でも今回は音楽はすっ飛ばして、いきなり本から入らせて貰います。
「自由への道」について書かれた本では、ウォールデンの「森の生活」が世界的に有名で、これは私が17才でアメリカ留学した時に、5件目(問題児でした)のホストファザーから贈られて読みました。
この本の第一章では「森の生活」に掛かった費用が詳細に述べられており、17才の私には退屈で読み進められなかったのですが、これに似た生活を23才の冬に北海道斜里で経験しましたので、その費用について詳しく述べてみます。
まず自宅なので家賃は掛かりませんが、冬はマイナス30℃まで冷えるのでストーブは欠かせず、中位のダルマストーブと薪は有りましたが、それだけではしのげずに電気カーペットを使い、電気ポットもフル活用して湯タンポを作ったので、電気代はかさみました。(月5000円程)
水は井戸から電気ポンプで汲む仕組みなのですが、冬仕様ではないため凍って使えず、町まで(5km)ほぼ毎日自転車で汲みに行っていました。
車は無かったので猛吹雪の時は町まで行かれませんでしたが、歩いて海岸まで(1km)はなんとか行けて流氷の上を歩け、その氷を鍋で溶かして飲むコトも出来ました。
話を生活費に絞りますと、他に掛かった費用は食費だけで、これは出来るだけ切り詰める挑戦をしました。
秋に川で捕ったサケをビン詰め(缶詰めと変わらない)しておき、サケ工場(斜里はサケの水揚げ量日本一)で廃棄される頭も貰って主食にしました。
野菜も周りはジャガイモ、大根、玉ねぎ、ビートの畑ばかりで、生産調整の為に作物がそこら中に山積みされたままになっていたので、それを頂戴しました。
町のスーパーで買ったのは米と味噌とミカンくらいで、月5000円で賄えました。
よって一月1万円で暮らせるコトが解り、これは私が高専生の時に放課後のアルバイト(パチンコ店、時給1400円で7時間)で稼いでいた金額です。
つまり、1日働けば一月暮らせるという理解に、私は若くして到達しました。
ウォールデンの「森の生活」もこうした理解を元に「自由への道」を説いており、人は食べて寝るだけの動物ではないので、次には「仕事」が大事と語られます。
23才の時の私にとって「仕事」は専ら勉強で、作家に成りたいという目標を持って毎日図書館に籠れました。
昼間でも外はマイナス10℃以下となり、図書館は家よりもずっと暖かくて快適だったので、必然的に閉館時間まで居座って本に向かえました。
なので冬の北海道ほど文学に向いている土地は日本には他に無いと言え、同じく北国のロシア文学(19世紀のトルストイ、チェーホフ、ドストエフスキー等)と、特に親近感を持って交われました。
この過去の有名な文豪達の中で、特に「お金と自由」について書いているのはドストエフスキーで、その処女作「貧しき人々」は味わい深い作品です。
トルストイとチェーホフも没落貴族の葛藤をよく描いており、「お金」はやはり文学では外せないテーマで、それから如何に自由になるかを登場人物達はみんな追及していました。
私も物語で「自由への道」を描く上で、こうした先輩達の追及を参考にしたいと思っています。