弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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有給休暇について,就業規則に当該年度内に消化しないと消滅すると規定することはできますか。

2016-04-22 | 日記

有給休暇について,就業規則に当該年度内に消化しないと消滅すると規定することはできますか。


 できません。

 仮にそのような就業規則を定めても有効とは認められません(昭22.12.15基発501号,昭23.5.5基発686号)。

 労基法上,年度内に消化されなかった有休は次年度に繰り越されると定められています(時効は2年)。

 なお,有休を買い取ることが労基法違反になることについてはFAQ521 をご参照ください。


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残業代の支払が請求された場合は,法律上,何年分支払わないといけませんか?

2016-04-22 | 日記

残業代の支払が請求された場合は,法律上,何年分支払わないといけませんか?


 最大で2年分を支払わなければなりません。

 労基法上,賃金請求権は2年で時効消滅すると定められているからです。

 もっとも,民法上,時効中断の規定というものがあり,例えば,時効消滅する前に訴訟提起されれば時効が中断します(賃金請求権が消滅しません)。

 また,例えば,催告をされたあと6か月以内に訴訟提起がされた場合も時効が中断します。催告の典型例には,労働者が会社に対して,内容証明郵便で未払賃金の支払を請求することがあります。


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労働者が祝日に働いた場合には,休日労働としての割増賃金を支払う必要がありますか?

2016-04-22 | 日記

労働者が祝日に働いた場合には,休日労働としての割増賃金を支払う必要がありますか?


 祝日が法定休日に該当しない限り,支払う必要がありません。

 労基法上,割増賃金を支払う必要があるのは,法定休日に労働をした場合です。

 法定休日とは,労基法が要求している1週1日の休日のことを言います。詳細はFAQ518 を参照してください。

 例えば,法定休日を日曜日と定めている企業であれば,仮に祝日である月曜日に働かせても法定休日における労働には該当しないので,休日労働としての割増賃金を支払う必要はありません。


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休日の振替は労働者の同意がなくてもできますか?

2016-04-22 | 日記

休日の振替(例えば,もともと法定休日だった日曜日に働いてもらう替わりに,月曜日を休みにすること)は,労働者の同意がなくてもできますか?


 以下の①~③の要件を満たせば,労働者の同意がなくても休日の振替ができます。

 法定休日の特定の仕方はFAQ518 を参照してください。

① 就業規則の定めがあること

 例えば,「休日は,業務都合上やむをえない自由のある場合は,全部または一部の者について他の日に振替えることがある」という規定が考えられます。

② 振り替えた結果,毎週1日の休日(または4週4日)を与える労基法の規定に反しないこと

③ 実際に休日に労働がなされる前に振替日を特定すること

 適法に休日の振替がされると,もともと法定休日だった日の労働に対しては,休日労働としての割増賃金(35%)を支払う必要がなくなります。

 以上と区別すべきものとして,代休の付与(事後的に休日を与えること)があります。

 代休の付与の場合には,休日労働に該当するので休日労働としての割増賃金(35%)を支払う必要があります。


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残業代は1分単位で支払わないといけないのですか?

2016-04-22 | 日記

残業代は1分単位で支払わないといけないのですか?


 支払わないといけません。

 たしかに,通達では,1か月の時間外労働等の合計が1時間未満の端数がある場合には30分未満の切り捨て,それ以上を1時間に切り上げる処理をしても,労基法違反としては取り扱わないとしていますが,これは刑事上・行政上の話しです。

 民事上はあくまでも労働者に1分単位での残業代 支払請求権を認めていますので,1分単位で計算し,支払う必要があります。


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労働者に「解雇をされても異議を申し出ない」旨の誓約書を提出させていた場合の解雇の有効性

2016-04-19 | 日記

労働者の懲戒処分を検討する際に,その労働者に「解雇をされても異議を申し出ない」旨の誓約書を提出してもらっていたところ,最終的には懲戒解雇にしました。この誓約書がある以上,解雇の有効性は問題になりませんよね?


