弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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解雇予告制度

2012-11-28 | 日記
Q196解雇予告制度とはどのようなものですか?


 使用者は,労働者を解雇しようとする場合においては,原則として,少なくとも30日前に解雇予告するか,30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。
 解雇の30日前に予告すれば解雇予告手当を支払う必要はありません。
 30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば,即時解雇することができます。
 解雇の10日前に予告したのであれば,20日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば足ります。
 解雇の20日前に予告したのであれば,10日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払えば足ります。
 解雇予告から解雇までの日数+解雇予告手当として支払われた平均賃金の日数≧30日であればよいことになります。

弁護士 藤田 進太郎

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法律上,解雇が禁止される場合

2012-11-27 | 日記
Q195法律上,解雇が禁止される場合には,どのようなものがありますか?

 法律上,解雇が禁止される場合としては,労働者が業務上負傷し,又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間の解雇,女性労働者の妊娠,出産,産前産後休業等を理由とする解雇,労働基準法違反の申告を監督機関にしたことを理由とする解雇,性別を理由とする解雇,不当労働行為の不利益取扱いとなる解雇,公益通報をしたことを理由とする解雇等があります。
 法律上解雇が禁止されている場合に解雇しても,解雇は無効となります。

弁護士 藤田 進太郎

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四谷麹町法律事務所

2012-11-26 | 日記
 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い想いを持っており,使用者・経営者側専門の弁護士として,健全な労使関係を構築して企業の利益・発展につなげる具体的方法のコンサルティング,労働審判・団体交渉の対応等の労働問題の予防解決に力を入れています。
 健全な労使関係を構築して企業の利益・発展につなげる具体的方法論や労働審判・団体交渉の対応等の労働問題でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。

 近年,競争の激化等により企業に余裕がなくなっていることや労働者の権利意識が高まっていること等を原因として,解雇,退職勧奨,残業代などに関する労使紛争が急増し,使用者側弁護士が労働問題に関する相談を受けることが多くなっています。
 しかし,健全な労使関係の構築方法について十分に検討・実施していない会社,労働問題に対するリスク管理意識が希薄な会社がまだまだ多く,無防備な状態のまま,必要な手順を踏まずに従業員を解雇したり,残業代請求対策を取らないまま残業させていたり,問題社員を放置したままにしていたりするケースが散見され,労働者から労働審判を申し立てられたり,労働者が加入した合同労組から団体交渉を申し入れられたりして初めて弁護士に相談して対応を検討し,目先の労使紛争が解決すると弁護士からのコンサルティングを受けることを止めてしまう会社経営者が多いというのが実情です。
 会社経営者が,健全な労使関係の構築方法について十分に検討・実施していなかったり,労働問題対応のため必要な弁護士のコンサルティングを受けていないために会社経営に大きなダメージを被り,社員に裏切られたとか,詐欺にあったようなものだとか,社員にも裁判官にも経営者の苦労を分かってもらえないだとか,法律が社会の実情に合っていないだとか嘆いてがっかりしている姿を見ていると,本当に残念な気持ちになります。
 せっかく一生懸命育ててきた会社なのですから,労使関係が不健全なものとなった結果発生した労働問題で大きなダメージを被って取り返しがつかない結果になる前に,健全な労使関係を構築する方法論を十分に検討・実施して,企業の利益・発展につなげていかなければなりません。

 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い想いを持っており,経営者側専門弁護士の立場から,健全な労使関係を構築して企業の利益・発展につなげる具体的方法のコンサルティング,労働審判・団体交渉対応等の労働問題の予防解決に力を入れています。
健全な労使関係を構築して企業の利益・発展につなげる具体的方法の検討や労働審判・団体交渉対応等のため,労働問題の予防解決を中心業務としている経営者側弁護士をお探しでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

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問題社員FAQ

2012-11-26 | 日記
問題社員FAQ

 問題社員の解雇,退職勧奨等の対応方法についての弁護士相談においてよくある質問に対する一般的な回答について掲載しています。
 設問ではあくまでも設問作成時点における一般論を述べているに過ぎませんので,作成時期によっては情報が最新のものではなくなっている可能性がありますし,具体的事案にそのままは当てはまらないのが通常であることにご注意下さい。
 問題社員の解雇,退職勧奨等の対応方法について,インターネット上の情報以上のものが必要でしたら,弁護士藤田進太郎の労働相談をご利用下さい。
 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,使用者・経営者側専門弁護士(経営法曹)の立場から,健全な労使関係を構築して企業の利益・発展につなげる具体的方法や問題社員の解雇,退職勧奨等の対応方法の研究に力を入れています。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎


