前回、「教育の現場で特別な才能を発揮した少女」と書きましたが、それはまず「いじめをなくす」コトを指します。
このコラムでは、それは何も難しいコトではないとしています。
ただ、いじめられている子のそばに寄り添ってあげるだけで、その子の人生を救えます。
そうした成功体験は「特別な少女」を輝かせ、誰も彼女に危害を加えようとは思わなくなり、自然といじめは消滅します。
クラスには明るいハーモニーが生まれ、全ての子供たちの顔と声が生き生きとして来たならば、大人たちもそのクラスに「特別な少女」が居ると感付きます。
そうして見い出された「少女」は音楽の英才教育を受け、歌と楽器の才能を伸ばして行きます。
彼女はクラスの憧れの的となり、周りの子等にも歌と楽器を教えます。
そう言えば中学の頃、合唱コンクールがあったのを思い出しました。
教室で習ったコトは一切思い出せませんが、合唱コンクールで唄った「旅立ちの日に」は今でも口ずさめます。
チベットでは、カラオケなんて無いので自分達で演奏しなければならず、歌詞も「少女」自らが作ります。
そして彼女のクラスは全国コンクールで優勝し、その歌が国中で謳われる様になって初めて、「少女」はトゥルクを選抜する特別な僧院へと送られます。
そこでは全国から選ばれた「トゥルク候補」が厳しい修行に挑みます。
それは1日中マントラを大声で唱え続ける「唱題行(外を歩きながらも唱える)」で、その間断食も3日ずつ間隔をおいて行われます(3日断食で1日休み)。
この苦行に一番永く耐え、しかも声が衰えなかった少女がトゥルクの最有力候補と成りますが、それだけでなく普段の生活態度も重視され、学習意欲や周りへの気遣いが評価されます。
こうして選ばれたトゥルクは、ダライ・ラマの側近として生涯彼をサポートする存在になります。
カシャク(内閣)にも参画して女性の意見を代表し、教育行政のトップに立ちながら現場で子供たちに歌を教えたりもする、そんな自由奔放なトゥルクを描こうと思っています。