 問題になります。

 その誓約書には法的拘束力がないと判断される可能性が高く,裁判所は,誓約書に拘束されずに解雇の有効性を検討するものと思われます。

 裁判例には,情報漏洩を疑われていた労働者が「解雇 されても異議がない」旨の書面を提出していた事案について,「(当該書面は)被告会社から懲戒解雇に至らない寛大な処置を受けられるようにと期待したものであって,真意にでたものとは認めがたい」とし,そのうえで懲戒解雇を無効と判断しているものがあります。

 したがって,このような誓約書を書かせても法的にはあまり意味がありません。

 解雇をするのであれば解雇の要件に沿って手順を踏むこと,合意退職をしてもらいたいのであれば退職届を提出してもらうよう手順を踏むことが当然と言われればそうですが重要だと考えます。


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退職勧奨の限界について教えください。

2016-04-19 | 日記

退職勧奨の限界について教えください。


 まずは,あくまでも退職勧奨 は労働者の自由な意思に基づく合意退職である点に留意すべきです。

 裁判例は,退職に消極的意思を表明していても,再検討や翻意を求めて説明・説得を行うことや,その結果対象者が内心の平穏を害されること自体は容認しています。

 そして,退職勧奨に応じない意思が堅固であり退職勧奨の面談には応じられないことを明確に表明し,かつ使用者がこれを認識した場合には,それ以降の説得活動等は社会的通念上相当な範囲を逸脱した違法なものと評価されうると判断しています。

 したがって,実務上はこれを踏まえて①労働者の拒絶意思がどの程度強固で最終的意思であるか,②使用者がこれに対し,いかなる意図,目的でどのような内容の言動を行うかが,違法性の有無のポイントになります。

 なお,退職勧奨の際に,解雇 の可能性に言及することのリスクについてはFAQ526 を参照してください。


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退職勧奨と希望退職の募集(早期退職優遇制度)の共通点と相違点を教えてください。

2016-04-19 | 日記

退職勧奨と希望退職の募集(早期退職優遇制度)の共通点と相違点を教えてください。


 「退職勧奨 」は,労働者の自発的な退職意思の形成を促そうとする事実行為を言います。

 「希望退職の募集」は,(多くの場合)使用者が何らかの上積み条件を提示して,労働者の自発的な退職の意思表示を待つことを言います。

 両者の相違点は,退職勧奨が積極的に労働者に動機付けを行うのに対して,希望退職の募集は消極的に労働者の応募を待つ点にあります。

 両者の共通点は労働者の意思に基づくもの(合意退職)である点にあります。

 そのため,解雇権濫用法理(FAQ531 )や整理解雇の要件(FAQ534 )は適用されませんが,半強制的ないし執拗な退職勧奨は不法行為に基づく損害賠償が生じる可能性があります。

 したがって,社会的相当性を逸脱する違法なものでない限り,自由にすることができます。


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懲戒処分をした者の氏名や懲戒事実を公表することはできますか?

2016-04-19 | 日記

懲戒処分をした者の氏名や懲戒事実を公表することはできますか?公表の際,本人の同意を得ることは必要ですか?


第1 回答

 就業規則に「懲戒事実を公表することがある」旨の規定を定め,従業員に周知徹底していれば,労働者の氏名も含めて公表できると考えられています。この場合には,本人の同意は不要です。

 もっとも,プライバシーへの配慮及び他社員に対する教育的観点に鑑みると,原則としては当該労働者の氏名を公表しない方が穏当です。

 氏名を公表するのは懲戒事実が悪質・重大で企業内外への影響が大きいといった例外的場合に限るべきだと考えます。

 また,公表の内容等がプライバシー侵害や名誉毀損に該当しないように注意する必要があります。

第2 公務員の場合

 公務員の場合ではありますが,下記の人事院が策定した公表指針は,企業にも参考になると思います。

 懲戒処分の公表指針について

(平成15年11月10日総参―786)

(人事院事務総長発)