問題事例一覧
Q1協調性がない。 Q2遅刻や無断欠勤が多い。 Q3勤務態度が悪い。 Q4注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない。 Q5会社に無断でアルバイトをする。 Q6金銭を着服・横領したり,出張旅費や通勤手当を不正取得したりして,会社に損害を与える。 Q7転勤を拒否する。 Q8社内研修,勉強会,合宿研修への参加を拒否する。 Q9就業時間外に社外で飲酒運転,痴漢,傷害事件等の刑事事件を起こして逮捕された。 Q10仕事の能力が低い。 Q11行方不明になってしまい,社宅に本人の家財道具等を残したまま,長期間連絡が取れない。 Q12精神疾患を発症して欠勤や休職を繰り返す。 Q13採用内定取消に応じない。 Q14試用期間中の本採用拒否(解雇)なのに,解雇は無効だと主張して,職場復帰を求めてくる。 Q15退職勧奨したところ,解雇してくれと言い出す。 Q16退職届提出と同時に年休取得を申請し,引継ぎをしない。 Q17退職届を提出したのに,後になってから退職の撤回を求めてくる。 Q18有期契約労働者を契約期間満了で雇止めしたところ,雇止めは無効だと主張してくる。 Q19残業代込みの給料であることに納得して入社したにもかかわらず,残業代の請求をしてくる。 Q20勝手に残業して,残業代を請求してくる。 Q21管理職なのに残業代を請求してくる。 Q22トラブルの多い社員が定年退職後の再雇用を求めてくる。 Q23社外の合同労組に加入して団体交渉を求めてきたり,会社オフィスの前でビラ配りしたりする。 Q24派手な化粧・露出度の高い服装で出社する。 Q25虚偽の内部告発をして,会社の名誉・信用を毀損する。 Q26会社の業績が悪いのに,賃金減額に同意しない。 Q27業務上のミスを繰り返して,会社に損害を与える。 Q28営業秘密を漏洩する。 Q29社員を引き抜いて,同業他社に転職する。 Q30解雇した社員が合同労組に加入し,団体交渉を求めてきたり,会社オフィス前や社長自宅前で街宣活動をしたりする。 Q31ソーシャルメディアに社内情報を書き込む。 Q32管理職なのに部下を管理できない。 Q33精神疾患を発症したのは長時間労働や上司のパワハラ・セクハラのせいだと主張して損害賠償請求してくる。 Q34退職勧奨しても退職しない。

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労働問題FAQ

2012-11-26 | 日記
労働問題FAQ

 解雇,残業代等の労働問題に関する弁護士相談(使用者側)においてよくある質問に対する回答集を作成しました。
 労働問題の予防解決のために役に立つ回答内容になるよう心がけましたが,回答内容が個別の事案にそのまま当てはまるとは限りませんし,作成から時間が経っている場合は情報が最新のものではなくなっている可能性があることにご注意下さい。
 解雇,残業代請求等の労働問題の具体的対応について,インターネット上の情報以上のものが必要でしたら,弁護士藤田進太郎の労働相談をご利用下さい。
 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,使用者・経営者側専門弁護士(経営法曹)の立場から,健全な労使関係を構築して企業の利益・発展につなげる具体的方法の研究や労働問題の予防・解決に力を入れています。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

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労働契約の終了原因にはどのようなものがありますか?

2012-11-25 | 日記
Q194労働契約の終了原因にはどのようなものがありますか?


 主な労働契約の終了原因としては,以下のようなものが考えられます。

① 解雇(使用者による労働契約の一方的な解除)
② 辞職(労働者による労働契約の一方的な解除)
③ 合意退職(使用者と労働者の合意による労働契約の解除)
④ 休職期間満了による退職
⑤ 有期労働契約の契約期間満了による労働契約の終了(雇止め)
⑥ 定年退職
⑦ 死亡

弁護士 藤田 進太郎

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所長ご挨拶

2012-11-21 | 日記
所長ご挨拶

 あなたは労使紛争の当事者になったことがありますか?
 労使紛争の当事者になったことがあるとすれば,それがいかに大きな苦痛となり得るかが実感を持って理解できることと思います。

 会社の売上が低迷する中,社長が一生懸命頑張って社員の給料を支払うためのお金を確保しても,その大変さを理解できる社員は多くありません。
 会社はお金を持っていて,働きさえしていれば,給料日には給料が自分の預金口座に振り込まれて預金が増えるのが当然という感覚の社員が多いのではないでしょうか。
 私自身,勤務弁護士の時は給料日には必ず給料が私の預金口座に振り込まれて預金残高が増えていたものが,自分で事務所を開業してみると,給料日には社員に給料を支払わなければならず,私の事業用預金口座の残高が減るのを見て,経営者にとって給料日はお金が減る日なのだということを,初めて実感を持って理解することができました。
 また,個人事業主や中小企業のオーナー社長は,事業にかかる経費と比較して売上が不足すれば,何百時間働いても,事実上,1円の収入にもならないということになりかねず,それどころか,経営者の個人財産からお金を出して,不足する金額を穴埋めしなければならないこともあるのですから,会社の業績が悪化した結果,収入が減ることはあっても,個人資産を事業継続のために持ち出すことのない一般社員とでは,随分,負担の重さが違うのだということも,よく理解できました。
 このような話は,理屈は簡単で,当たり前のことなのですが,誰でも実感を持って理解できるかというと,なかなか難しいものがあります。
 会社勤めをしている友達に,給料日には会社の預金残高が減るという話をしてみたところ,「そのとおりかもしれないけど,その分,会社はお客さんからお金が入ってきて儲かっているんだから。」という答えが返ってきたことがあります。
 確かに,「お金が入ってきて儲かっている」のであればいいのですが,経営者にとっては,実際にお金が入ってくるかどうかが問題なわけです。
 今,売上が上がっていても,将来,どうなるかは誰にも分かりませんし,下手をすると個人資産を事業につぎ込まなければならなくなることもあるのですから,経営者はいつまで経っても気を緩めることはできません。
 実は,私も,勤務弁護士のときは,理屈では雇う側の大変さを理解していても,その理解には共感が伴っていませんでした。
 所長は実際に仕事をこなしている自分よりたくさんの収入があってうらやましいというくらいの感覚だったというのが正直なところで,雇われている人たちのために頑張ってくれてありがとうございます,などと本気で思ったことがあるかというと,一度もありませんでした。
 自分が経営者の立場になってみて初めて,経営者の大変さを,実感を持って理解することができるようになったのです。

