弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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36協定を締結して労基署に届け出れば,時間外・休日労働(残業)を命じることができますか。

2014-09-24 | 日記

36協定を締結して労基署に届け出れば,時間外・休日労働(残業)を命じることができますか。


 36協定の締結・届出がなされていない場合には,原則として時間外・休日労働(残業)を命じることができませんが,36協定の締結・届出をすれば,直ちに時間外・休日労働(残業)を命じることができるというわけではなく,時間外・休日労働(残業)を命じることができるというためには,労働契約上の根拠が必要となります。
 就業規則や労働条件通知書に時間外・休日労働(残業)を命じることがある旨規定されているのが通常ですし,最近では時間外・休日労働を行って残業代 (割増賃金)を稼ぎたいという希望を持った労働者が多いというのが実情ですので,残業命令権限の有無が問題となる事案はあまり多くはありません。


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36協定の締結・届出の概要を教えて下さい。

2014-09-24 | 日記

36協定の締結・届出の概要を教えて下さい。


 労基法32条で規制する労働時間を超えて労働させる場合,労基法35条の休日(法定休日)に労働させるためには,労基法上,36協定を締結し,労基署に届け出る必要があります(労基法36条)。36協定を締結しただけでは足りず,届出が効力発生要件です。36協定の届出により,使用者は労基法32条違反の犯罪が成立しないという効果が生じます。
 36協定については,『労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年12月28日労働省告示第154号)』 が定められています(労基法36条2項)。時間外労働の限度時間は,原則として,1週間15時間,2週間27時間,4週間43時間,1か月45時間,2か月81時間,3か月120時間,1年間360時間ですが(1日当たりの限度時間は定められていません。),限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じた時に限り,限度時間を超えて時間外労働を延長することができるものとする協定(特別条項付協定)を締結し,届け出ることもできます。
 なお,所定労働時間が8時間に満たない事業場において所定労働時間を超えて労働させた場合や,法定休日ではない休日(祝日等)に労働させた場合で,週40時間,1日8時間を超えて労働させていない場合は,事前の36協定の締結,労基署長への届出(労基法36条)は必要とされていません。


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時間外や休日に労働させても労基法違反の罪が成立しないようにするためには,どうすればいいですか。

2014-09-24 | 日記

時間外や休日に労働させても労基法32条や労基法35条違反の罪(労基法119条1号)が成立しないようにするためには,どうすればいいですか。


 時間外や休日に労働させても労基法32条や労基法35条違反の罪(労基法119条1号)が成立しないようにするためには,時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)を締結し,労基署長に届け出る必要があります(労基法36条)。


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労基法32条や35条に違反して時間外や休日に労働させた場合に成立する罪の法定刑を教えて下さい。

2014-09-24 | 日記

労基法32条や労基法35条に違反して時間外や休日に労働させた場合に成立する罪の法定刑を教えて下さい。


 労基法32条や労基法35条に違反して時間外や休日に労働させると,6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(労基法119条1号)。
 労基法違反は民事事件にとどまらず,刑事事件にもなり得ることを理解する必要があります。


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労基法に基づく残業代計算の基礎となる深夜労働時間とは,どのような時間のことをいいますか。

2014-09-24 | 日記

労基法に基づく残業代(深夜割増賃金)計算の基礎となる深夜労働時間とは,どのような時間のことをいいますか。


 労基法に基づく残業代 (深夜割増賃金)計算の基礎となる深夜労働時間とは,深夜(22時~5時)に労働させた時間のことをいいます。
 昼間の仕事の場合には,深夜労働は,時間外労働でもあるのが通常ですが,夜勤の場合には,深夜労働ではあっても時間外労働ではないこともあります。


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勤務態度が悪いと言うと角が立つから,事業縮小に伴う整理解雇ということにするのはいかがですか?

2014-09-24 | 日記

勤務態度が悪く,能力も極端に低い社員を解雇しようと思うのですが,勤務態度が悪いだとか能力が低いだとか伝えると角が立ってしまいます。そこで,会社の事業縮小に伴う整理解雇ということにしようと思っているのですが,いかがでしょうか?

