2006/9/23/土

布石の順位と着点
地の大小によって勝敗が決まる一局の碁は、一般に(序盤)中盤、終盤(ヨセ)の三段階を経て終局に至るのが状態である。
中盤戦を有利に導いて有終の美を飾るためには、序盤戦で相手をリードしなければならない。一局の基礎工事の段階とも言うべき布石時代は、中盤戦を有利に戦うための根拠又は勢力争い。言い換えれば縄張り争いの場といっていいでしょう。
平行型布石第二局 大模様作戦
第一譜(1~11手)
白10のコスミでは白イと一間に飛ぶ型もあるが、いずれにしても黒9と堅く継がれれば手は抜けない。黒11と高くヒラいたのは黒1,3の二連星と相呼応して大模様作戦で行こうという初めの構想である。

1図
仮に白1などと反撃すれば黒2のツケが厳しく、黒8までと厚くさせては全局的に白不利である。

要点 高低の差
2図の黒1と低ければ白2のボウシで大模様を消される弱点が残る。3図の黒▽と高けければ白イと横からの揺さぶりのほか白1以下と実利をえぐる手段などを狙われる。
2図

3図

第二譜(12~14手)

要点 割打ちとツメ。黒13と広いほうからツメたツメの方向は正しい。黒13で黒ロと狭いほうからツメて白ハとヒラかせるところではない。5図参照
なを黒13で黒ニとカカる布石もある。
4図
白12と割打ちする手で4図の白1とシマれば黒2の三連星が右辺の構えと二重構造を描く理想の布陣となる。なお。白イでなく白12と右方に寄せたのは、黒の右方のスケールに関心を寄せた意味である。

5図
黒1白2は広いほうからツメよというツメの原則に反し打ち方である

第三譜(15~18手)
黒15のコスミツケは二間ヒラキの白の形を凝らせる常法である。黒15で単に6図黒1と受けて白2とハシられては甘い。

6図

要点 黒15と守ってもまだ白イと三々に打ち込む余地が残っている。その白イをめぐる攻守のかけひきが双方の重大関心事である。白18のシマリは現下最大の大場である。
第四譜(19~20手)
黒19の割打ちは下辺の天王山といっていい。黒19で黒イと左辺の大場を占める布石もあるが、白19の大場下辺の理想形で、白19の一手で左右からのヒラキをかねられては黒つらい。黒イに伴う黒ロのツメが白に響かぬ点にも黒の不満がある。

備考 白20のカカリで7図白1と打ち込めば急戦だが黒2以下黒8と運ばれても白うすく、右方も黒イの封鎖形を見られてうまくない。8図黒2のトビは白3のツケで連絡されて黒が甘い。
7図

8図

第五譜(20~23手)
白20のカカリに対し、黒21白22と交換してから黒23とシマったのは欲張ったうちかただがこれには理由がある。黒21で普通に9図の黒1と受けるのは黒△のヒラキが狭く、黒3白4の交換を想定しても凝り型で働きに乏しい。白イのハシリや白ロの三々打込が残る点も黒は不満である。

9図

要点 凝り形とは勢力の重複を意味する熟語だが、布石時代には凝り形を避ける工夫が大切である。白22を省けば10図黒1のマガリが厳しくしろよん子が弱い限り白イ8の打ち込みは狙えない。
10図

第六譜(24~26手)
黒25は白の両翼の陣を妨けた。この手でたとえば11図の黒1と右上隅を確保するのも実利の大だが白△の配置が加わった現状では白2のツメが大きくこの二重構造の大模様は驚異的である。白△方面に黒の勢力があれば黒25の詰めは必ずしも急がない。

要点 白24を省けば黒イとハサんで攻められるその白24はヒラキの限度で、白イと開けば黒ロの打込が残る。白26の打ち込みに対し、黒ハか黒ニかの選択は常に慎重でなければならない。
11図

第七譜(27~39手)
黒27のサガリは白を右辺に活かして外勢を張り、その厚みを活かして上辺の白四子を攻めながら局面をリードしようとする積極戦方である。黒35のキリは手順。白36のツギでは12図の白1きったほうを取るのが通報だが黒2,4で白△までが腐って悪い。

12図

要点 積極か消極か。黒27で13図黒1とオサえれば右辺は守れるが白2のハネで安定される。黒1の後退は上辺の白が強力で攻めの楽しみがないという場合に選ばれる消極策である。
13図

第八譜(40~46手)
白40,42は苦心の着想。右辺の白は手抜きしても死形はないが、14図の黒1のノゾキを聞かされると、黒イなどと進路がふさがれば白ロと活きなければならないから、その関係をにらんで黒3と攻められれば左右の白のシノギが苦しい。

14図

15図
黒1のノゾキを妨けて、15図白1とカケツグ手も考えられるが、黒2のオシから黒イ白ロ黒ハ白ニの後手活きを強要されてはつらいから、それを防いで白3とおどりだせば黒4と攻められてやはり薄い。
黒43とサガる手で黒イと堅くツグのはぬるい。黒43とサガっておけば白の一団の出口が失われた場合。黒ロなどの攻めが白の致命傷になるわけである。白44のツメを怠れば黒ハのヒラキが大きい。したがって白のツメは大場の手どまりといわれる好点だが、この手では16図の白1黒2と交換してから白3と上辺の一団を逃げ越しているのが全局的に好ましかったと思われる。
16図

17図

白△と進出しておけば当面の危険はないから左上辺の黒模様に対して白1の進入も可能ということになる。白15まではその攻防の一例だが、活路に不自由はない。黒45の攻めが大勢上の要点で、白46と補ってもまだ左右の白の薄みは解消されない。その黒45はまた18図黒1の拡大を含み、それを嫌って19図白1と先鞭されても黒2の受けに満足できる
18図