 立場が違えば,感じ方・考え方も違ってきます。
 労使紛争でお互いが感情的になりがちなのは,自分の大変さを相手が理解してくれないことに対する苛立ちのようなものが根底にあるからではないでしょうか。
 労使とも,自分ばかりが不当に我慢させられている,譲歩させられていると感じているわけです。
 このような苛立ちを緩和し,冷静に話し合うことができるようにするためには,労使双方,相手のことを思いやる想像力が必要だと思います。
 社員の置かれた状況を鮮明に想像することができ,社員を思いやることのできる優れた会社であれば,会社を思いやる想像力を持った優れた社員との間で労使紛争が生じるリスクは極めて低くなることでしょう。
 仮に,一部の問題社員との間で労使紛争が生じたとしても,大部分の優れた社員は会社の味方になってくれるでしょうし,裁判に勝てる可能性も高くなります。

 私は,あなたの会社に,労使双方が相手の立場に対して思いやりの気持ちを持ち,強い信頼関係で結ばれている会社になって欲しいと考えています。
 そのためのお手伝いをさせていただけるのであれば,あなたの会社のために全力を尽くすことをお約束します。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

経歴・所属等
•東京大学法学部卒業
•日本弁護士連合会労働法制委員会委員・事務局員・労働審判PTメンバー
•第一東京弁護士会労働法制委員会委員・労働契約法部会副部会長
•東京三会労働訴訟等協議会委員
•経営法曹会議会員
•全国倒産処理弁護士ネットワーク会員



主な講師担当セミナー・講演・著作等

『解雇・退職の法律実務』(新社会システム総合研究所,東京会場,平成24年11月20日)
『社会保険労務士の紛争解決手続代理業務を行うのに必要な学識及び実務能力に関する研修』ゼミナール講師(東京,平成24年11月9日・10日・17日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成24年10月4日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成24年9月28日)
『問題社員への法的対応の実務』(経営調査会,平成24年9月26日)
『日本航空事件東京地裁平成23年10月31日判決』(経営法曹会議,判例研究会,平成24年7月14日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,札幌会場,平成24年6月26日)
『有期労働法制が実務に与える影響』(『労働経済春秋』2012|Vol.7,労働調査会)
『現代型問題社員を部下に持った場合の対処法~ケーススタディとQ&A』(長野県経営者協会,第50期長期管理者研修講座,平成24年6月22日)
『労働時間に関する法規制と適正な労働時間管理』(第一東京弁護士会・春期法律実務研修専門講座,平成24年5月11日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,福岡会場,平成24年4月17日)
『高年齢者雇用安定法と企業の対応』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,労働調査会)
『実例 労働審判(第12回) 社会保険料に関する調停条項』(中央労働時報第1143号,2012年3月号)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成24年3月8日)
『労使の信頼を高めて 労使紛争の当事者にならないためのセミナー』(商工会議所中野支部,平成24年3月7日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成24年2月29日)
『健康診断実施と事後措置にまつわる法的問題と企業の対応』(『ビジネスガイド』2012年3月号№744)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,名古屋会場,平成24年1月20日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,大阪会場,平成23年10月31日)
日韓弁護士交流会・国際シンポジウム『日本と韓国における非正規雇用の実態と法的問題』日本側パネリスト(韓国外国語大学法学専門大学院・ソウル弁護士協会コミュニティ主催,平成23年9月23日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成23年9月16日)
『マクドの失敗を活かせ!新聞販売店,労使トラブル新時代の対策』(京都新聞販売連合会京都府滋賀県支部主催,パートナーシステム,平成23年9月13日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成23年9月6日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,東京会場,平成23年8月30日)
『社員教育の労働時間管理Q&A』(みずほ総合研究所『BUSINESS TOPICS』2011/5)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成23年4月14日)
『改訂版 最新実務労働災害』(共著,三協法規出版)
『労働審判を申し立てられた場合の具体的対処方法』(企業研究会,東京会場,平成22年9月8日)
『もし,自分が気仙沼で教師をしていたら,子供達に何を伝えたいか?』(気仙沼ロータリークラブ創立50周年記念式典,平成22年6月13日)
『文書提出等をめぐる判例の分析と展開』(共著,経済法令研究会)
『明日から使える労働法実務講座』(共同講演,第一東京弁護士会若手会員スキルアップ研修,平成21年11月20日)
『採用時の法律知識』(第373回証券懇話会月例会,平成21年10月27日)
『他人事ではないマクドナルド判決 経営者が知っておくべき労務,雇用の急所』(横浜南法人会経営研修会,平成21年2月24日)
『今,気をつけたい 中小企業の法律問題』(東京商工会議所練馬支部,平成21年3月13日)
『労働法基礎講座』(ニッキン)
『管理職のための労働契約法労働基準法の実務』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,清文社)

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精神疾患を発症して欠勤や休職を繰り返す。

2012-11-18 | 日記
Q12 精神疾患を発症して欠勤や休職を繰り返す。


 精神疾患を発症して欠勤や休職を繰り返す社員については,まず,業務により精神障害が悪化することがないよう配慮する必要があります。
 精神疾患を発症していることを知りながらそのまま勤務を継続させ,その結果,業務に起因して症状を悪化させた場合は,労災となり,会社が安全配慮義務違反を問われて損害賠償義務を負うことになりかねません。
 社員が精神疾患の罹患していることが分かったら,それに応じた対応が必要であり,本人が就労を希望していたとしても,漫然と放置してはいけません。

 所定労働時間内の通常業務であれば問題なく行える程度の症状である場合は,時間外労働や出張等,負担の重い業務を免除する等して対処すれば足りるでしょう。
 しかし,長期間にわたって所定労働時間の勤務さえできない場合は,原則として,私傷病に関する休職制度がある場合は休職を検討し,私傷病に関する休職制度がない場合は普通解雇を検討せざるを得ません。

