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「論点体系 判例労働法5」発売のお知らせ

2024-11-07 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が執筆した「非正規労働者と集団的労使関係」が掲載されている、「論点体系 判例労働法5」が発売されました。

 

 

論点体系 判例労働法5「非正規労働者と集団的労使関係」
2024年11月5日発売(第一法規)

 

1 派遣先事業主の使用者性
論点1 派遣先事業主の労組法7条の使用者性の判断基準
論点2 労働者派遣が派遣法の枠組み又は労働者派遣契約で定められた基本的事項を逸脱して行われている場合(例外1)
論点3 派遣法上、派遣先事業主が、派遣労働者の労働条件や雇用について、一定の責任を負わされたり、義務を課されている場合(例外2)
論点4 派遣労働者の派遣先事業主に対する直接雇用要求等

2 発注者の使用者性
論点1 発注者の労組法7条の使用者性の判断基準
論点2 下請会社の労働者と発注者の使用者性
論点3 偽装請負と発注者の使用者性

3 非正規労働者と労働協約の拡張適用
論点1 有期契約労働者と「常時使用される」労働者
論点2 非正規労働者と「同種の労働者」

 

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YouTubeチャンネル

2024-07-16 | 日記

新たにYouTubeチャンネルを作成しました。
会社経営者の皆様が、隙間時間を使って学べる動画を配信しています。
日々の労務管理にお役立ていただけますと幸いです。

 

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著作「新たな最高裁判決を踏まえた事業場外みなし労働時間制運用の留意点」

2024-07-01 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が執筆した「新たな最高裁判決を踏まえた事業場外みなし労働時間制運用の留意点」が労務事情に掲載されました。(産労総合研究所)

 

 

 2024年4月16日、事業場外みなし労働時間制の適用要件である「労働時間を算定し難いとき」(労基法38条の2第1項)に関する最高裁判決が言い渡されました(協同組合グローブ事件・最高裁令和6年4月16日判決。以下、「グローブ事件最高裁判決」。)事業場外みなし労働時間制に関する最高裁判決としては、阪急トラベルサポート(派遣添乗員・第2)事件最高裁平成26年1月24日判決(以下、「阪急トラベルサポート事件最高裁判決」)がありますが、今回のグローブ事件最高裁判決により、2つの最高裁判決を比較検討することができるようになりました。その結果、事業場外みなし労働時間制の適用要件である「労働時間を算定し難いとき」(労基法38条の2第1項)の判断基準がより明確になったと言えます。
 本書では、「労働時間を算定し難いとき」の判断基準に関する歴史を振り返った後、グローブ事件最高裁判決について、阪急トラベルサポート事件最高裁判決を踏まえて検討し、事業場外みなし労働時間制運用の留意点を解説しています。

 

 

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退職金不支給・減額規定適用の要件

2024-05-02 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が執筆した時言「退職金不支給・減額規定適用の要件」が「労働経済判例速報」2024年4月30日号に掲載されました。(日本経済団体連合会)

 

 

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事務所移転のお知らせ

2024-05-01 | 日記

当事務所は、時代の環境変化に適合した事務所機能のグレードアップを目的として、下記のビルに移転いたしました。

今後とも末永くご厚情を賜りますようお願い申し上げます。

 

新住所
〒102-0083
東京都千代田区麹町6丁目2番6 PMO麹町2階(受付3階)

 

 

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Q&A 労働条件変更法理の全体的考察と実務運用

2023-12-11 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が編集に携わった「Q&A 労働条件変更法理の全体的考察と実務運用」が発売されました。

 

新日本法規、2023年12月7日発売

 労働法制委員会労働契約法部会での1年半にわたる研究の成果をQ&Aとしてまとめ、実務家が留意すべき事項を解説しています。
 労働条件変更の手段やその合理性について、裁判例を詳細に分析するとともに、ジョブ型雇用における労働条件変更法理について考察しています。

第1章 就業規則による労働条件変更
第2章 労働協約による労働条件変更
第3章 就業規則等によって変更することのできない労働条件変更
第4章 企業再編における労働条件変更
第5章 ジョブ型雇用における労働条件変更

