沖永良部島に住む親族が、世之主神社や世之主の墓などの最近の写真を共有してくれて、遺跡の現状についての話をする中で、ちょっと残念なことが起こっていることが分かりました。
世之主神社
こちらは立て替える前の神社ですが、周りには桜の木などがあり、緑に囲まれた景観で風情があります。
神社は建て替わって新しくなっていますが、周りの木々は見事に伐採されて、広場の中にポツンと神社があるような状態です。
これら2枚の写真を比べて分かるように、神社は建て替わって新しくなっており、建物の周りも手入れはされているようですが、木々は見事に伐採されていて、広場のようになってしまっています。
桜の木は、季節になると綺麗な花を咲かせて、昔は桜を見ながらお弁当を食べるといった花見を楽しむ人もいたようですが、今はそれも出来ません。風情の無い殺風景な場所になってしまっています。
世之主の墓(ウファ)
かなり緑があった時代のウファです。妖精が出てきそうなムードのある、木々に覆われた空間です。
ちょっとすっきりとした感じのウファ。それでもまだ緑は残っています。私はこの時代のウファには行ったことがあり、2つ目の門の前にあった大木を見て、「ああ、この木はきっとこのお墓が出来る前からあったんだろうな。このお墓の建造の様子や、昔のお墓祭りなどをずっと見守ってきたんだろうな。」ってしみじみ思ったのを覚えています。
驚きのウファです。丸裸にされたようで、お墓の全貌は分かりますが、あの緑豊かな情緒あふれる風景はどこにいってしまったのか。お墓を見守っていた大木も無くなっています。お墓が泣いている気がします。
なぜこのようなことになってしまったのか。
理由は2つあります。
1つは、すくすく元気に大きくなる木々が、城跡の城壁だった石垣や墓の石垣を根っこで崩してしまうからです。恐らく既に崩されたところもあったのだと思います。
2つめは、調査のためです。島の歴史解明のためには、ぜひ最新のテクノロジーなどを導入しながら、調査研究を進めてもらいたい。ここには私個人としても凄く賛成です。
しかしですね、それだからといって、全ての木々を伐採してしまう必要があったのだろうか?そこには凄く凄く疑問を感じます。
私は伐採された木々も含めての遺跡であり、木々たちにも歴史があったと思います。何百年も遺跡と一緒に過ごして、遺跡やご先祖様達を見守ってきた木々を全て伐採してしまった、、、ちょっと悲しすぎる。
もちろんこのように感じているのは私だけでなく、島の地元の方々も同じだったようです。この木々の伐採は地元の方々にも何の説明もなく行われたようで、後になって皆さんからの要望で説明会が開催されたとか。
しかし時既に遅しです。事前に説明会があれば、まさかここまでの状態にはなっていなかったと思います。
空中からの最新のテクノロジーを使った調査では、特に木々は邪魔だったようですが、それにしても、、、という思いです。
失った木々はもう戻ってはきませんが、これはこれから先も全国の遺跡のどこにでも発生する問題であると思います。
行政や専門家の方々の主導で歴史研究はぜひ進めて頂きたいですが、建造物だけでなく周りの自然も含めた遺跡だということ、そして地元の皆さんの思いなどを十分に考慮して対応して頂きたいと思った次第です。