 解雇 される社員の気持ちを考えてのことなのだとは思いますが,本当のことを伝えると角が立つから解雇の本当の理由を伝えられないというのでは,会社経営者としてなすべき仕事から逃げていると言わざるを得ません。
 会社経営者は,社員に言いたくないことであっても,会社を経営していく上で必要なことであれば言わなければなりません。
 解雇の理由が,勤務態度が悪いことや能力が極端に低いことなのだとすれば,まずはその事実を伝えて理由を説明するとともに,改善を促すのが本筋でしょう。

 労働契約を終了させなければならないほど勤務態度の悪さ,能力不足の程度が甚だしいことを証拠により立証できるのでしょうか?
 有効に解雇できるだけの証拠がそろった状態でそのように仰っているのであればまだいいのですが,普通解雇 (狭義)も懲戒解雇 もできない状態でその台詞を言ってみても,全く説得力がありません。
 「勤務態度が悪いとか,能力が低いと言ったら,労働者が反発して解雇の効力が争われる可能性が高いが,整理解雇であれば本人に落ち度があると言っているわけではないから,解雇の効力が争われるリスクが減るのではないか。」と考えている,といった程度の話ではないかと疑われてしまいます。

 整理解雇 の有効要件を満たしていないのに整理解雇したところ,社員が整理解雇の効力を争ってきた場合,そのまま整理解雇が有効であると押し通しても勝てませんから,解決金を支払って合意退職してもらうか,解雇を撤回して出社を命じることになるのが通常です。

 整理解雇しないと失業手当を受給する上で解雇された社員が不利になるということもありません。
 解雇した場合であっても,重責解雇と評価されなければ,解雇された労働者は特定受給資格者に該当し得ることになり,失業手当を受給する上で不利に取り扱われません。
 退職勧奨 により合意退職した場合も同様です。


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整理解雇に臨むスタンスとしては,どのように考えていますか?

2014-09-24 | 日記

整理解雇に臨むスタンスとしては,どのように考えていますか?

 使用者が労働者に対して人員削減の必要性を丁寧に説明し,退職の条件についてそれなりに配慮したような場合は,労働者が早期退職募集や退職勧奨 (合意退職)に応じてくれることも多く,整理解雇 する必要性がある人数が大幅に減ることも珍しくありません。
 私としては,丁寧な説明・退職条件の提示により合意退職してもらうことを中心に考えるべきであり,整理解雇は,使用者が誠意を持って丁寧に説明・交渉しても合意退職が成立しない場合に限定して,例外的に行うべきものであると考えています。


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④手続の相当性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

2014-09-24 | 日記

④手続の相当性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 労働協約で整理解雇 に先立ち労働組合と協議する義務が規定されているような場合は,労働組合と協議せずに行った整理解雇は原則として無効となります。
 事前協議義務を定める労働協約がない場合であっても,裁判所は,使用者は労働者に対して整理解雇の必要性と時期・規模・方法について説明を行った上で,誠意を持って協議すべき信義則上の義務を負うと考える傾向にあります。
 使用者が労働者の理解を得るための努力をどの程度したのかが問題となるわけですが,説明に十分な時間をかけず,資料の提示を行わず,抽象的な説明に終始したような場合には,この要素を満たさないと判断されることになります。
 整理解雇を検討せざるを得ない場合には,労働者に対し,人員削減が必要な理由,時期・規模・方法等について,できる限りの説明をして下さい。
 その説明ができない段階では,未だ整理解雇に踏み切る準備ができていないと考えるべきでしょう。


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③人選の合理性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

2014-09-24 | 日記

③人選の合理性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ③人選の合理性に関しては,人選基準そのものの合理性と実際のあてはめの合理性を検討する必要があり,その基準は使用者の恣意が入らない客観的なものであることが必要です。
 人選基準を設けなかった場合や客観性・合理性を欠く人選基準に基づいて整理解雇 がなされた場合は,③人選の合理性を欠くと判断されることになります。
 まずは客観的で合理的な人選基準の設定を行い,人選基準に基づいて整理解雇の対象となる労働者を選定して,後日,訴訟になった場合には,客観的で合理的な人選基準に基づいて整理解雇を行ったことを説明できるようにしておいて下さい。


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②解雇回避努力については,どのようなことを検討する必要がありますか?