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問題社員FAQ

2023-10-06 | 日記

問題社員対応の話に入る前に会社経営者が考えなければならないこと

 会社経営者の皆様、こんにちは。弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、問題社員の対応等の労働問題を中心業務としている弁護士で、毎日のように、会社経営者の皆様から、問題社員対応の相談を受けています。
 問題社員対応の具体的な話に入る前に、会社経営者の皆様に考えていただきたいことがあります。
 どうして、問題社員に対処しなければならないのでしょうか?
 「問題社員に対処しなければならない状況だから相談しているのに、この弁護士は何を言ってるんだ?」
そう思うのが普通ですよね。
 しかし、弁護士のところに相談に来る会社経営者の悩みは、問題社員にどう対処したらいいか分からない、といった方法論的なものばかりではありません。問題社員とはいえ、自社の社員であることに変わりはない、本来であれば温かく成長を見守ってあげたい、それなのに厳しく注意指導したり、懲戒処分を行ったりしていいものだろうか、それでやる気をなくしてしまったらどうしよう、そんなことをしたくて会社を作ったのではない、それでもやはり自分が対処しなければならないのだろうか。そういった悩みを抱えている会社経営者は数多く存在します。こういった心理的抵抗を乗り越えないことには、問題社員の対処法をいくら学んでも、実際の行動に移すことはできません。
 会社経営者の多くは、「良い経営者」でありたいと考えています。それ自体は、とても大事なことです。しかし、「良い経営者」であろうとしたことが、問題社員対応を躊躇することにつながってしまうことは、珍しくありません。その結果、会社のために一生懸命誠実に働いてくれている大事な社員が大きな被害を被ってしまうことがあるのです。会社経営者は、自分の判断が本当に社員たちのためになっているのか、大事な社員たちを見殺しにする結果となっていないか、自己満足に終わっていないかなどについて、絶えず考え続けなければならないのだと思います。
 どうして、問題社員に対処しなければならないのでしょうか?
 その答えは、会社経営者一人一人が、違っていることと思います。
 弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎の答えは、次のものです。
 「会社のために一生懸命誠実に働いてくれている大事な社員たちを守るためにも、問題社員に対処しなければならない」
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎は、このような考えに基づいて、問題社員対応を行っています。

問題社員対応の具体的進め方

 では具体的に、問題社員に対しどのように対処すればいいのでしょうか?
 問題社員FAQには、問題社員の解雇、退職勧奨、残業代、労働審判、団体交渉等の対応に関する会社経営者の労働相談においてよくある質問に対する一般的な回答を掲載してあります。2023年10月6日時点の問題社員FAQは、内容が古くなっていて改訂が必要なものもありますが、2023年10月から改訂作業を進め、2024年前半には改訂作業を終える予定ですので、ぜひ本ページをブックマークしていただき、ご利用いただければと思います。また、2023-24年の改訂作業と並行して、YouTube「会社経営者のための労働問題対策講座」でも各FAQについて動画解説していく予定ですので、そちらもご利用ください。
 もっとも、問題社員の中には、本当に手強い者も存在します。問題社員はどの勤務先でもトラブルを起こすことが多いせいか、仕事を覚えること以上に会社との戦い方の勉強に熱心な者が多く、会社経営者よりも労働問題に関する知識が豊富なことは珍しくありません。弁護士や合同労組に依頼して転職前の会社と戦ったことがあるなど、経験が豊富な者もいます。悪質な問題社員になると、会話を無断録音しながら会社経営者を挑発して解雇させ、労働審判や団体交渉等で不当解雇であるなどと主張して、金銭を取得しようとする者も存在します。もしかしたら、会社経営者が問題社員FAQを読んで実践的知識を学んだだけでは、対処しきれないかもしれません。
 また、どれだけ優秀な会社経営者であっても、労働問題のストレスがかかると頭が正常に働かず判断を誤りやすくなります。問題社員対応には、専門的知識や細やかな配慮が要求されるものが多いこともあり、会社経営者が、本来の能力を発揮しにくい状況の中で、自力で手強い問題社員に対処することはお勧めできません。
 弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社経営者側専門の法律事務所として、日常的に問題社員の対応に当たっています。代表弁護士藤田進太郎が実際に取り扱っている業務のほとんどは労働問題(会社経営者側)ですが、労働問題の中でも、問題社員対応のコンサルティングが最も高い割合を占めており、しかも、問題社員対応のコンサルティングが業務に占める割合は上昇傾向にあります。会社経営者を悩ます問題社員の対応は、弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士藤田進太郎にご相談下さい。顧問先企業以外についても、会社経営者のための経営労働相談を実施しています。
 なお、弁護士法人四谷麴町法律事務所は、Zoomなどのオンライン相談にも対応していますので、弁護士藤田進太郎に相談するために東京千代田区麹町のオフィスに出向く必要はありません。顧問先企業の会社経営者との間では、Zoom、Teamsなどを用いたオンライン打合せをすることで、東京近辺に限らず、日本全国各地の問題社員対応に当たっています。Zoomの利用に抵抗感がない会社経営者の皆様には、Zoom経営相談の利用をお勧めします。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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医療法人社団新拓会事件,一般社団法人あんしん財団事件

