ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

米朝交渉 round 11(続)

2018-08-26 13:00:31 | 日記
トランプ米大統領がポンペオ長官の訪朝を中止させた問題は、各方面に大き
なインパクトを与えたようだ。きょうの朝日新聞は、かなりの紙面を割いて
この出来事を報じている。

ただ、この記事を読んでみて、私はその内容にすこし違和感を持った。トラ
ンプ大統領のツイッターへの投稿には、ポンペオ長官に訪朝を中止するよう
指示した報告とともに、北朝鮮の非核化が進展しない現状の報告と今後の見
通し、対北制裁への中国の非協力的姿勢を非難する言辞が見られる。

この中国非難の意味をどう受けとるかが問題だが、朝日新聞は、トランプ大
統領が非核化の進展しない理由を中国のせいにして、対北制裁への中国の非
協力的姿勢を、非核化失敗のいわば言い訳にしていると見ている。どの部分
がというわけではないが、全体として読者をそう思わせるような、巧妙な書
きぶりなのである。「北朝鮮の非核化が進展しないのは、オレのせいじゃな
い。中国のせいだ!」とトランプ大統領は言い張っている、ーーこの記事を
読んだ読者は、そう思うだろう。

むろん私の見方は、これとは違っている。北朝鮮の非核化が進まないのは、
たしかに中国のせいではあるのだが、それは戦略的に見て、非核化のために
は中国を自陣に取り込むことがまず必要だということなのである。そこに戦
略家の客観的な情勢分析を見ずに、「うまく行かないのは、お前のせいだか
らな!」といった責任転嫁の姿勢を読みとろうとするのは、ちょっと違うの
ではないかと私は思うのである。

また、ポンペオ長官の訪朝中止と、非核化の見通しが立たないことを、「結
果と理由」の関係で結びつけ、次のように報じる記事を読むと、私は「どう
なのかなあ」、「ホントかなあ?」と思ってしまう。

米政府関係者によると、トランプ氏はポンペオ氏が訪朝しても、北朝鮮の金
正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と面会する見通しが立っていない
ことから中止を決断したとみられる。トランプ氏は、米朝交渉の停滞を指摘
する報道に対して「フェイクニュースだ」と反発し、交渉は順調に進んでい
ると強調してきた。今回の中止指示は、そのトランプ氏自身が「(非核化
が)進展していない」と認め、不満を初めて公に示したものだ。
                       (朝日新聞 8月26日)

北朝鮮の非核化がうまく行かないのなら、その現状を打開するためにこそポ
ンペオ長官を切り札として訪朝させるべきではないのか。まして今回の訪朝
は、北朝鮮側からの要請に基づくものである。金正恩委員長に面会できない
からといって、それだけで「非核化が進展する可能性はゼロ」と決めつけら
れるものだろうか。

ともあれ、「ポンペオ長官の訪朝を取りやめさせたのは、訪朝しても非核化
は進展しないと考えられるからだ。北朝鮮の非核化が進展しないのは、中国
が協力しないからだ」とトランプ大統領が考えているとは、私は思わない。
そういう考えから、彼が件(くだん)の投稿を行ったとは、私は思わない。

まあ、この人の常日頃の言動を見れば、そういう軽佻浮薄な考えをそこに見
たくなる気持ちも、解らなくはないんだけれどね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする