今年は例年よりちょっと早めでしたが
ソメイヨシノが今まさに満開の花を咲かせ
わたしたちを楽しませてくれているけど
これがもともとは1本の木で
それを接ぎ木か挿し木で増やしていったというお話は
ご存じの方も多いはず
この桜は江戸時代末期~明治初期に
江戸の染井村の植木職人がエドヒガンとオオシマザクラを交配して作ったもので
エドヒガンの葉より先に花が咲く性質と
オオシマザクラの大きく整った花形を併せ持つ
花見にうってつけの桜ができた
ところが
この桜は自家不和合性といって
同じ個体では受粉しても種ができない性質があり
他の桜と交配すると違う桜になってしまうため
接ぎ木か挿し木で増やすしかなかった
だから
今あるソメイヨシノはどれも同じ一つの木からできているクローンで(なので受粉しても種ができない)
一つ一つに人の手がかけられているわけ
そしてその数は
日本にあるものだけで数百万本~一千万本と言われ
さらに海外にも多くのソメイヨシノが育っているから
考えてみたらものすごいプロジェクト
100年以上もの間
一つ一つに手をかけて、こんなに広がっていて
さらにこの先も当分なくなることはない
こんな壮大なお仕事はあまり聞いたこともないし
たぶん染井村の植木職人さんは
こんなことになるなんて思ってもいなかったんじゃないかな
それだけわたしたちがソメイヨシノにかける愛情がすごいってことになるのかも
そんなことを考えつつソメイヨシノを見ていると
ちょっと違った世界をのぞいたような気にもなってくる
ってことで
ソメイヨシノの花の命は満開から約1週間
今週はちょいちょい雨も降るようですから
すべて散ってしまう前に
美しい桜をしっかり心の目にとどめておきましょう
因みに
ソメイヨシノの寿命は平均で60年ほどで
植え替えが必要なものも
場所によってはもう植えられないところがあったり(河岸は地盤が崩れやすく難しい)
温暖化の影響で、寒さを乗り越えないと花が咲かないソメイヨシノは
いずれ日本が温かくなるともう開花しなくなる可能性もあるし
また同じDNAでできているため、一つが病気にかかるとすべての木が同じ状態になる可能性もあり
害虫に食い荒らされたりすることもあるため
ずっとこの桜を楽しみ続けるのは難しいかも
なので
楽しめるときに十分楽しんでおくのも大切ですね
遊びに来てくださって、ありがとうございました