2023-06-27 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が年間重要判例検討会で検討した裁判例「医療法人社団新拓会事件」,「一般社団法人あんしん財団事件」が「経営法曹」第216号に掲載されました。(経営法曹会議)

 

 

 

・医療法人社団新拓会事件(東京地裁令和3年12月21日判決)
 シフト制勤務医との間で固定した勤務日数及び勤務時間を合意したかどうかなどが争われた事案です。近時,シフト制に関する合意内容や従来よりも勤務時間が減った場合の賃金請求の可否などが争われることが増えているため,シフト制を適切に運用するための留意点やシフト制に関する紛争の訴訟対応を検討しました。

 

・一般社団法人あんしん財団事件(東京高裁令和4年11月29日判決)
 地裁判決が業務災害支給処分の取消訴訟における特定事業主の原告適格を否定したのに対し,控訴審判決が特定事業主の原告適格を肯定した例です。特定事業主の不服の取扱いについては,令和4年12月13日に厚生労働省が検討会報告書を公表するなど,近時議論の対象となることが増えているため,本事件を取り上げました。裁判例登載時期との関係で,当初は地裁判決を検討する予定でしたが,控訴審判決の存在が判明したため,最新情報を提供する趣旨で,控訴審判決を中心に検討しました。

 

 

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講演 「ジョブ型雇用」の歴史・導入事例

2023-03-30 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が、第一東京弁護士会100周年記念シンポジウムにおいて「『ジョブ型雇用』の歴史・導入事例」を解説しました。

第一東京弁護士会 100周年記念シンポジウム
「労働条件の変更法理の全体的考察」

主催:労働法制委員会
日時:2023年3月24日(金)10:00~16:00
対象:第一東京弁護士会会員
内容(藤田担当部分)
1 「ジョブ型雇用」とは
2 「ジョブ型雇用」の歴史
 (1) 中世~近世の欧州の状況
 (2) 江戸期における日本の状況
 (3) 日清・日露戦争後の時期における日本の状況
 (4) アジア太平洋戦争の統制期における日本の状況
 (5) 戦後における日本の状況
 (6) 2009年7月 濱口桂一郎『新しい労働社会―雇用システムの再構築へ』
 (7) 2020年1月 経団連『2020年版 経営労働政策特別委員会報告』
 (8) 2021年版以降の経団連『経営労働政策特別委員会報告』
 (9) 2023年1月23日 岸田文雄首相の衆院本会議での施政方針演説
3 「ジョブ型雇用」の導入事例 ~富士通株式会社~
 (1) ジョブ型人事制度導入の背景と経緯
 (2) ジョブ型人事制度の概要
 (3) 事業部門起点の人材リソースマネジメント
 (4) 自律的な学び/成長の支援
 (5) 一般社員への「ジョブ型人材マネジメント」導入

 

 

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ジョブ型雇用とは,どのようなものですか?

2023-02-27 | 日記

1 ジョブ型雇用とは

 ジョブ型雇用とは,職務(ジョブ)に対応する形で労働者を採用し,契約で定められた職務(ジョブ)の労働に従事させる雇用のあり方です。濱口桂一郎氏が,2009年7月出版の『新しい労働社会』で,日本型雇用システムにおける雇用(メンバーシップ型雇用)と対比する形で紹介し,2020年1月出版の経団連『2020年版 経営労働政策特別委員会報告』がジョブ型雇用を紹介しつつ日本型雇用システムが転換期を迎えているとの認識を示したことなどから,マスコミでも広く取り上げられるようになりました。
 ジョブ型雇用最大の特徴は,職務(ジョブ)が先にあって,その職務(ジョブ)に必要な人員を採用するという発想にあります。会社で働くメンバーが先にいて,どの職務に配置するかはその都度決めるという日本型雇用システムにおける雇用(メンバーシップ型雇用)の発想と,方向性が逆です。このような基本的発想の違いから,雇用の様々な場面で,ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用とでは,違いが生じることになります。

(1) 採用

 ジョブ型雇用では,労働者を必要とする都度,職務(ジョブ)を特定してその職務に必要な人員を採用します。職務の特定には,職務記述書(ジョブディスクリプション)が用いられます。採否の決定には,当該職務を遂行するスキルの有無や程度が重視されます。採用権限は,労働力を必要とする現場の管理者にあります。
 メンバーシップ型雇用では,新卒一括採用で職務を特定せずに採用します。特定の職務を遂行するスキルの有無や程度よりも,社内に存在する様々な職務に対応できるようになる見込みの程度(ポテンシャル)を重視して採否が決定される傾向にあるため,採用後の集合研修やオンザジョブトレーニングなど,会社主導の教育の重要性が高くなります。新卒一括採用以外の採用は「中途採用」と呼ばれ,補充的な位置づけとされています。メンバーシップ型雇用では,長期的なメンバーシップの付与を判断しなければならないため,採用権限は,本社の人事部にあります。

