この質問は,労基法21条が,解雇予告義務の適用がない労働者として,「試の使用期間中の者」を規定しつつ,14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は解雇予告義務の適用がある旨を定めていることから生じた誤解と思われますが,労基法21条は,解雇予告義務の適用がない労働者について規定した条文に過ぎず,同条の定める解雇予告義務の適用がない労働者に該当したからといって直ちに解雇 が有効になるものではありません。
雇入れから14日以内の労働者を解雇した場合であっても,解雇に客観的に合理的な理由がなかったり,解雇が社会通念上相当でなかったりすれば,解雇権を濫用したものとして解雇は無効になります(労契法16条)。
また,労働者が業務上負傷し,又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間の解雇,女性労働者の妊娠,出産,産前産後休業等を理由とする解雇,労働基準法違反の申告を監督機関にしたことを理由とする解雇,性別を理由とする解雇,不当労働行為の不利益取扱いとなる解雇,公益通報をしたことを理由とする解雇等,一定の場合については,法律上解雇が制限されており,これらに反する解雇は無効となります。
雇入れから14日以内の労働者を解雇する場合は,勤務期間が短いだけに,解雇に客観的に合理的理由があることを立証するための客観的証拠が不足しがちであり,むしろ,よほど明白な解雇理由があるような場合でない限りは,解雇が無効と判断されるリスクが高いように思えます。
早期に和解や調停が成立した場合には和解金の額が低めになりやすいですが,和解や調停が成立せず,判決に至ったような場合には,思いの外高額の賃金の支払を命じられることがあります。
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