2014-09-17 | 日記

②解雇回避努力については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ②解雇回避努力として,使用者は,整理解雇 を行うに先立ち,希望退職の募集,配転,出向,一時帰休などの他の手段によって整理解雇回避の努力をする信義則上の義務を負うと考えられており,他の手段を十分に検討せずにいきなり整理解雇を行った場合,解雇権の濫用と判断されるリスクが高くなります。
 解雇回避措置の「検討」すらしていないのでは,この要素が否定されてしてしまいますので,必ず解雇回避措置を検討して下さい。
 解雇回避措置を検討したものの,現実には解雇回避措置を取ることができないというのであれば,解雇回避措置が取れない合理的理由を説明できるようにしておくべきでしょう。


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①人員削減の必要性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

2014-09-17 | 日記

①人員削減の必要性については,どのようなことを検討する必要がありますか?

 ①人員削減の必要性は,整理解雇 が有効とされる上で必要不可欠の要素であり,他の要素の要求水準を設定する役割も有しています。
 裁判所は,人員削減の必要性の有無について詳細に検討しますが,使用者の経営判断を尊重する傾向にあり,明白に人員削減の必要性がない場合を除けば,人員削減の必要性自体は肯定されるのが通常です。
 ただし,人員削減の必要性がそれ程高くないにもかかわらず実施された整理解雇は,②解雇回避努力が尽くされていないなどの理由から解雇権の濫用と判断されることが多いため,人員削減の必要性の程度についても慎重に検討した上で,整理解雇に踏み切るかどうかを判断する必要があります。
 ①人員削減の必要性では,整理解雇の前後で新規採用を行っている事実が問題とされることが多く,整理解雇の有効性を判断する上で不利に斟酌されることがあります。


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整理解雇が解雇権の濫用に当たるかどうかは,どのような要素を考慮して判断されますか?

2014-09-17 | 日記

整理解雇が解雇権の濫用に当たるかどうかは,どのような要素を考慮して判断されますか?

 整理解雇 が解雇権の濫用(労契法16条)に当たるかどうかは,①人員削減の必要性,②解雇回避努力,③人選の合理性,④手続の相当性(整理解雇の4要素)を考慮して,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合に該当するかどうかが検討されるのが一般的です。
 最低限,人員削減の必要性を労働者に説明し,客観的な整理解雇基準を定めてから,当該基準に則って整理解雇する必要があります。
 中小企業では難しいかもしれませんが,整理解雇する前に,早期退職募集をすることが望ましいところです。


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整理解雇は,普通解雇や懲戒解雇と比較して,有効となりやすいですか,無効となりやすいですか?

2014-09-17 | 日記

整理解雇は,普通解雇(狭義)や懲戒解雇と比較して,有効となりやすいですか,無効となりやすいですか?

 業績不振による事業場閉鎖,企業経営の合理化等,経営上の理由から人員削減を行う整理解雇 は,労働者に帰責性のない解雇のため,その有効性は厳格に判断されます。
 考慮すべき要素が異なるため一概には言えませんが,一般的には,整理解雇の有効性は,普通解雇 (狭義)や懲戒解雇よりも無効と判断されやすい傾向にあります。


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整理解雇が有効となるかどうかを判断する際に検討する事項は,どのようなものですか?

2014-09-17 | 日記

整理解雇が有効となるかどうかを判断する際に検討する事項は,どのようなものですか?

 整理解雇 が有効となるかどうかを判断する際に検討する事項は,以下のとおりです。
① 就業規則の解雇事由に該当するか
  就業規則がない場合に民法627条により整理解雇できるのは,狭義の普通解雇と同様です。
② 解雇権濫用(労契法16条)に当たらないか
③ 解雇予告義務(労基法20条)を遵守しているか
④ 解雇 が制限されている場合に該当しないか


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整理解雇とはどういった解雇のことをいうのですか?

2014-09-17 | 日記

整理解雇とはどういった解雇のことをいうのですか?

 整理解雇 とは,業績不振による事業場閉鎖,企業経営の合理化等,使用者側の経営上の理由による解雇をいいます。


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