 人事院では、この度、各府省等が懲戒処分の公表を行うに当たっての参考に供することを目的として、下記のとおり懲戒処分の公表指針を作成しました。各府省等におかれては、本指針を踏まえて、懲戒処分の適正な公表に努められるようお願いいたします。

 本指針は懲戒処分の公表に係る原則的な取扱いを示したものであり、個別の事案に関し、当該事案の社会的影響、被処分者の職責等を勘案して公表対象、公表内容等について別途の取扱いをすべき場合があることに御留意ください。

    記

1 公表対象

次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。

(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分

(2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分

2 公表内容

 事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする。

3 公表の例外

 被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合等1及び2によることが適当でないと認められる場合は、1及び2にかかわらず、公表内容の一部又は全部を公表しないことも差し支えないものとする。

4 公表時期

 懲戒処分を行った後、速やかに公表するものとする。ただし、軽微な事案については、一定期間ごとに一括して公表することも差し支えないものとする。

5 公表方法

 記者クラブ等への資料の提供その他適宜の方法によるものとする。

以上


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試用期間満了時に本採用拒否を自由にすることはできますか?

2016-04-19 | 日記

試用期間を設けて採用しましたが,期待に反していたので試用期間満了時に本採用を拒否したいと考えています。本採用拒否を自由にすることができますか?


第1 回答

 本採用拒否を自由にすることはできません。

 試用期間 を設けていたとしても,一般的には,解約権を留保した労働契約が成立していると解されています。

 したがって,労働契約が成立している以上,その契約の一方的解消は解雇の一形態ですから,解雇権濫用法理(FAQ531 )に基づいて検討することになります。

第2 説明

 たしかに,本採用拒否は通常の解雇 よりも広い範囲で行使することが可能とされていますが,必ずしも通常の解雇よりも緩やかに判断されているわけではありません。

 裁判例には,(本採用拒否が)「通常の解雇に比べ広く認められる余地があるにしても,その範囲はそれほど広いものではなく,解雇権濫用法理の基本的な枠組を大きく逸脱するような解約権の行使は許されない。」と判断しているものがあります。

 本採用拒否が認められるのは,採用決定時までに企業が知ることができなかった事情で,正社員としての適格性を失わせるといえる事情が試用期間中に発覚した場合などです。

 例えば,経歴詐称,試用期間中の勤務成績の不良,業務遂行能力の不足,勤務態度の不良,非協調性が挙げられます。

 したがって,貴社の場合,期待に反するとは具体的になにを意味するのか,すなわち,勤務成績や勤務態度等の不良の程度及びそれらが採用決定時までに知ることができたかどうかを検討し,客観的合理性,社会通念上の相当性の有無を判断していくことになります。


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試用期間の長さや延長の可否について,法律上のルールはあるのですか?

2016-04-19 | 日記

試用期間の長さや延長の可否について,法律上のルールはあるのですか?


 法律上のルール(制限)は特にありません。

 したがって,原則として当事者間の合意によることになります,

 もっとも,試用期間 の長さについては,合理的範囲を超える期間の定めは無効と判断されることがあります。

 一般的には3か月~6か月の範囲で定められていることが多いようです。

 また,試用期間の延長を無制限に認めるのであれば,労働者の地位を長期間不安定にするという問題が生じます。

 したがって,①就業規則に延長の可能性がある旨定めるとともに,②延長を必要とする合理的事由が認められることが必要です。

 就業規則には,「試用期間は○か月に限り延長することがある」などと定めることが考えられます。


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労働者を懲戒解雇にした場合,当然に退職金を不支給にしても問題はありませんよね?

2016-04-19 | 日記

労働者を懲戒解雇にした場合,当然に退職金を不支給にしても問題はありませんよね?


第1 回答

 有効に懲戒解雇 ができる事案でも退職金を不支給とすることまではできない場合があります。

 懲戒解雇の有効性についてはFAQ536 を参照してください。

第2 説明

1 前提として,就業規則(退職金規程)等に退職金を支給する条項が定められているかを確認する必要があります。使用者が専ら退職金支給の有無などの裁量を有している限りは,それは任意的な給付であって賃金ではなく,労働者には権利として退職金請求権が認められないことになるからです。

 そこで以下では,就業規則等で退職金を支給する旨の定めがあることを前提に説明を加えます。

 想定されるケースは,懲戒解雇をした労働者が退職金請求をしてきたのに対して,使用者として退職金不支給(減額)を抗弁として主張(反論)するものが考えられます。この場合,以下の3点を主張(反論)していきます。

(1) 就業規則に退職金不支給・減額条項があること

 例えば,「懲戒解雇された者,又は懲戒解雇に相当する背信行為を行った者には,退職金の全額を支給しない。ただし,情状により一部減額して支給することがある。」というものです。

 懲戒解雇の際に気をつけるべきことは,使用者が懲戒解雇をする前に労働者が退職をしてしまえばには該当しなくなるということです。

 そこで,退職直後に懲戒解雇に相当する行為が判明した場合にも対応できるようにするためにはの規定も設けておいた方が良いとされています。

 既に退職金を支払ってしまった場合でも返還請求が可能です。

(2) 労働者に退職金不支給・減額事由に該当する行為があったこと

(3) 労働者のこれまでの功労を抹消・減殺するほどの背信行為があること

 懲戒解雇の場合には,非違行為の内容・大きさ,会社の損害の程度,過去の処分との比較などから総合的に判断していくことになります。

2 裁判例

(1) 事例1

ア 事案

 鉄道会社の職員が電車内で3度の痴漢行為の後,昇給停止及び降職の懲戒処分を受け,その6か月後さらに痴漢行為で逮捕(懲役4月執行猶予3年)された結果,懲戒解雇になった事案(退職金全額不支給)。

イ 結論

 裁判所は,退職金の30%を支払うべきとしました。

 なお,刑事事件で有罪になった他のケースで全額不支給を認めた裁判例もあります。

(2) 事例2

ア 事案

 運送会社の運転手が飲酒運転をし,懲戒解雇になった事案(退職金全額不支給)。

イ 結論

 裁判所は,退職金の30%を支払うべきとしました。

 理由:他に懲戒処分歴がないこと,事故は起こしていないことから長年の勤続の功労を全く失わせる程度の著しい背信的な事由とまでいえないと判断しました。


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「業務上の傷病」となるかの判断基準を教えてください。

2016-04-19 | 日記

「業務上の傷病」となるかの判断基準を教えてください。


 業務上といえるかは,実務上,①業務遂行性が存することを前提に,②業務起因性が認められるかどうかにあります。

① 業務遂行性

 その労働者の負傷等が事業主の業務を遂行しているときに発生したことが必要です。ただし,具体的な業務の遂行中であることまでは不要で,災害時に労働者が労働関係上において現に事業主の支配下にある中で発生すれば足りるとされています。

(1) 業務上の負傷の場合

 次の3つの類型に分類して検討していきます。

ア 第一類型の場合

 事業場内で作業に従事中に発生した災害

イ 第二類型の場合

 事業場内での休憩中や始業前,終業後に発生した災害

ウ 第三類型の場合

 事業場外労働中や出張中に発生した災害

(2) 業務上の疾病の場合

 労働者が事業主の支配管理下にある状態において疾病が発症することを意味するものではなく,事業主の支配管理下にある状態において「有害因子を受け」,疾病が発症することを意味します。

② 業務起因性

 業務と傷病等との間に条件関係(事実レベルの問題)があることを前提としつつ,両者の間に法的にみて労災補償を認めるのを相当とする関係があるかどうか(価値判断の問題)によって判断します(相当因果関係説)。

 言い換えると,業務又は業務行為を含めて労働者が労働契約に基づき事業主の支配管理下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められるかどうかによって判断していくとも言えます。

