昨日の6月4日は、35年前に天安門事件が起きた日で、この日に亡くなった3万人もの若者たちを追悼する集会が、香港島のビクトリア-パークで開かれるのは恒例行事になっていました。
しかし3年前に「国安法」が施行されてからこの集会は違法となり、それでも追悼集会を行った人達は多くが逮捕されてしまいました。
去年は個人による追悼でも、ロウソクを灯したり献花をしたら逮捕されたので、今年はそうしたアピールも見られず、スマホのライトを高く掲げるのが香港市民の精一杯の抵抗でした。
そうした行動をとった人は警察官10人余りに囲まれて尋問され、その周りは更に数10人のカメラを持った市民メディアや野次馬が取り囲み、解放された抵抗者は一躍ヒーローのように市民からインタビューを受けていました。
わたしもその野次馬の一人でしたが、パークと100m程離れたSOGO前の歩行者天国(ここでも市民と警察の小競り合いが続いてた)を何度も行き来していたら、太鼓を持っていたせいか警察から尋問を受けて荷物を検査されました。 これは特に問題なかったのですが、それを見ていたメディアに囲まれてインタビューされ、香港市民の言論統制への抵抗に共感を示したらとても歓迎されました。
太鼓を持っている理由も聞かれ、平和を祈るタメだと言ったら是非とも打って欲しいと頼まれ、一人ではなかなか勇気が出なくて打てませんでしたが、多くの市民に囲まれたお陰で唱題行が出来ました。 パークの入り口の噴水の縁に座って唱題し、初めはわりと小さな声で市民の参加も呼びかけながら唱題しましたが、その内に座禅を組んで本格的に太鼓を打ち鳴らし、大声で南無妙法蓮華経を唱えたら3分足らずで警官隊がやって来て逮捕されました。
パトカーに乗せられて警察署に連行されましたが、大勢の市民が声援を送ってくれ、警察署まで追って来てくれたメディアの人もいました。 警察署での取り調べはやはり問題なく、そこの所長は若くて理知的な感じで、市民からの反感を減らすように気を配っている様でした。 一時間ほどで釈放され、外に出たら日本のメディア(共同通信、阪神新聞、読売新聞)の記者まで来てくれて、日本領事館まで逮捕に気を揉んでくれたと伝えられました。
記者らに話を聞くと、3年前に追悼集会で逮捕された人達でまだ刑務所に入っている人はかなり居り、彼等は罪を認めないので保釈されないそうです。 香港には35年前の天安門事件に関与して指名手配され逃げて来た人達もおり、そうした人達は今でも独裁政権との闘いを続けているみたいです。
一方で、中国本土では天安門事件はすっかり忘れ去られており、それを口にするコトすら出来ません。 こうした悪しき過去はすでに清算されて、算了(スァンラ、忘れ去る)されるべきモノと中国政府は考えているようですが、香港には未だに過去を算了しない人達が多く居り、彼等の妙なる法が蓮華と経てゆくように祈れました。