彼が酔っ払って階段から転げ落ち亡くなったのは、私が23才の時だったと記憶しております。
らもさんは酒量を減らす為に、酒が不味くなる茶(T、五感が鋭くなり酒の毒性を感知できる)を用いていましたが、それは日本では違法で牢屋に一月ほど入れられ、釈放された直ぐ後に酒によって命を落としてしまいました...
世界では毎年300万もの人が酒で命を落としているとWHOは報告しており、一方「茶」で死んだ人は古来から1人も報告されていません。
茶の毒性は酒の1/300とされ、日本でも戦後にGHQに統治されてアメリカの法律が押し付けられるまでは合法でした。(茶産業からの反発もあった)
そのアメリカで合法化の波が広がっているのに、日本の司法界は古い判例に固執するのみで、「脳死状態」に陥っているのではないか?と心配してしまいます。(判例を覆すのは賠償が伴うので勇気が要る)
「脳死状態」と言えば、終末医療の話が続いて「尊厳死」を擁護する立場に立って来ましたが、それとは正反対の状況もあるコトを紹介して置きます。
これは最近の報告ですが、この「尊厳を奪う死」は、30年ほど前から「闇」に閉ざされ続けております。
話を中島らもに戻しますと、彼ほど「諧謔の才」に恵まれた作家は日本には他に居なかったと思え、そんならもさんは作家という仕事を「クズ漁りみたいなもんや」と常々語っていました。
それは「獏の食べ残し」という作品で象徴的に描かれており、そのファンタジックな作風も人気を博していました。
あとお勧めなのは「寝ずの番」という看取りを題材にしたコメディで、これはKindleで無料ダウンロードできます。
蛇足かも知れませんが、らも作品を特徴付けている大阪人ならではの諧謔精神は「漫才」にも良く表れており、この道を突き進む若者達を描いた漫画「べしゃり暮らし」(森田まさのり)も、愛国心を育ててくれる名作だと思います。
次に、いいだももに話を移します。
彼は元々熱心な共産主義者で、三島由紀夫と東大法学部で同期だったインテリ作家です。
普通に図書館で見かけられる本は限られ、「20世紀の社会主義とは何でもあったか 21世紀オルタナティブへの助走」という大著くらいしか有りませんが、これは共産党を「破門」されたももさんによる優れた「共産主義の総括」です。
ももさんが「破門」されたのはその優れた批判精神の為で、彼はプラトンやニーチェなどの伝統哲学への造詣が深く、それらに対抗して現れた科学的なマルクス哲学を賞賛はしましたが、それももう古いとして乗り超えようとしました。
これは現代人にとっては驚くに値せず、科学は進歩し続けているので哲学もそれに合わせて進歩するべきでしょう。
これについては色々と述べて来ましたので、ここではその一例を挙げるに留めさせて貰います。
共産主義すなわちマルクス哲学が、現実で上手く機能しないコトは中国共産党も認めており、それでも殻を脱ぎ捨てられないのは、社会主義が産んだ中央集権(独裁)に固執しているからと思われます。
ももさんはその殻を脱ぎ捨てて在野の作家となり、「アメリカの英雄」などの諧謔心に富むオルタナティブな作品を残しました。
これはかなり入手しにくい本ですが、「日本の原爆文学」シリーズに入っており、そこで堀田善衛(よしえ)の「審判」と双璧を成している名作だと思います。
ももさんの作品はAmazonでは電子書籍どころかレビューすらもほぼ無い中で、私はこの本にガチなレビューを書いていますので、良かった読んでみて下さい。
今回Wikipediaで、いいだももの数多くの作品を知るコトが出来、久しぶりに国会図書館に行って読もうというモチベーションを得られました。
こうしたAmazonを超えて読みたいと思える作家はなかなか居らず、彼の命も文句なく「妙なる法」と言えます。