政府のコロナ対策専門家会議は5月4日、コロナ禍に対処するための「新しい生活様式」を提言した。コロナを撲滅するというより、今後コロナとうまく付き合っていくための新スタイルの提言といってよい。この提言が「他人とのかかわり方(距離の取り方)」について、「できるだけ2m(最低1m)空ける」といった画期的(?!)な提案を軸にしていることは注目される。この提言が「新常識」になって実際に社会を動かし始めたとき、そこにどういう社会が到来するか懸念されるが、今はそれには触れない。
注目すべきもう一つの点は、専門家会議の提言が国民の移動に関する行動様式にも言及していることである。これは提言というより、「繁華街や行楽地への出入りを控える」といった指針としてなかば常識となり、すでに我々の行動を規定している新しい生活規範の、その基本を述べたものといってよい。
この新しい行動規範がどの程度社会に定着しているかは、次のニュースが伝えている。
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、大型連休中の人の数が昨年と比べて各地で8割前後減ったことが、携帯電話の位置情報から明らかになった。
NTTドコモによると、4日午後3時台の人出は、昨年の大型連休の同じ時間帯の平均と比べ、北海道・札幌駅が80・6%減、東京・新宿駅が84・8%減、愛知・名古屋駅が83・0%減、大阪・梅田が87・7%減、福岡・天神は79・8%減などだった。連休初日からさらに減った。」
(朝日新聞DIGITAL5月5日配信)
このニュースを見る限り、新しい行動規範の定着ぶりはみごとなものだが、それはさておき、このニュースが示すように、「スマホ型追跡システム」がすでに民間では、実用的なものとして利用されていることも見逃せない。
休日における東京や大阪の人出の増減といった統計程度なら、個人情報にはさしあたり関係がなく、人畜無害ともいえるが、「スマホ型追跡システム」の応用範囲はこれにはとどまらない。やがて次のような報道を聞く日も近いだろう。
「A県B市の住宅地で、会社役員のCさん(54歳)が殺害されているのを、家人が発見しました。A県警が容疑者D(30歳)の携帯電話を調べたところ、位置情報のデータからDの行動経路が明らかになり、*月*日の午前*時ごろ、Dが同県B市のCさん宅付近に立ち寄ったことが判明したため、県警はDを逮捕しました。」
この種のニュースを聞いて危惧の念を懐かない人は、イマジネーションが決定的に欠けているというべきだろう。「自分が殺人を犯すことなど絶対にない」と信じて疑わないこの私ですら、一抹の不安を禁じ得ないのだから。
注目すべきもう一つの点は、専門家会議の提言が国民の移動に関する行動様式にも言及していることである。これは提言というより、「繁華街や行楽地への出入りを控える」といった指針としてなかば常識となり、すでに我々の行動を規定している新しい生活規範の、その基本を述べたものといってよい。
この新しい行動規範がどの程度社会に定着しているかは、次のニュースが伝えている。
「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、大型連休中の人の数が昨年と比べて各地で8割前後減ったことが、携帯電話の位置情報から明らかになった。
NTTドコモによると、4日午後3時台の人出は、昨年の大型連休の同じ時間帯の平均と比べ、北海道・札幌駅が80・6%減、東京・新宿駅が84・8%減、愛知・名古屋駅が83・0%減、大阪・梅田が87・7%減、福岡・天神は79・8%減などだった。連休初日からさらに減った。」
(朝日新聞DIGITAL5月5日配信)
このニュースを見る限り、新しい行動規範の定着ぶりはみごとなものだが、それはさておき、このニュースが示すように、「スマホ型追跡システム」がすでに民間では、実用的なものとして利用されていることも見逃せない。
休日における東京や大阪の人出の増減といった統計程度なら、個人情報にはさしあたり関係がなく、人畜無害ともいえるが、「スマホ型追跡システム」の応用範囲はこれにはとどまらない。やがて次のような報道を聞く日も近いだろう。
「A県B市の住宅地で、会社役員のCさん(54歳)が殺害されているのを、家人が発見しました。A県警が容疑者D(30歳)の携帯電話を調べたところ、位置情報のデータからDの行動経路が明らかになり、*月*日の午前*時ごろ、Dが同県B市のCさん宅付近に立ち寄ったことが判明したため、県警はDを逮捕しました。」
この種のニュースを聞いて危惧の念を懐かない人は、イマジネーションが決定的に欠けているというべきだろう。「自分が殺人を犯すことなど絶対にない」と信じて疑わないこの私ですら、一抹の不安を禁じ得ないのだから。