 精神疾患を発症した労働者が出社してきた場合であっても,労働契約の債務の本旨に従った労務提供ができない場合は,就労を拒絶して帰宅させ,欠勤扱いにすれば足ります。
 労働契約の債務の本旨に従った労務提供ができるかどうかは,職種や業務内容を特定して労働契約が締結された場合は当該職種等についてのみ検討すれば足りるケースが多いですが,職種や業務内容を特定せずに労働契約が締結されている場合は,現に就業を命じた業務について労務の提供が十分にできないとしても,当該社員が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供ができ,かつ,本人がその労務の提供を申し出ているのであれば,債務の本旨に従った履行の提供があると評価されるため(片山組事件最高裁第一小法廷平成10年4月9日判決),他の業務についても検討する必要があります。
 労働契約の債務の本旨に従った労務提供があるかどうかを判断するにあたっては,専門医の助言を参考にする必要があります。
 本人が提出した主治医の診断書の内容に疑問があるような場合であっても,専門医の診断を軽視することはできません。
 主治医への面談を求めて診断内容の信用性をチェックしたり,精神疾患に関し専門的知識経験を有する産業医等への診断を求めたりして,病状を確認する必要があります。
 主治医の診断に疑問がある場合に,会社が医師を指定して受診を命じたところ,本人が指定医への受診を拒絶した場合は,労働契約の債務の本旨に従った労務提供がないものとして労務の提供を拒絶し,欠勤扱いとすることができる可能性がありますが,慎重な検討が必要となります。

 私傷病に関する休職制度は,普通解雇を猶予する趣旨の制度であり,必ずしも休職制度を設けて就業規則に規定しなければならないわけではありません。
 休職制度を設けずに,私傷病に罹患して働けなくなった社員にはいったん退職してもらい,私傷病が治癒したら再就職を認めるといった運用も考えられます。

 明らかに精神疾患を発症しているにもかかわらず,本人が精神疾患の発症や休職事由の存在を否定し,専門医による診断を拒絶することがありますが,精神疾患等の私傷病を発症しておらず健康であるにもかかわらず,労働契約の債務の本旨に従った労務を提供することができていないとすれば,通常は普通解雇事由に該当することになります。
 本人の言っていることが事実だとすれば,普通解雇を検討せざるを得ない旨伝えた上で,専門医による診断を促すのが適切なケースもあるかもしれません。

 精神障害を発症した社員が出社と欠勤を繰り返したような場合であっても,休職させることができるようにしておくべきでしょう。
 例えば,一定期間の欠勤を休職の要件としつつ,「欠勤の中断期間が30日未満の場合は,前後の欠勤期間を通算し,連続しているものとみなす。」等の通算規定を置くか,「精神の疾患により,労務の提供が困難なとき。」等を休職事由として,一定期間の欠勤を休職の要件から外すこと等が考えられます。
 再度,長期間の欠勤がなければ,休職命令を出せないような規定を置くべきではありません。

 私傷病に関する休職制度があるにもかかわらず,精神疾患を発症したため労働契約の債務の本旨に従った労務提供ができないことを理由としていきなり解雇するのは,解雇権を濫用(労契法16条)したものとして解雇が無効と判断されるリスクが高いので,お勧めできません。
 解雇が有効と認められるのは,休職させても回復の見込みが客観的に乏しい場合に限られます。
 医学的根拠もなく,主観的に休職させても回復しないだろうと思い込み,精神疾患に罹患した社員を休職させずに解雇した場合,解雇が無効と判断されるリスクが高くなります。

 本人が休職を希望している場合は,休職申請書を提出させてから,休職命令を出すことになります。
 休職申請書を提出させることにより,休職命令の有効性が争われるリスクが低くなります。

 「合意」により休職させる場合は,休職期間(どれだけの期間が経過すれば退職扱いになるのか。)についても合意しておく必要があります。
 通常,就業規則に規定されている休職期間は,休職「命令」による休職に関する規定であり,合意休職に関する規定ではありません。
 原則どおり,本人から休職申請書を提出させた上で,休職「命令」を出すのが,簡明なのではないでしょうか。

 精神疾患が治癒しないまま休職期間が満了すると退職という重大な法的効果が発生することになりますので,休職命令発令時に,何年の何月何日までに精神疾患が治癒せず,労務提供ができなければ退職扱いとなるのか通知するとともに,休職期間満了前の時期にも,再度,休職期間満了日や精神疾患が治癒しないまま休職期間が満了すれば退職扱いとなる旨通知すべきでしょう。

 休職を繰り返されても,真面目に働いている社員が不公平感を抱いたり,会社の負担が重くなったりしないようにするために最も重要なことは,休職期間は無給とすることです。
 休職期間中も有給とした場合,会社の活力が失われてしまいかねません。
 傷病手当金の支給申請には協力するようにして下さい。

 復職後間もない時期(復職後6か月以内等)に休職した場合には,休職期間を通算する(休職期間を残存期間とする)等の規定を置くべきでしょう。
 そのような規定がない場合は,普通解雇を検討せざるを得ませんが,有効性が争われるリスクが高くなります。

 復職の可否は,休職期間満了時までに治癒したか(休職事由が消滅したか)否かにより判断されるのが原則です。
 ただし,職種や業務内容を特定せずに労働契約が締結されている場合は,現に就業を命じた業務について労務の提供が十分にできないとしても,当該社員が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供ができ,かつ,本人がその労務の提供を申し出ているのであれば,債務の本旨に従った履行の提供があると評価されるため(片山組事件最高裁第一小法廷平成10年4月9日判決),他の業務についても労働契約の債務の本旨に従った労務提供ができるかどうかについても検討する必要があります。
 また,休職期間満了時までに精神疾患が治癒せず,休職期間満了時には不完全な労務提供しかできなかったとしても,直ちに退職扱いにすることができないとする裁判例も存在します。
 例えば,エール・フランス事件東京地裁昭和59年1月27日判決は,「傷病が治癒していないことをもって復職を容認しえない旨を主張する場合にあっては,単に傷病が完治していないこと,あるいは従前の職務を従前どおりに行えないことを主張立証すれば足りるのではなく,治癒の程度が不完全なために労務の提供が不完全であり,かつ,その程度が,今後の完治の見込みや,復職が予定される職場の諸般の事情等を考慮して,解雇を正当視しうるほどのものであることまでをも主張立証することを要するものと思料する。」と判示しています。
 休職期間満了時までに精神疾患が治癒せず,休職期間満了時には不完全な労務提供しかできなかったとしても,直ちに退職扱いにすることができないとしたのでは,休職期間を明確に定めた意味がなくなってしまい,使用者の予測可能性・法的安定性が害され妥当ではないと考えられますが,反対の立場を取るにせよ,このような裁判例が存在することを理解した上で対応を検討していく必要があります。

 復職の可否を判断するにあたっては,専門医の助言を参考にする必要があります。
 本人が提出した主治医の診断書の内容に疑問があるような場合であっても,専門医の診断を軽視することはできません。
 主治医への面談を求めて診断内容の信用性をチェックしたり,精神疾患に関し専門的知識経験を有する産業医等への診断を求めたりして,病状を確認する必要があります。
 主治医の診断に疑問がある場合に,会社が医師を指定して受診を命じたところ,本人が指定医への受診を拒絶した場合は,休職期間満了時までに治癒していない(休職事由が消滅していない)ものとして取り扱って復職を認めず,退職扱いとすることができる可能性がありますが,慎重な検討が必要となります。

 休職制度の運用は,公平・平等に行うことが重要です。
 勤続年数等により異なる扱いをする場合は,予め就業規則に規定しておく必要があります。
 休職命令の発令,休職期間の延長等に関し,同じような立場にある社員の扱いを異にした場合,紛争になりやすく,敗訴リスクも高まる傾向にあります。

 精神疾患の発症の原因が,長時間労働,セクハラ,パワハラによるものだから労災だとの主張がなされることがある。精神疾患の発症が労災か私傷病かは,『心理的負荷による精神障害の認定基準』(基発1226第1号平成23年12月26日)を参考にして判断することになりますが,その判断は必ずしも容易ではありません。
 実務的には,労災申請を促して労基署の判断を仰ぎ,審査の結果,労災として認められれば労災として扱い,労災として認められなければ私傷病として扱うこととすれば足りることが多いものと思われます。

 精神疾患の発症が労災の場合,療養するため休業する期間及びその後30日間は原則として解雇することができません(労基法19条1項)。
 欠勤が続いている社員を解雇しようとしたり,休職期間満了で退職扱いにしたりしようとした際,精神疾患の発症は労災なのだから解雇等は無効だと主張されることがあります。
 また,精神疾患の発症が労災として認められた場合,業務と精神疾患の発症との間に相当因果関係が認められたことになるため,労災保険給付でカバーできない損害(慰謝料等)について損害賠償請求を受けるリスクも高くなります。

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勤務態度が悪い

2012-11-18 | 日記
Q3 勤務態度が悪い。


 勤務態度の悪さは,基本的には注意,指導,教育して改善させるべき問題です。
 口頭で注意,指導,教育しても改善しない場合は,書面で注意,指導,教育することになります。
 書面を交付するのは大げさでやりにくいというのであれば,まずは電子メール等を利用することから始めてもよいでしょう。
 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討することになります。
 懲戒処分を行っても改善しない場合は,退職勧奨,解雇等を検討せざるを得ませんが,最後の手段です。

 十分な注意,指導,教育をしないままいきなり解雇した場合は,無効とされるリスクが高くなります。
 解雇が有効とされるためには,解雇予告手続(労基法20条)を取るだけでなく,就業規則の普通解雇事由又は懲戒解雇事由に該当し,解雇権濫用(労契法16条)や懲戒権の濫用(労契法15条)とされないこと等が必要となります。
 解雇予告手続を取ったとしても解雇事由に該当しなければ解雇は無効となりますし,解雇事由に該当したとしても,解雇権又は懲戒権を濫用したものとして解雇が無効とされるリスクがあることに注意して下さい。
 「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法16条),「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法15条)とされています。
 普通解雇の場合は,当該労働契約を終了させなければならないほど勤務態度が悪くて職務を行う能力や適格性を欠いているかが,懲戒解雇の場合は,職場から排除しなければならないほど勤務態度が悪いことにより職場秩序を阻害したのかが問題となります。

 注意,指導,教育して,勤務態度の悪さを改善させることができるのであれば,注意,指導,教育して改善させればいいのですから,解雇の有効性を判断する際にも,改善が期待できないくらい勤務態度が悪いと評価できるかが問題となります。
 注意,指導,教育して改善の機会を与えることもせずに,勝手に,改善の見込みがないと思い込んで解雇するのは危険です。
 まずは,実際に,注意,指導,教育して改善の機会を与え,改善の見込みがないかどうかを確かめたことの証拠を残しておく必要があります。
 口頭で注意,指導,教育しても改まらない場合には,書面で注意,指導,教育し,記録に残しておくべきです。
 書面等の客観的証拠がないと,訴訟になった場合は,「注意,指導,教育されたことはありません。」と主張されるのが通常です。
 また,書面で注意,指導,教育することにより,口頭での注意,指導,教育よりもより強く改善を促しているというメッセージにもなります。

 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討します。
 懲戒処分が有効というためには,就業規則の定める懲戒事由に該当し,懲戒権の濫用(労契法15条)にあたらず,就業規則の手続に従っていることが必要となります。
 労契法15条では「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」と定められており,懲戒事由に該当する場合であっても,懲戒処分が有効となるとは限らないことに注意が必要です。
 もっとも,軽度の懲戒処分であれば使用者の裁量の幅が広く,有効と判断されるケースが多いですし,訴訟等で争われるリスクも比較的低いところです。

 懲戒処分や事前の警告が解雇の前提要件というわけではありませんが,解雇は,余程悪質な事案を除き,戒告,減給,降格処分等の懲戒処分をし,改善しなければ解雇する可能性がある旨の警告をしてからにすることが望ましいところです。
 問題社員に対して最初に行う処分が懲戒解雇,諭旨解雇といった退職の効果を伴う処分である場合は,訴訟等で使用者側か苦戦するケースが多いというのが実情です。

 十分に注意,指導,教育し,繰り返し懲戒処分を行っているようなケースの場合,解雇をするまでもなく,合意退職が成立することが多いです。
 解雇の有効性を見通すことが困難なケースが多いこともあり,どうしても辞めてもらいたい問題社員については,まずは退職勧奨により退職届を提出してもらうことに全力を尽くすのがセオリーです。

 転職が容易ではない社員については,退職の合意を取り付ける難易度が高く,解雇した場合も訴訟等のトラブルになるリスクが高いです。
 例えば,(賃金水準はそれ程高くなくても)居心地のいい職場に長年勤務している能力が低い社員に対し,退職勧奨したり解雇したりすると,訴訟等のトラブルに発展することが多いという印象です。

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遅刻や無断欠勤が多い。

2012-11-18 | 日記
Q2 遅刻や無断欠勤が多い。


 基本的には注意,指導,教育して改善させるべき問題です。
 口頭で注意,指導,教育しても改善しない場合は,書面で注意,指導,教育すべきでしょう。
 書面を交付するのは大げさでやりにくいというのであれば,まずは電子メール等を利用することから始めてもいいと思います。
 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討することになります。
 最終的には解雇も検討せざるを得ませんが,最後の手段です。

 十分な注意,指導,教育をしないままいきなり解雇した場合は,無効とされるリスクが高くなります。
 従来,ルーズな勤怠管理をしていた職場で,従来であれば容認されていた程度の遅刻や無断欠勤をしたからといって,直ちに重い処分をすることは困難です。
 解雇が有効とされるためには,解雇予告手続(労基法20条)を取るだけでなく,就業規則の普通解雇事由又は懲戒解雇事由に該当し,解雇権濫用(労契法16条)や懲戒権の濫用(労契法15条)とされないこと等が必要となります。
 解雇予告手続を取ったとしても解雇事由に該当しなければ解雇は無効となりますし,解雇事由に該当したとしても,解雇権又は懲戒権を濫用したものとして解雇が無効とされるリスクがあることに注意して下さい。
 「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法16条),「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法15条)とされています。
 普通解雇の場合は,当該労働契約を終了させなければならないほど遅刻や無断欠勤が多く職務を行う能力や適格性を欠いているかが,懲戒解雇の場合は,遅刻や無断欠勤が多いことにより職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となります。
 解雇の有効性を判断するにあたっては,遅刻や欠勤が業務に与える悪影響の程度,態様,頻度,過失によるものか悪意・故意によるものか,遅刻や欠勤の理由,謝罪・反省の有無,遅刻欠勤を防止するために会社が講じていた措置の有無・内容,平素の勤務成績,他の社員に対する処分内容・過去の事例との均衡等が考慮されることになります。

 注意,指導,教育して,遅刻,無断欠勤の多さが改善されるのであれば,注意,指導,教育して改善させればいいのですから,解雇の有効性を判断する際にも,改善が期待できないと評価できるかが問題となります。
 実際に注意,指導,教育して改善の機会を与えることもせずに,勝手に,改善の見込みがないと思い込んで解雇するのは危険です。
 まずは,実際に,注意,指導,教育して改善の機会を与え,改善の見込みがないかどうかを確かめたことの証拠を残しておく必要があります。
 口頭で注意,指導,教育しても改まらない場合には,書面で注意,指導,教育し,記録に残しておくべきと考えます。
 書面等の客観的証拠がないと,訴訟になった場合は,「注意,指導,教育されたことはありません。」と主張されるのが通常です。
 また,書面で注意,指導,教育することにより,口頭での注意,指導,教育よりもより強く改善を促しているというメッセージにもなります。
 懲戒処分や事前の警告が解雇の前提要件というわけではありませんが,解雇は,原則として,戒告,譴責,減給,降格処分等の懲戒処分をし,改善しなければ解雇する可能性がある旨の警告をしてからにすることが望ましいところです。

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勤務態度が悪い。

2012-11-18 | 日記
Q3 勤務態度が悪い。


 勤務態度の悪さは,基本的には注意,指導,教育して改善させるべき問題です。
 口頭で注意,指導,教育しても改善しない場合は,書面で注意,指導,教育することになります。
 書面を交付するのは大げさでやりにくいというのであれば,まずは電子メール等を利用することから始めてもよいでしょう。
 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討することになります。
 懲戒処分を行っても改善しない場合は,退職勧奨,解雇等を検討せざるを得ませんが,最後の手段です。

