知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

グローバル化と保護主義化4

2020年05月16日 | 国家論
アメリカ・トランプは、
 安保理を利用した中国に対する制裁は不可能である
と考え、
 独自の制裁を行うことで、 
 中国を押さえ込もうとしている。

これに対し、
 経済を重視する企業や国家は、ウイグル、チベットに対する迫害
については、
 問題にしないよう配慮している。

2019.10.30 https://www.sankei.com/world/news/191030/wor1910300019-n1.html
jiji.com 引用
中国が新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族を大規模拘束している問題について、
日本や米英など23カ国が29日、国連総会第3委員会で、中国に対して懸念を示し、
恣意的な拘束をやめるよう求める共同声明を出した。
これに対抗してロシアやパキスタンなど54カ国は中国を支持する声明を発表。
ウイグル問題で加盟国が賛否の立場に分かれ、応酬を繰り広げた。


中国を支持する国は、
 中国マネーに縛られている
わけです。

国連は、このように。
お得意様である中国の顔色を伺っている国が多いため、
 国連は中国に対する批判はしにくい
ということです。

とはいえ、
 今回のコロナは、中国の脅威を世界に示す
ことになったため、
 流れが変わっていく可能性があります。

 脅威が高まる
ことで、 
 今の経済の恩恵よりも、将来の国家の安全を重視すべきだ
という世論が形成されることになるからです。

 中国が行ったマスクや医療物資の輸出制限
は、このことを、多くの人の心に焼き付けた。

実は、
 レアメタルの輸出制限

 海外旅行者の渡航制限
など、
 中国が人・物の流れを止めて脅迫する
ということは、かつてもありました。

これが、WTO違反であることは明らかです。

日経新聞 2012。1.31より引用
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3005F_Q2A130C1FF1000/

中国がレアメタル(希少金属)など鉱物資源の輸出を不当に制限していると
米国や欧州連合(EU)が世界貿易機関(WTO)に提訴していた通商紛争で、
最終審に当たる上級委員会は30日、米欧の主張をほぼ全面的に認める報告書を発表した。
中国の輸出制限はWTO協定に違反しているとの判断を下し、撤回を勧告した。

一審に当たる紛争処理小委員会(パネル)は昨年7月に米欧の主張を認める報告書を発表したが、
これを不服とする中国が上訴し、上級委が審議していた。上級委の判断が出たことで、中国の敗訴が確定した。


ただ、多くの国民にとっては、
 影響がないため実感はなかった。

ところが
 店からマスクが消える
という衝撃的な体験をしたことで、
 中国に頼るのは、危険ではないか
と認識するようになったわけです。

日本国民のみならず、世界中の人々が、
 世界の工場を担う存在としては信頼できない
と実感することになった。

このことは、
 グローバル化に歯止めをかけ、
 最低限の必需品は、安全保障の観点から、
 コスト高になっても自国で生産できるようにすべきではないか
ということにつながります。

マスクのみならず、
 エネルギーや食料
についても、
 他国に頼るのは危険ではないか
ということです。

グローバル化の流れを
 安全保障上の問題が歯止めをかける
ことになり、
 保護主義化へと向かう転機
となるわけです。

これが、国内回帰の動きというものです。

ただ、
 この動きについて、中国が徹底的に対抗する
ことになるはずです。

5月に入り、さらに尖閣諸島への動きを強めているのも、
 日本政府に対する威嚇
であると考えるべきだと思います。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200511-00000595-san-pol
5/11(月)  産経新聞 引用
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に侵入した中国海警局の船が日本漁船を追尾した問題で、
中国外務省の趙立堅報道官は11日、海上保安庁の巡視船が現場で漁船の安全を確保したことについて
「違法な妨害を行った」と非難し、「日本は釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)の問題において新たな騒ぎを起こさないよう希望する」と述べて
責任を日本側に転嫁した。

日本が中国の工場を国内や他のアジア諸国に移転した場合、
 中国経済に与える影響は甚大である
ため、
 圧力をかけてきている
と見ることができます。

この点については、あまり報道されていません。


ただ、
 反日政策をとる中国、韓国から親日の東南アジアにシフトしていく
ことが、
 21世紀の日本の取るべき外交戦略
であることは、明らかです。


・中国がチベットやウイグルの人権侵害を止めるようにする。
・台湾や香港の中国化を防ぐ。
・南シナ海、東シナ海、尖閣への侵攻を防ぐ。
・他国を経済的な植民地化をしないように押さえ込む。
・他国に親中派議員を育て、乗っ取らないようにする。
・他国のメディアを支配しないようにする。

そのためには、
 グローバル化により人・物・金・情報が自由になることのリスクを
 国民が理解し、他国による不当な関与を排除する
ようにする必要があります。
それにより
 自国の利益が守られる
というわけです。

