(12月29日~1月3日)

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錯誤(民法95条),強迫(民法96条)と合意退職の効力が否定されるリスク

2012-12-20 | 日記
Q245 退職届を提出して退職した元社員から,錯誤(民法95条),強迫(民法96条)等を理由として,退職は無効だと主張されています。合意退職の効力が否定されるリスクは,どれくらいありますか?


 退職届を提出して退職した元社員から,錯誤(民法95条),強迫(民法96条)等を理由として,合意退職の効力が争われることがあります。
 しかし,退職届が提出されていれば,合意退職の効力が否定されるリスクはそれほど高くはないのではないかという印象です。
 錯誤,強迫の主張が認められ,合意退職の効力が否定される典型的事例は,「このままだと懲戒解雇は避けられず,懲戒解雇だと退職金は出ない。ただ,退職届を提出するのであれば,温情で受理し,退職金も支給する。」等と社員に告知して退職届を提出させたところ,実際には懲戒解雇できる事案であることを主張立証できなかったケースです。
 したがって,退職勧奨するにあたり,「懲戒解雇」という言葉は使うべきではありません(無断録音されています。)。
 同様の話は,普通解雇についても当てはまります。

弁護士 藤田 進太郎

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退職届(合意退職の申込み)の撤回を防止するためには,どうすればいいでしょうか?

2012-12-20 | 日記
Q244 退職届(合意退職の申込み)の撤回を防止するためには,どうすればいいでしょうか?


 退職勧奨に応じた労働者から退職届の提出があったら,退職を承認する権限のある上司が速やかに退職承認通知書を作成し,事前に写しを取った上で,当該労働者に交付して下さい。
 退職届を提出した労働者に対し,退職承認通知書を交付すれば,その時点で合意退職が成立しますから,退職届(合意退職の申込み)の撤回は認められなくなります。

弁護士 藤田 進太郎

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退職届(合意退職の申込み)の撤回

2012-12-20 | 日記
Q243 退職届(合意退職の申込み)の撤回はいつまでであれば認められますか?


 退職勧奨を受けた労働者が退職届を提出して合意退職を申し込んだとしても,社員の退職に関する決裁権限のある人事部長や経営者が退職を承諾するまでの間は退職の合意が成立していません。
 したがって,社員の退職に関する決裁権限のある人事部長や経営者が退職を承諾するまでの間であれば,労働者は信義則に反するような特段の事情がない限り合意退職の申込みを撤回することができます。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨に応じた社員が,退職届に押印する印鑑を持ち合わせていないと言っている場合

2012-12-20 | 日記
Q242 退職勧奨に応じた社員が,退職届に押印する印鑑を持ち合わせていないと言っている場合は,どうすればよろしいでしょうか?


 退職勧奨に応じた社員が印鑑を持ち合わせていないと言っている場合は,差し当たり,退職届に署名させて下さい。
 押印は,後から印鑑を持参させて面前でさせれば足ります。

弁護士 藤田 進太郎

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会社を辞めると言い残して退職届も提出せずに出て行ってしまった社員の対応

2012-12-20 | 日記
Q241 社員の態度が悪いため改善するよう指導したところ口論になり,当該社員は会社を辞めると言い残して退職届も提出せずに出て行ってしまいました。どのように対応すればいいでしょうか?


 まずは,本人と連絡を取って,会社を辞めるのであれば退職届を提出するよう促して下さい。
 退職届等の客観的証拠がないと,口頭での合意退職が成立したと会社が主張しても認められず,解雇したと認定されたり,職場復帰の受入れを余儀なくされたりすることがあります。

 退職届を提出するよう促しても提出しない場合は,電子メールか書面で,会社を辞めるのであれば退職届を提出するよう促すとともに,退職する意思がないのであれば出社するよう促し,解雇していない事実を明確にして下さい。
 最近では,使用者や上司を挑発して解雇の方向に話を誘導して会話を無断録音し,後になってから不当解雇だと主張して多額の解決金を獲得しようとする問題社員が増加しています。