 十分な注意,指導,教育をしないままいきなり解雇した場合は,無効とされるリスクが高くなります。
 解雇が有効とされるためには,解雇予告手続(労基法20条)を取るだけでなく,就業規則の普通解雇事由又は懲戒解雇事由に該当し,解雇権濫用(労契法16条)や懲戒権の濫用(労契法15条)とされないこと等が必要となります。
 解雇予告手続を取ったとしても解雇事由に該当しなければ解雇は無効となりますし,解雇事由に該当したとしても,解雇権又は懲戒権を濫用したものとして解雇が無効とされるリスクがあることに注意して下さい。
 「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法16条),「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法15条)とされています。
 普通解雇の場合は,当該労働契約を終了させなければならないほど勤務成績,勤務態度等が不良で職務を行う能力や適格性を欠いているかが,懲戒解雇の場合は,規律違反行為により職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となります。

 注意,指導,教育して,勤務態度の悪さを改善させることができるのであれば,注意,指導,教育して改善させればいいのですから,解雇の有効性を判断する際にも,改善が期待できないくらい勤務態度が悪いと評価できるかが問題となります。
 注意,指導,教育して改善の機会を与えることもせずに,勝手に,改善の見込みがないと思い込んで解雇するのは危険です。
 まずは,実際に,注意,指導,教育して改善の機会を与え,改善の見込みがないかどうかを確かめたことの証拠を残しておく必要があります。
 口頭で注意,指導,教育しても改まらない場合には,書面で注意,指導,教育し,記録に残しておくべきです。
 書面等の客観的証拠がないと,訴訟になった場合は,「注意,指導,教育されたことはありません。」と主張されるのが通常です。
 また,書面で注意,指導,教育することにより,口頭での注意,指導,教育よりもより強く改善を促しているというメッセージにもなります。

 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討します。
 懲戒処分が有効というためには,就業規則の定める懲戒事由に該当し,懲戒権の濫用(労契法15条)にあたらず,就業規則の手続に従っていることが必要となります。
 労契法15条では「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」と定められており,懲戒事由に該当する場合であっても,懲戒処分が有効となるとは限らないことに注意が必要です。
 もっとも,軽度の懲戒処分であれば使用者の裁量の幅が広く,有効と判断されるケースが多いですし,訴訟等で争われるリスクも比較的低いところです。

 懲戒処分や事前の警告が解雇の前提要件というわけではありませんが,解雇は,余程悪質な事案を除き,戒告,減給,降格処分等の懲戒処分をし,改善しなければ解雇する可能性がある旨の警告をしてからにすることが望ましいところです。
 問題社員に対して最初に行う処分が懲戒解雇,諭旨解雇といった退職の効果を伴う処分である場合は,訴訟等で使用者側か苦戦するケースが多いというのが実情です。

 十分に注意,指導,教育し,繰り返し懲戒処分を行っているようなケースの場合,解雇をするまでもなく,合意退職が成立することが多いです。
 解雇の有効性を見通すことが困難なケースが多いこともあり,どうしても辞めてもらいたい問題社員については,まずは退職勧奨により退職届を提出してもらうことに全力を尽くすのがセオリーです。

 転職が容易ではない社員については,退職の合意を取り付ける難易度が高く,解雇した場合も訴訟等のトラブルになるリスクが高いです。
 例えば,(賃金水準はそれ程高くなくても)居心地のいい職場に長年勤務している能力が低い社員に対し,退職勧奨したり解雇したりすると,訴訟等のトラブルに発展することが多いという印象です。

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遅刻や無断欠勤が多い。

2012-11-18 | 日記
Q2 遅刻や無断欠勤が多い。


 基本的には注意,指導,教育して改善させるべき問題です。
 口頭で注意,指導,教育しても改善しない場合は,書面で注意,指導,教育すべきでしょう。
 書面を交付するのは大げさでやりにくいというのであれば,まずは電子メール等を利用することから始めてもいいと思います。
 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討することになります。
 最終的には解雇も検討せざるを得ませんが,最後の手段です。

 十分な注意,指導,教育をしないままいきなり解雇した場合は,無効とされるリスクが高くなります。
 従来,ルーズな勤怠管理をしていた職場で,従来であれば容認されていた程度の遅刻や無断欠勤をしたからといって,直ちに重い処分をすることは困難です。
 解雇が有効とされるためには,解雇予告手続(労基法20条)を取るだけでなく,就業規則の普通解雇事由又は懲戒解雇事由に該当し,解雇権濫用(労契法16条)や懲戒権の濫用(労契法15条)とされないこと等が必要となります。
 解雇予告手続を取ったとしても解雇事由に該当しなければ解雇は無効となりますし,解雇事由に該当したとしても,解雇権又は懲戒権を濫用したものとして解雇が無効とされるリスクがあることに注意して下さい。
 「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法16条),「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法15条)とされています。
 普通解雇の場合は,当該労働契約を終了させなければならないほど遅刻や無断欠勤の程度が甚だしく,職務を行う能力や適格性を欠いているかが,懲戒解雇の場合は,遅刻や無断欠勤により,職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となります。
 解雇の有効性を判断するにあたっては,遅刻や欠勤が業務に与える悪影響の程度,態様,頻度,過失によるものか悪意・故意によるものか,遅刻や欠勤の理由,謝罪・反省の有無,遅刻欠勤を防止するために会社が講じていた措置の有無・内容,平素の勤務成績,他の社員に対する処分内容・過去の事例との均衡等が考慮されることになります。