(2) 賃金

 ジョブ型雇用では,外部労働市場における職種(ジョブ)の市場価値を基準に,職務の賃金額が決まります。職務が同じであれば,誰が従事しても,賃金額は大きく変わらないのが,ジョブ型雇用の原則的な考え方です(同一労働同一賃金の原則)。昇給額や賞与額は,会社から示された金額の枠内で,現場の管理者が個別に決定します。団体交渉では,企業の枠を超えて,職種・技能水準ごとの労働力価格が協議決定されます。
 メンバーシップ型雇用では,職務の市場価値ではなく,会社が定めた職能資格や役割により,賃金額が決まります。同じ職能資格の労働者であれば,市場価値が異なる職務に従事しても、賃金額は大きく変わらないのが,メンバーシップ型雇用の原則的な考え方です。従事する職務が同じであっても,労働者の職能資格が異なれば賃金額にも差が生じることを予定していますので,同一労働同一賃金の原則をメンバーシップ型雇用にそのまま適用することはできません。メンバーシップ型雇用では,家族手当のような職務と関係のない生活給が支払われることも,珍しくありません。昇給額や賞与額は,現場の管理者ではなく,会社が決定します。団体交渉では、会社と企業内組合との間で,自社のベースアップなどが協議決定されます。

(3) 異動

 ジョブ型雇用では,特定の職務(ジョブ)に従事してもらうために職務(ジョブ)を特定してその職務に必要な人員を採用するため,会社には,労働者を契約で特定されている職務以外の職務に異動させる人事権がありません。別の職務への異動は,社内公募に労働者が応募して行われるやり方が中心です。会社には別の職務に異動させる人事権がありませんので,社内公募に応募していない労働者に異動してもらいたい場合は,本人の同意を得る必要があります。契約で特定されている職務(ジョブ)の消滅は,退職勧奨や整理解雇の有力な理由となります。ジョブ型雇用特有の解雇回避措置としては,当該労働者が応募する可能性のある職務に関する社内公募の情報を提供することなどが考えられます。
 メンバーシップ型雇用では,会社に広範な人事権があります。会社主導の異動が中心で,ローテーション人事が広く行われています。会社には労働者を他の職務に異動させる人事権がありますので,労働者が担当していた職務が消滅したとしても,他の職務に異動させて雇用を維持するのが原則的な対応となります。

2 日本におけるジョブ型雇用

(1) メンバーシップ型雇用の対象労働者

 日本型雇用システムにおける雇用(メンバーシップ型雇用)の対象は,大企業の正社員が中心です。
 中小企業の正社員となると,メンバーシップ型雇用の特徴の一部は当てはまるものの,小規模な企業になればなるほど,メンバーシップ型雇用的要素は希薄となる傾向にあります。例えば,従事する職務を特定せずに採用してはいるものの,新卒一括採用ではなく経験者採用が中心であったり,雇用の流動性が高かったり,従事する職務について高いスキルを持った社員の賃金が他の社員よりも高い賃金で雇用され,長年にわたって同じ職務に従事し続けていて実際には異動がなかったり,企業内組合が存在しなかったりということは,珍しくありません。
 さらに,パート,アルバイト,契約社員,派遣労働者となると,市場価値に基づいて賃金額が決められ,特定の職務についてのみ従事し,本人の同意なく異動が行われることがなく,雇用の流動性も高いといった,ジョブ型雇用的要素を大幅に取り入れた雇用となっているものが多いように見えます。日本の雇用社会において,ジョブ型雇用に最も近いところにいるのは,非正規労働者かもしれません。