弁護士 藤田 進太郎

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トラブルの多い社員が定年退職後の再雇用を求めてくる。

2012-12-19 | 日記
Q22 トラブルの多い社員が定年退職後の再雇用を求めてくる。


(1) 高年齢者雇用確保措置の概要
 高年齢者雇用安定法9条1項は,65歳未満の定年の定めをしている事業主に対し,その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため,
① 定年の引上げ
② 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは,当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
③ 定年の定めの廃止
のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければならないとしています。
 そして同条第2項において,過半数組合又は過半数代表者との間の書面による協定により,②継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定めることができる旨規定されています。
※ 平成22年4月1日から平成25年3月31日までは,上記「65歳」を「64歳」と読み替えることになるため(附則4条1項),雇用確保措置が義務付けられているのは64歳までですが,65歳までの雇用確保について「努力」義務が課せられています(附則4条2項)。

(2) 雇用確保措置の内容
 厚生労働省の「今後の高年齢者雇用に関する研究会」が取りまとめた「今後の高年齢者雇用に関する研究会報告書」によると,平成22(2010)年において,雇用確保措置を導入している企業の割合は,全企業の96.6%であり,そのうち,
① 定年の引上げの措置を講じた企業の割合 → 13.9%
② 継続雇用制度を導入した企業の割合    → 83.3%
③ 定年の定めを廃止した企業の割合      → 2.8%
です。
 多くの企業が,正社員の60歳定年制を維持しつつ,継続雇用制度を導入していることが分かると思います。

(3) 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準
 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準は具体的で客観的なものである必要があり,トラブルが多い社員は継続雇用の対象とはならないといった抽象的な基準を定めたのでは,公共職業安定所において,必要な報告徴収が行われるとともに,助言・指導,勧告の対象となる可能性があります(平成25年4月1日以降は企業名が公表される可能性もあります。)。
 健康状態,出勤率,懲戒処分歴の有無,勤務成績等の客観的基準を定めるべきでしょう。
 「JILPT「高齢者の雇用・採用に関する調査」(2008)」によると,実際の継続雇用制度の基準の内容としては,以下のようなものが多くなっています。
① 健康上支障がないこと(91.1%)
② 働く意思・意欲があること(90.2%)
③ 出勤率,勤務態度(66.5%)
④ 会社が提示する職務内容に合意できること(53.2%)
⑤ 一定の業績評価(50.4%)

(4) 就業規則の変更・届出義務
 常時10人以上の労働者を使用する使用者が,継続雇用制度の対象者に係る基準を労使協定で定めた場合には,就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」に該当することとなるため,労基法第89条に定めるところにより,労使協定により基準を策定した旨を就業規則に定め,就業規則の変更を管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

(5) 高年齢者雇用安定法9条の私法的効力
 高年齢者雇用安定法9条には私法的効力がない(民事訴訟で継続雇用を請求する根拠にならない)と一般に考えられていますが,就業規則に継続雇用の条件が定められていればそれが労働契約の内容となり,私法上の効力が生じることになります。
 したがって,就業規則に規定された継続雇用の条件が満たされている場合は,高年齢者は,就業規則に基づき,継続雇用を請求できることになります。
 就業規則に定められた継続雇用の要件を満たしている定年退職者の継続雇用を拒否した場合,会社は損害賠償義務を負う可能性があることに争いはありませんが,裁判例の中には,解雇権濫用法理の類推などにより,継続雇用自体が認められるとするものもあります。

(6) 継続雇用後の雇止め
 高年法9条が65歳までの高年齢者雇用確保措置を講じることを要求している以上,通常は65歳まで有期労働契約が更新されるなどして雇用が継続されることにつき合理的理由があるものと考えられます。
 したがって,契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合,使用者が当該申込みを拒絶することが,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められないときは,使用者は,従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされる可能性が高いものと思われます。
 最高裁第一小法廷平成24年11月29日判決は,定年に達した後引き続き1年間の嘱託雇用契約により雇用されていた労働者の継続雇用に関し,東芝柳町工場事件最高裁判決,日立メディコ事件最高裁判決を引用して,「本件規程所定の継続雇用基準を満たすものであったから,被上告人において嘱託雇用契約の終了後も雇用が継続されるものと期待することには合理的な理由があると認められる一方,上告人において被上告人につき上記の継続雇用基準を満たしていないものとして本件規程に基づく再雇用をすることなく嘱託雇用契約の終期の到来により被上告人の雇用が終了したものとすることは,他にこれをやむを得ないものとみるべき特段の事情もうかがわれない以上,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められないものといわざるを得ない。したがって,本件の前記事実関係等の下においては,前記の法の趣旨等に鑑み,上告人と被上告人との間に,嘱託雇用契約の終了後も本件規程に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係が存続しているものとみるのが相当であり,その期限や賃金,労働時間等の労働条件については本件規程の定めに従うことになるものと解される」と判示しています。