19図



布石の順位と着点
地の大小によって勝敗が決まる一局の碁は、一般に(序盤)中盤、終盤(ヨセ)の三段階を経て終局に至るのが状態である。
中盤戦を有利に導いて有終の美を飾るためには、序盤戦で相手をリードしなければならない。一局の基礎工事の段階とも言うべき布石時代は、中盤戦を有利に戦うための根拠又は勢力争い。言い換えれば縄張り争いの場といっていいでしょう。
平行型布石第二局 大模様作戦
第一譜(1~11手)

白10のコスミでは白イと一間に飛ぶ型もあるが、いずれにしても黒9と堅く継がれれば手は抜けない。黒11と高くヒラいたのは黒1,3の二連星と相呼応して大模様作戦で行こうという初めの構想である。

1図
仮に白1などと反撃すれば黒2のツケが厳しく、黒8までと厚くさせては全局的に白不利である。

要点 高低の差
2図の黒1と低ければ白2のボウシで大模様を消される弱点が残る。3図の黒▽と高けければ白イと横からの揺さぶりのほか白1以下と実利をえぐる手段などを狙われる。
2図

3図

第二譜(12~14手)


要点 割打ちとツメ。黒13と広いほうからツメたツメの方向は正しい。黒13で黒ロと狭いほうからツメて白ハとヒラかせるところではない。5図参照
なを黒13で黒ニとカカる布石もある。
4図
白12と割打ちする手で4図の白1とシマれば黒2の三連星が右辺の構えと二重構造を描く理想の布陣となる。なお。白イでなく白12と右方に寄せたのは、黒の右方のスケールに関心を寄せた意味である。

5図
黒1白2は広いほうからツメよというツメの原則に反し打ち方である

第三譜(15~18手)

黒15のコスミツケは二間ヒラキの白の形を凝らせる常法である。黒15で単に6図黒1と受けて白2とハシられては甘い。

6図

要点 黒15と守ってもまだ白イと三々に打ち込む余地が残っている。その白イをめぐる攻守のかけひきが双方の重大関心事である。白18のシマリは現下最大の大場である。
第四譜(19~20手)

黒19の割打ちは下辺の天王山といっていい。黒19で黒イと左辺の大場を占める布石もあるが、白19の大場下辺の理想形で、白19の一手で左右からのヒラキをかねられては黒つらい。黒イに伴う黒ロのツメが白に響かぬ点にも黒の不満がある。

備考 白20のカカリで7図白1と打ち込めば急戦だが黒2以下黒8と運ばれても白うすく、右方も黒イの封鎖形を見られてうまくない。8図黒2のトビは白3のツケで連絡されて黒が甘い。
7図

8図

第五譜(20~23手)

白20のカカリに対し、黒21白22と交換してから黒23とシマったのは欲張ったうちかただがこれには理由がある。黒21で普通に9図の黒1と受けるのは黒△のヒラキが狭く、黒3白4の交換を想定しても凝り型で働きに乏しい。白イのハシリや白ロの三々打込が残る点も黒は不満である。

9図

要点 凝り形とは勢力の重複を意味する熟語だが、布石時代には凝り形を避ける工夫が大切である。白22を省けば10図黒1のマガリが厳しくしろよん子が弱い限り白イ8の打ち込みは狙えない。
10図

第六譜(24~26手)

黒25は白の両翼の陣を妨けた。この手でたとえば11図の黒1と右上隅を確保するのも実利の大だが白△の配置が加わった現状では白2のツメが大きくこの二重構造の大模様は驚異的である。白△方面に黒の勢力があれば黒25の詰めは必ずしも急がない。

要点 白24を省けば黒イとハサんで攻められるその白24はヒラキの限度で、白イと開けば黒ロの打込が残る。白26の打ち込みに対し、黒ハか黒ニかの選択は常に慎重でなければならない。
11図

第七譜(27~39手)

黒27のサガリは白を右辺に活かして外勢を張り、その厚みを活かして上辺の白四子を攻めながら局面をリードしようとする積極戦方である。黒35のキリは手順。白36のツギでは12図の白1きったほうを取るのが通報だが黒2,4で白△までが腐って悪い。

12図

要点 積極か消極か。黒27で13図黒1とオサえれば右辺は守れるが白2のハネで安定される。黒1の後退は上辺の白が強力で攻めの楽しみがないという場合に選ばれる消極策である。
13図

第八譜(40~46手)

白40,42は苦心の着想。右辺の白は手抜きしても死形はないが、14図の黒1のノゾキを聞かされると、黒イなどと進路がふさがれば白ロと活きなければならないから、その関係をにらんで黒3と攻められれば左右の白のシノギが苦しい。

14図

15図
黒1のノゾキを妨けて、15図白1とカケツグ手も考えられるが、黒2のオシから黒イ白ロ黒ハ白ニの後手活きを強要されてはつらいから、それを防いで白3とおどりだせば黒4と攻められてやはり薄い。
黒43とサガる手で黒イと堅くツグのはぬるい。黒43とサガっておけば白の一団の出口が失われた場合。黒ロなどの攻めが白の致命傷になるわけである。白44のツメを怠れば黒ハのヒラキが大きい。したがって白のツメは大場の手どまりといわれる好点だが、この手では16図の白1黒2と交換してから白3と上辺の一団を逃げ越しているのが全局的に好ましかったと思われる。
16図

17図

白△と進出しておけば当面の危険はないから左上辺の黒模様に対して白1の進入も可能ということになる。白15まではその攻防の一例だが、活路に不自由はない。黒45の攻めが大勢上の要点で、白46と補ってもまだ左右の白の薄みは解消されない。その黒45はまた18図黒1の拡大を含み、それを嫌って19図白1と先鞭されても黒2の受けに満足できる
18図

19図