(1) 業務上の負傷の場合

ア 第一類型の場合

 原則として業務起因性が肯定されます。

イ 第二類型の場合

 労働時間中であれば業務起因性が認められる災害が,休憩中に発生した場合,事業上施設の不備・欠陥によって災害が発生した場合に限って肯定される。

ウ 第三類型の場合

 肯定されるケースが多いです。

(2) 業務上の疾病の場合

 労働基準法規則に対象疾病が列挙されています。

ア 対象となる疾病

 業務上の負傷に起因する疾病

 物理的因子(紫外線,赤外線など)による一定の疾病

 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する一定の疾病

 など

イ 認定基準

 行政通達の形で認定基準が示されていて,この基準が満たされた場合には,特段の反証のない限り「業務上の疾病」と認められます。

 例えば,過労死との関係では「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平13.12.12基発1063号)があります。


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業務外の傷病(私傷病)による休職と業務上の原因(業務起因性)のある休職の違いを教えてください。

2016-04-19 | 日記

業務外の傷病(私傷病)による休職と業務上の原因(業務起因性)のある休職の違いを教えてください。


 業務外の傷病(私傷病)による休職の場合,休職期間満了時までに復職できないければ解雇 か自然退職となり,休職期間中の賃金は無給であることが多く,健康保険組合から傷病手当金を受けることになります。

 これに対して,業務上の傷病による休職の場合,その休業中及び復帰後30日間の解雇が原則として制限され,労災保険の療養補償・休業補償等の対象になります。


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休職期間満了後の労働者が復職したいと言っているが休職前の職種で復職することは困難な場合の対応

2016-04-19 | 日記

休職期間満了後の労働者が復職したい(できる)と言っていて,仮に休職前の職務では難しいのであれば別の職種で復職したいと言っています。使用者としては休職前の職種で復職することは困難だと考えています。この場,労働者の申入れどおり,別の職種で復職させる必要があるのでしょうか?


1 復職の可否の判断の仕方

 裁判上は,その労働者に職務限定があるかどうかで判断の仕方を分けています。

 そして,休職期間満了時のその労働者の客観的な傷病の回復状況によって判断すべきとされています。

(1) 職務限定がある場合

 復職の要件である「治癒」(=休職事由の消滅)とは,従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したことを意味するとされています。すなわち,その特定された業務を支障なく遂行できる状態になっているかが「治癒」したかどうかの判断基準といえます。

(2) 職務限定がない場合

 次の最高裁判例が参考になります。

 「労働者が,職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては,現に就業を命じられた特定の業務について労務提供が十全にはできないとしても,その能力,経験,地位,当該企業の規模・業種,当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ,かつ,その提供を申し出ているならば,なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である。」

 地裁などの裁判例は,この最高裁判例を踏まえて,労働者側と使用者側からの具体的な事情を考慮し,労働者の従前の業務に限定せず,使用者側で配置可能な業務を広く見出して労働者に対してそれを提示すべきあるとしています。その上で,労働者の健康状態が回復して通常程度に遂行可能かどうかを判断する「職務」とは,限定された従前の職務にとどまらず,その配置可能な業務全般と解するべきであり,その業務の内容や不可等に照らして,復職可能かを判断すべきとする傾向にあります。

(3) 貴社のケース

 貴社のケースでは,労働者の職種限定の有無を確認したうえで次のように検討することになります。

Q その労働者は職務が限定されていたか

A 回答

ア 限定→その業務を支障なくできるまで回復したか

(ア)肯定→復職の方向へ

(イ)否定→退職の方向へ

イ 非限定→①その業務を支障なくできるまで回復したか

(ア)肯定→復職の方向へ

(イ)否定→②配置可能な他の業務があるか(労働者の申し出があるか)

   ある→復職の方向へ

   ない→退職の方向へ

2 復職要件が満たされなかった場合

 就業規則上,その労働者が自動退職になるのか,解雇 になるのかを確認する必要があります。

 一般的には,「休職となった者の休職期間が満了し,休職事由が消滅しないときは休職期間をもって退職とする。」という就業規則が考えられます(定めるだけでなくその労働者にこの定めを通知しておくことも重要です。)。

 この点,「解雇とする」という規定であれば,解雇手続(解雇予告手当の支払など)を実施する必要が生じるので注意してください。


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