(2) ジョブ型雇用採用のための検討事項

 最近では,日本でもジョブ型雇用を採用する企業が話題に上るようになってきました。世界における通常の雇用の在り方であるジョブ型雇用を採用することは,高度人材・海外人材を採用しやすくなるなど,企業にとって一定のメリットがあるものと考えられます。しかし,日本企業がジョブ型雇用を採用するには,例えば,次のようなハードルがあります。
 ・新卒一括採用が日本社会に深く根付いているため,大企業や中堅企業が新卒一括採用を止める社会的インパクトが大き過ぎて,全面的に新卒一括採用を止めることは現実的ではない。
 ・日本では,ジョブ型雇用の前提となる職種とその待遇などに関する社会的基準が十分に形成されていないなど,外部労働市場の発達が不十分。
 ・配置転換などに関する人事権を手放す会社が,近い将来,日本で多数派になるとは考え難い。
 ・既存の社員について,ジョブ型雇用への転換を進めることは,労働条件の不利益変更を伴うため,慎重な配慮が必要になる。
 このような問題があるため,正社員についてジョブ型雇用を全面的に採用する企業は,当面は一部にとどまり,ジョブ型雇用的要素の中で,自社にメリットがある部分を選んで取り入れていくといった対応をする企業が多数を占めることが予想されます。ハイブリッド型雇用としては,採用後しばらくは職能主義的なマネジメントを行い,一定のグレード以上にジョブ型マネジメントを行うとか,専門性の高い職務についてジョブ型雇用を行うといったものが,多くなっています。
 パート,アルバイト,契約社員,派遣労働者といった非正規社員の多くが,現在でもジョブ型雇用的要素を大幅に取り入れた雇用となっていることは,既に述べたとおりです。非正規社員についてジョブ型雇用を適用することはハードルが低く,日本企業にとっても実施しやすいのではないかと思います。ただし,非正規雇用にジョブ型雇用を適用することは,現状を微修正するにとどまる施策ですので,ジョブ型雇用を採用することによるプラスの効果も小さなものにとどまることが予想されます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

 

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ジョブ型雇用とは,どのようなものですか? (y-klaw.com)

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三会労働問題研修会 ~使用者側弁護士業務のポイントを語る~

2023-01-19 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が「三会労働問題研修会 ~使用者側弁護士業務のポイントを語る~」と題する講演を行いました。

主催:東京法律相談連絡協議会
日時:2023年1月18日(水)18:00~20:00
Zoomウェビナーによるオンライン開催
対象:弁護士のみ

 

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DVD「社労士のための書式を上手に使って行う問題社員への実務対応」

2022-12-07 | 日記

代表弁護士藤田進太郎のDVD「社労士のための書式を上手に使って行う問題社員への実務対応」が発売されました。

 

 

 毎日のように問題社員対応のコンサルティングを行っている会社経営者側弁護士。コンサルティングの範囲は、法律や判例の情報提供にとどまらず、日本語指導や対応手順の提案にまで及ぶ。ZoomやTeamsを活用して、短めの打合せをこまめに実施することが多い。打合せでは、顧問先名義で、電子メール、回答書、厳重注意書、懲戒処分通知書等の案文を作成し、顧問先にデータを提供している。

 

日本法令(2022年12月6日発売)

[主な目次]
第1章 社労士が「問題社員対応のための書式の上手な使い方」を学ばなければならない理由
第2章 「問題社員対応のための書式」を上手に使うための3つのポイント
第3章 書面の交付方法
第4章 よくある事例における問題社員対応書式使用例の解説
(事例1) 勤務態度が悪く会社や上司を繰り返し誹謗中傷して指導に従わない
(事例2) 注意指導するとパワハラだと言って指導に従わない
(事例3) 担当業務や勤務地の変更等の人事異動に応じない
(事例4) 退職勧奨したところ退職届を提出しないまま出社しない
(事例5) 「復職可」と書かれた主治医の診断書を提出して復職したのに満足に働けない

[収録時間]
約120分

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問題社員の具体的対処法

2022-11-21 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が「問題社員の具体的対処法」と題する講演を行いました。

 

日時:2022年11月18日(金)14:00~16:00
内容
第1章 なぜ問題社員の対処法を学ぶ必要があるのか 
第2章 パワハラ防止法への対応だけでは不十分な理由
第3章 問題社員の具体例と対処法
 1.会社の指示に従わない
 2.遅刻欠勤を繰り返す
 3.不正行為を繰り返す
 4.能力が極端に低い
 5.メンタルが不安定
 6.ダラダラ残業して残業代を請求する
第4章 事前質問への回答

 

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整理解雇に先立つ真摯な対応の重要性

2022-10-21 | 日記

代表弁護士藤田進太郎が執筆した時言「整理解雇に先立つ真摯な対応の重要性」が日本経済団体連合会の「労働経済判例速報」2022年10月20日号に掲載されました。

 

 

 

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「裁量労働制 好事例セミナー」経団連タイムスNo.3559掲載

2022-09-27 | 日記

2022年8月5日(金)に代表弁護士藤田進太郎が解説した経団連の「裁量労働制 好事例セミナー」が,経団連タイムスNo.3559に掲載されました。(日本経済団体連合会)

 

 

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