(7) 平成25年4月1日施行予定の改正高年法
 平成25年4月1日施行予定の『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律』では,
① 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
について規定されています。
 平成25年4月1日の改正法施行の際,既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準については,平成37年3月31日までの間は,段階的に基準の対象となる年齢が以下のとおり引き上げられるものの,なお効力を有するとされています。
  平成25年4月1日~平成28年3月31日 61歳以上が対象
  平成28年4月1日~平成31年3月31日 62歳以上が対象
  平成31年4月1日~平成34年3月31日 63歳以上が対象
  平成34年4月1日~平成37年3月31日 64歳以上が対象
 平成25年4月1日施行予定の改正法では,その他,
② 継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大
③ 義務違反の企業に対する公表制度の導入
④ 高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定
等についても規定されています。

(8) 希望者全員を継続雇用するという選択肢
 トラブルの多い社員が定年退職後の再雇用を求めてくることに対する対策としては,通常は,
① 継続雇用制度を採用した上で,「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」を定める
か,
② 再雇用自体は認めた上で,トラブルが生じにくい業務を担当させる(接客やチームワークが必要な仕事から外す等。)ことや,賃金の額を低く抑えること等により不都合が生じないようにすること
が考えられます。
 継続雇用制度を採用した上で,「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」を定める方法によりトラブルの多い社員の継続雇用を阻止することができればそれに越したことはありませんが,基準は明確なものでなければならず,就業規則で定める継続雇用の要件を満たす場合には再雇用する私法上の義務も生じます。
 また,基準を適用することによる継続雇用拒否は,紛争を誘発することが多いというのが実情です。
 さらに,平成25年4月1日施行予定の『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律』では,継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されています。
 改正法施行の際,既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準については,平成37年3月31日までの間は,段階的に基準の対象となる年齢が引き上げられながらもなお効力を有するとされていますが,例外的制度であるという位置づけは否めません。
 高年齢者雇用確保措置が義務付けられた主な趣旨が年金支給開始年齢引き上げに合わせた雇用対策であること,継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止される方向に向かっていることからすれば,原則どおり,(健康上支障がない)希望者全員を継続雇用するという選択肢もあり得ます。
 統計上も,継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準制度により離職した者が定年到達者全体に占める割合は,わずか2.0%に過ぎません(「今後の高年齢者雇用に関する研究会報告書」)。
 トラブルが多い点については,トラブルが生じにくい業務を担当させる(接客やチームワークが必要な仕事から外す等。)ことや,賃金の額を低く抑えること等により対処することも考えられます。
 改正法では,継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大についても規定されているところです。

(9) 継続雇用後の賃金額
 高年法上,再雇用後の賃金等の労働条件については特別の定めがなく,年金支給開始年齢の65歳への引上げに伴う安定した雇用機会の確保という同法の目的,最低賃金法等の強行法規,公序良俗に反しない限り,就業規則,個別労働契約等において自由に定めることができます。
 もっとも,就業規則で再雇用後の賃金等の労働条件を定めて周知させている場合,それが労働条件となりますから,再雇用後の労働条件を,就業規則に定められている労働条件に満たないものにすることはできません。
 また,高年齢者雇用確保措置の主な趣旨が,年金支給開始年齢引上げに合わせた雇用対策,年金支給開始年齢である65歳までの安定した雇用機会の確保である以上,継続雇用後の賃金額に在職老齢年金,高年齢者雇用継続給付等の公的給付を加算した手取額の合計額が,従来であれば高年齢者がもらえたはずの年金額と同額以上になるように配慮すべきだと思います。
 「時給1000円,1日8時間・週3日勤務」程度の賃金額にはしておきたいところです。