残念ながら、日本のメディアは、かなり影響を受けています。
また、今回のコロナにおいても、
 親中派議員の存在が知られるようになりました。

経済連を中心とした企業は、
 安い人件費と多くの人口(市場)の魅力にとりつかれている
ことも、言動から分かると思います。

中国は、企業に対して、
 自由な経済活動により豊かになりましょう
という、WTOの理念を掲げながら、
 巧みに関係性を築き、逃れられなくした上で、支配する。

 海外旅行者
を送り込み、インバウンド消費を期待させるのも同じ。

売上げの多くを中国人客が占めるようになれば、
 中国共産党に従わない場合には、その国への旅行を禁止する
と脅せば、言いなりにすることができる。

 工場の誘致も同じ。
税制優遇措置や安い人件費で工場を誘致した後、
 投下された資本とスタッフを人質にする。
現に、スパイ容疑で現在も拘束されている邦人がいます。

一帯一路構想も、ある意味、グローバル化に資する考えといえます。
しかし、実情は、
 取引の自由を謳いながら、
 お金を高利で融資し、開発を行い、
 支払いができなければ、取り上げる
というWTOの理念に沿わない結果となっています。

実は、こうした
 強固な関係性を築き、逃れられなくした上で、支配する
というスタイルは、
 巨大IT企業にも共通する。

 自分の言うとおりにしないと、アカウントを削除すると警告する。
現に、YouTubeでは、
 規約違反として、広告がつかなくなる
わけです。

楽天の事例もそうです。
 加盟店は、一定額の取引は、送料を無料にしなさい
と命じる。

これは優越的地位の濫用となり、
 独占禁止法で禁止されています。

法令違反になるため、楽天は、事実上、撤回することになりました。

この優越的地位の濫用について、
 国際社会の場合、取り締まる法律のような強制手段がない
ため、
 事実上は、黙認されている
というわけです。

いくらWTOに訴えても、
 何年もかかり、強制力も疑問である
以上、
 立場の弱い国が訴えても解決を期待できない。

これが、
 国際法や国際機関の問題点
です。

 国際法は実効性が乏しく
 安全保障理事会も、常任理事国に対しては効力がない。

このことは、
 国際司法裁判所
においてもいえます。

韓国の自称元徴用工判決は、日韓基本条約に違反する。
同様に、いわゆる慰安婦合意の不履行も国際法に違反する。
しかし、
 国際司法裁判所の手続では、双方による訴えが必要であるため、
 不利であると分かっている国は応じようとしない。
結局、
 解決できない
ということです。

国際社会では、
 権利の実現が難しい。

日本人は、
 正しいことをしている人は、不当な扱いを受けることはない
と思っている人が多いですが、
 権利の実現には、コストがかかる
というのが、
 世界の常識というわけです。

日本人は、相手が間違っていることを指摘すれば、
 相手は誤りを認め、謝罪し賠償する
と思っている善良な人が多い。
しかし、
 明らかな証拠を突きつけられても、
 証拠が偽造された物だ
とか、
 その証拠に反する証拠を偽造したりして非を認めない
という人が多いわけです。

これを巧みに行っているのが、中国と韓国です。

では、日本はこれからどうしたらよいのか?
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グローバル化と保護主義化3

2020年05月16日 | 国家論
グローバル化の究極的な姿は、
 みんな自由であるという理想郷
です。

人、物、金、情報が自由に行き交う。
それを遮ろうとする規制を排除する。

これは、自由主義社会と親和性を有することになります。

そして、グローバル化は、
 国家の権力自体を減らし、世界政府のような組織に権力を移行する
ことを目指します。

国連など国際機関がその役割を期待されているわけです。

世界貿易機関(WTO)も
 自由貿易を通じ、どの国も豊かになる
ということを理念に掲げています。

中国も、自由貿易については、
 自国の利益に適う
ので、2001年に加盟が認められ、
 そこから急激に成長する
ことになりました。

最近では、
 アメリカの関税措置に対し提訴するなど、自国に利益になる
よう活用しています。

日経 2019.9.4 引用
世界貿易機関(WTO)は4日、米政府が1日に発動した中国への制裁関税「第4弾」を不当だとして、
中国がWTOに提訴したと発表した。中国が米国の制裁関税で提訴するのは3回目。
まずは2カ国間で協議し、60日以内に解決できなければ、
中国は一審に相当する紛争処理小委員会(パネル)の設置をWTOに求めることができる。

 
ただ、
 中国は知的財産権の問題ではアメリカに2018年3月に提訴されており、
 紛争審理中となっている
ように、
 必ずしも、自由貿易や、国際ルールの遵守に積極的であるというわけではない
わけです。

つまり、現状としては、
 自国の有利となるように、WTOを利用している
というだけのこと。

これは、中国に限ったことではありません。

ここに、グローバル化と言いながら、
 自国の利益や覇権争い
という
 真の目的が見えてくる
わけです。

貿易上の利益のために、
 関税自主権という権限を手放す
ことにより、
 貿易上の利益を受ける反面、
他国が強大化し、
 自国に安全保障上の問題が生じた場合には、侵略されるおそれがある
ため、
 対応を検討する必要がある
ということです。