 注意,指導,教育して,遅刻,欠勤の多さが改善されるのであれば,注意,指導,教育して改善させればいいのですから,解雇の有効性を判断する際にも,改善が期待できないと評価できるかが問題となります。
 実際に注意,指導,教育して改善の機会を与えることもせずに,勝手に,改善の見込みがないと思い込んで解雇するのは危険です。
 まずは,実際に,注意,指導,教育して改善の機会を与え,改善の見込みがないかどうかを確かめたことの証拠を残しておく必要があります。
 口頭で注意,指導,教育しても改まらない場合には,書面で注意,指導,教育し,記録に残しておくべきと考えます。
 書面等の客観的証拠がないと,訴訟になった場合は,「注意,指導,教育されたことはありません。」と主張されるのが通常です。
 また,書面で注意,指導,教育することにより,口頭での注意,指導,教育よりもより強く改善を促しているというメッセージにもなります。
 懲戒処分や事前の警告が解雇の前提要件というわけではありませんが,解雇は,原則として,戒告,譴責,減給,降格処分等の懲戒処分をし,改善しなければ解雇する可能性がある旨の警告をしてからにすることが望ましいところです。

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協調性がない。

2012-11-18 | 日記
Q1 協調性がない。


 協調性がないといっても程度問題であり,通常許される個性の範囲内に収まっている程度の問題なのか,それとも,企業秩序を阻害し又は社員としての適格性が問われるものなのか見極める必要があります。
 よく検討しないまま,主観的に協調性がないと決めつけてしまうのは危険です。
 周囲の社員に問題があることもありますので,客観的に判断するためにも,本人の言い分もよく聴取して事実確認をする必要があります。

 協調性がないという問題は,基本的には注意,指導,教育して改善させるべき問題です。
 口頭で注意,指導,教育しても改善しない場合は,書面で注意,指導,教育します。
 書面を交付するのは大げさでやりにくいというのであれば,まずは電子メール等を利用することから始めてもいいでしょう。
 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討することになります。
 配転の余地があるのであれば,協調性のないとされている社員を別の部署に配転させ,配転先でもやはり協調性がないのか確かめてみた方が無難です。
 周囲の社員が問題なのであれば,配転先では協調性がないとは評価されない可能性があります。
 最終的には,解雇も検討せざるを得ませんが,最後の手段です。

 十分な注意,指導,教育をしないままいきなり解雇した場合は,無効とされるリスクが高くなります。
 解雇が有効とされるためには,解雇予告手続(労基法20条)を取るだけでなく,就業規則の普通解雇事由又は懲戒解雇事由に該当し,解雇権濫用(労契法16条)や懲戒権の濫用(労契法15条)とされないこと等が必要となります。
 解雇予告手続を取ったとしても解雇事由に該当しなければ解雇は無効となりますし,解雇事由に該当したとしても,解雇権又は懲戒権を濫用したものとして解雇が無効とされるリスクがあることに注意して下さい。
 「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法16条),「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労契法15条)とされています。
 普通解雇の場合は,当該労働契約を終了させなければならないほど勤務成績,勤務態度等が不良で職務を行う能力や適格性を欠いているかが,懲戒解雇の場合は,規律違反行為により職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となります。

 解雇の有効性を判断するにあたっては,協調性が特に必要とされる業務内容,職場環境かどうかという点も重視されます。
 チームワークが重視される共同作業が多い業務内容なのか,少人数の職場なのか等。
 注意,指導,教育して,協調性のなさが改善されるのであれば,注意,指導,教育して改善させればいいのですから,解雇の有効性を判断する際にも,改善が期待できないと評価できるかが問題となります。
 実際に注意,指導,教育して改善の機会を与えることもせずに,勝手に,改善の見込みがないと思い込んで解雇するのは危険です。
 まずは,実際に,注意,指導,教育して改善の機会を与え,改善の余地があるかどうかを確かめる必要があります。
 口頭で注意,指導,教育しても改まらない場合には,書面で注意,指導,教育し,記録に残しておくべきと考えます。
 書面等の客観的証拠がないと,訴訟になった場合は,「注意,指導,教育されたことはありません。」と主張されるのが通常です。
 また,書面で注意,指導,教育することにより,口頭での注意,指導,教育よりもより強く改善を促しているというメッセージにもなります。
 懲戒処分や事前の警告が解雇の前提要件というわけではありませんが,解雇は,原則として,戒告,譴責,減給,降格処分等の懲戒処分をし,改善しなければ解雇する可能性がある旨の警告をしてからにすることが望ましいところです。

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懲戒解雇において,懲戒権濫用の有無を判断する具体的事情として実務上争われるのは,どのような点ですか?

2012-11-18 | 日記
Q5 懲戒解雇において,懲戒権濫用の有無を判断する具体的事情として実務上争われるのは,どのような点ですか?


 懲戒解雇では,規律違反行為により職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となり,
① 規律違反行為の態様(業務命令違反,職務専念義務違反,信用保持義務違反等)
② 程度,回数
③ 改善の余地の有無
等を総合検討することになります。

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普通解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情として実務上争われるのは,どのような点ですか?

2012-11-18 | 日記
Q4 普通解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情として実務上争われるのは,どのような点ですか?


 普通解雇では,当該労働契約を終了させなければならないほど勤務成績,勤務態度等が不良で職務を行う能力や適格性を欠いているかが問題となり,
① 当該企業の種類,規模
② 職務内容,労働者の採用理由(職務に要求される能力,勤務態度がどの程度か)
③ 勤務成績,勤務態度の不良の程度(企業の業務遂行に支障を生じ,解雇しなければならないほどに高いかどうか)
④ その回数(1回の過誤か,繰り返すものか),改善の余地があるか
⑤ 会社の指導があったか(注意・警告をしたり,反省の機会を与えたりしたか)
⑥ 他の労働者との取扱いに不均衡はないか
などを総合検討することになります。

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