(10) 高年齢者による継続雇用の拒絶と高年法の継続雇用制度
 高年法が求めているのは,継続雇用制度の導入であって,事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく,事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば,労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず,結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても,高年齢者雇用安定法違反となるものではありません。
 したがって,トラブルの多い社員との間で,再雇用後の労働条件について折り合いがつかず,結果として継続雇用に至らなかったとしても,それが直ちに問題となるわけではありません。

(11) 組合員差別により再雇用の期待を侵害した場合の取締役の責任
 組合員差別により再雇用の期待を侵害したと認定された事案において,代表取締役個人が会社法429条1項の責任を負うとされた裁判例が存在します。

(12) 無期転換権(新労契法18条)行使に対する対処
 平成25年4月1日施行予定の新労契法18条では,同一の使用者との間で有期労働契約が通算で5年を超えて更新された場合には,有期契約労働者による無期転換の申込みにより使用者の同意が擬制され,無期労働契約に転換する制度が新たに規定されています。
 新労契法18条は継続雇用制度の対象となっている有期契約労働者にも適用されるため,5年を超えて有期労働契約が更新されるような制度設計になっている場合(満60歳の誕生日で正社員としては定年退職すると定めつつ,定年後再雇用される嘱託社員としては年度末までの期間雇用とするというように,定年後再雇用の期間が5年を超える場合)には,定年後再雇用された有期契約労働者から無期転換権を行使される可能性がありますので,無期転換後の第二定年についても就業規則に定めておく必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨と失業手当の受給条件

2012-12-19 | 日記
Q240 退職勧奨したところ,失業手当の受給条件を良くするために解雇して欲しいと言われたのですが,解雇しないといけないでしょうか?


 「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと。」(雇用保険法施行規則36条9号)は,「特定受給資格者」(雇用保険法23条1項)に該当するため(雇用保険法23条2項2号),退職勧奨による退職は会社都合の解雇等の場合と同様の扱いとなり,労働者が失業手当を受給する上で不利益を受けることにはなりません。
 したがって,失業手当の受給条件を良くするために解雇する必要はありません。
 退職届を出してしまうと失業手当の受給条件が不利になると誤解されていることがありますので,丁寧に説明し,誤解を解くよう努力して下さい。
 なお,助成金との関係でも,会社都合の解雇をしたのと同様の取り扱いとなることに注意が必要です。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨のやり取りを無断録音された場合,その録音記録は訴訟で証拠として認められますか?

2012-12-19 | 日記
Q239 退職勧奨のやり取りを無断録音された場合,その録音記録は訴訟で証拠として認められますか?


 退職勧奨のやり取りは,無断録音されていることが多く,録音記録が訴訟で証拠として提出された場合は,証拠として認められてしまうのが通常です。
 退職勧奨を行う場合は,感情的にならないよう普段以上に心掛け,無断録音されていても不都合がないようにして下さい。

弁護士 藤田 進太郎

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退職勧奨と注意,指導,教育,懲戒処分

2012-12-19 | 日記
Q238 解雇の要件を満たしていなくても退職勧奨できるのですから,問題点を記録に残したり,十分な注意,指導,教育を行ったり,懲戒処分を積み重ねたりする必要はありませんよね?


 解雇の要件を充たしていなくても退職勧奨を行うことができますが,有効に解雇できる可能性が高い事案であればあるほど,退職勧奨に応じてもらえる可能性が高くなります。
 到底解雇が認められないような事案で退職勧奨したところ,明確に退職を拒絶された場合,手の施しようがなくなってしまうことがあります。
 退職勧奨に応じないようであれば解雇できるよう,退職勧奨に先立ち,問題点を記録に残し,十分な注意,指導,教育を行い,懲戒処分を積み重ねるなどして,解雇する際と同じような準備をしておくべきでしょう。


弁護士 藤田 進太郎

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