本来は、
 安全保障上の問題は、安保理で解決できる
のが理想ですが、
 常任理事国に拒否権がある
など、
 仕組みが決して公平ではない
ため、
 常任理事国には機能しない
わけです。

グローバル化を推進し、自由を推し進める。
違反する国家に対して、
 制裁するための「権力」を国際機関に持たせる。

加盟国は、
 合意により、国際機関に加入するため、自主権を一部制限することを認める。
 約束を守らなければ、制裁や除名処分が課せられることを受け入れる。

それでも、加盟国は、加盟することで恩恵を受けるので、
 加盟したいと考える。
 除名されると、不利益を被るので、約束は守ろうということになる。

これが、国際機構が機能するための前提になります。

ただ、
 恩恵があまり感じられない
ということになると、
 脱退した方がよい
ということになる。

これが、EUからイギリスが抜けたブレグジット。
日本の国際連盟の脱退。
日本の国際捕鯨委員会の脱退。

今後、起こりうるWHOからのアメリカの脱退(現在は拠出金の停止)。

国際機関は加盟国の信頼の上に成り立っているため、
 運営が公正でない
ということになり、
 信頼が失われる
と脱退者が増え、崩壊することになるわけです。

例えば、
 組織内に一部の国の代弁者が多い
 資金の分担が不公正である
 資金の使われ方が不透明である
 政策が当初の目的に適っていない
など。

現在、
 WHOが新型コロナウイルスに関し、
 中国の干渉により、非常事態宣言を出すのが遅れた
という点が国際的な問題となっています。

これは、
 WHOへの不信感につながる
ことなりました。

さらに、
 ユネスコの記憶遺産に、韓国・中国の団体より従軍慰安婦資料が提出される
など、ユネスコも政治利用がなされている。

静岡新聞 2019/8/28 引用
【パリ共同】国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)のアズレ事務局長は27日、
就任後初の訪日に際して共同通信の書面インタビューに応じた。
現在凍結している旧日本軍の従軍慰安婦関連資料の「世界の記憶」(世界記憶遺産)への
登録審査に関し「進展は関係当事者の意思次第だ」として、
反対する日本と、登録を後押しする韓国の双方の意向を尊重する考えを示した。 
2017年11月の就任後、アズレ氏が日本メディアのインタビューに応じるのは初めて。
慰安婦資料の登録は中韓両国などの団体が申請し、
ユネスコは17年10月に登録に関する判断を延期した。

https://www.at-s.com/news/article/international/674626.html

これは、
 諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、
 国際平和と人類の福祉の促進を目的する
という
 ユネスコの目的
に反する行動です。

情報戦は、
 中国や韓国が得意とする戦略
ですが、
 日本はうまくない(いい意味では人がよく、ずる賢さが足りない)
ため、
 自らの見解をきちんと説明できず、拠出金の支払い停止などの措置もとれない
ことから、
 世界では、中国や韓国が発信する歴史が正しい
という誤解が生じています。

2016.12.22  産経新聞 引用
政府が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への今年の分担金約38億5千万円を支払っていたことが21日、分かった。
ユネスコが昨年、「南京大虐殺」の文書を「世界の記憶」(記憶遺産)に一方的に登録したことに反発し、
支払いを保留していたが、今週始めに拠出に踏み切った。
支払い保留を続ければ加盟国の反発を招き、
日本が求める記憶遺産の登録制度改善にも支障をきたすと判断した。

ユネスコ分担金は加盟国の義務で、日本は例年4~5月に支払っており、
12月まで保留したのは異例といえる。
今年の任意拠出金約7億7千万円も保留していたが、11月に支払った。

記憶遺産をめぐっては今年、日中韓などの民間団体が慰安婦問題の関連資料の登録を申請し、年明けから審査が始まる。
政府は透明性確保など登録制度の改善を求めているが、成否は見通せない。
自民党内には「慰安婦資料の登録が見送られるまで支払うべきではない」との意見も根強い。


温厚な日本がユネスコの分担金の支払いを止めたことに、世界は驚きをもって報道しました。
イギリス・ガーディアン紙
「日本、南京大虐殺をめぐりユネスコへの資金提供を止めると脅迫」

ただ、世界的に見れば、これはディールなので、当然だと考える人が多いわけです。
このおかげで、慰安婦資料の登録は、現時点では保留になっています。
ユネスコは、日本の分担金の支払いがなければ、存在すら危ぶまれるからです。

ちなみに、国連事態も加盟国が分担金を滞納しているため、
 財政難に陥っている。
2019.10.9
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019100900662&g=int&utm_source=jijicom&utm_medium=referral&utm_campaign=jijicom_auto_aja

多額の分担金をきちんと払っているのは、日本くらいだと言われています。


グローバル化の推進のためには、
 国際機関の権限強化
が必要となるものの、
 効果が生じない場合(安保理の常任理事国に対する経済制裁ができないこと)
 不信感が生じる状況(構成員による政治利用 目的外の活動)
では、
 最終的には機能しなくなる
ということです。
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