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『あさが来た』3週の感想まとめ、その2。歳も初夜も池井戸展開も来たけど、「びっくらぽん」。

2015-10-17 13:10:15 | 朝ドラの感想
『あさが来た』3週、「新選組参上!」の、前半の感想まとめ。


歳が来たり、初夜が来たり、池井戸展開が来たり、あれこれあったはずなんだけど……びっくらぽんや




前半はこちら。→『あさが来た』3週の感想まとめ、その1。忘れてた、投げ入れた、もうデレた、待たせてた、やっと会えた。





関連リンク

『あさが来た』2週、走っていく花びら、流れていく花びら。

『あさが来た』1週、あさ!そっから何が見えるん?

あさが来た!!あさが来たよ!(初回のネタ雑感)

『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
朝ドラ感想記事のまとめ。




■楽器が似合う玉木宏よ。




楽器を弾いている姿が似合う俳優さん。
今んとこ玉木宏が、ぶっちぎりでナンバーワン。




■初夜はまだ来ぬ。


 



夫婦喧嘩をしているわけではありません。
初夜が来てないだけです。
(だってあさはまだ15歳…ゲフゲフ)

とはいえ、三味線弾いてる新次郎に惚れ直したあさは、新次郎に話しかけるも。
「ピロートークに、幕府と薩長の話はないわ」と言われてしまい(言ってない)
「じゃあ艶っぽい話をしましょうよ」と言うも。



残念。

でも2人が笑顔だからいいか!!

 

(波瑠さんめっちゃめんこい)



■また来た。


 
土方「俺は新選組副長、土方歳三だ。夜分にすまない」

あんた一昨日あんだけサービスしとったがね。
後光輝かせて視聴者に大盤振る舞いしとったがね。


でもこういうメタ演出、嫌いじゃない。むしろ大好物。

  



大石「この証文で金4百両を借用したい」
あさ「先ほど土方様は『幕府再興』と言わはりました。もし幕府に何かあったら、その4百両、ほんまに返してもらえるんだすやろか?」
土方「何?」


これをわかりやすくするとこうなる。

大石「金貸して」
あさ「返済計画あるの?」
土方「えっ」


 
「いや両替屋は信用が何より大事だして、そやさかい、あなた様方を信用してええもんかどうか思いまして…」

両替屋の仕事のこと、こないだ加野屋パパから教わった『信用』の大切さをきちんと学んでるあさ。
このときあさはガクガクブルブル。
世間知らずの子供の勇み足じゃなくて、「新選組にこんなことを言うなんて危ないことわかってるけど、でも!」と立ち向かったんでしょうな。

だから新次郎はこのあさを「芯のある大人の女」と評して、もう子ども扱いはせずに、あさに惚れたんですね。

しかしこの言葉、広岡浅子氏本人も言ってそう。
晩年になってきっと夫婦で思い出したりするのかしら。
「あのとき新選組きたよねー」「ねー」「ねー」とか。


 
土方「いい女だな。大した度胸じゃねえか」
視聴者「あんたの嫁さんもな。」

土方「大変な嫁をもらったもんだな」
視聴者「だからあんたの嫁さんもな。女医としてなかなか新時代を切り拓いたやん」


 
「金は返す。いずれ必ず。俺が生きていればの話だがな」

で、結局新選組はこの1か月後に鳥羽伏見の戦いとかでもう色々大変だったので返してません。
生きていれば「土方歳三、最期の1日」はなかったわけだ。
借金の証文だけ残って、こうしてドラマとして描かれる。
いやほんと事実は小説よりも奇なり。
(まあ大河のほうに求める部分なんだけれど)

もしここで山本耕史演じる土方歳三が「ここで金を借りたことは内密にな」とか「義朝、久しぶりじゃのう」とか言ってたら、平清盛クラスタが海の底から浮き上がって狂喜乱舞していたことでしょう。



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■初夜が来た


新選組に立ち向かったものの恐怖のあまり腰を抜かしてしまったあさ。
彼女を支えながら、なぐさめる新次郎。


どさくさに紛れて、接吻しよった。


そして初夜が来た。


その昔「俺の子を産め」って由良御前にプロポーズした人が、こんなまともなプロポーズできるなんて……


新選組、山本耕史の土方歳三の使い方が、ファン心理を絶妙につつきまくり。
それがただの視聴者サービスに終わらなかった。


新選組にきちんと伝えるべきことを伝えたあさを描き、
でも怖くて足が震えちゃって腰も抜かしてしまったあさも描き。
『いい女だな』と土方さんに言わしめることで、新次郎に自覚させて。
そんな吊り橋効果で2人の距離がぐっと縮まる。



その副長の使い方と、新次郎の手の早さに、こっちもびっくりしたわ!



■白岡あさが黙っていない。


 
「急いだ方がええと思うんだす。世の中が変わってしもてから慌てたんでは遅ぉますよって」

朝の艶っぽい話はなしで、早くもお仕事の話。
しかし、あさの直感というか先見の明は、お父ちゃんからの遺伝と五代さんから受けた刺激のハイブリッドかな。

 
「数字、読み上げとくなはれ」
「わてがか?」


他に誰が読み上げんねん。

でも知ってる。
新次郎さんはそろばん弾いてるあさが好きだって脳内補完してる。



「900万両…これが貸し付けの総額や」
 ↑
(突然始まった池井戸潤)


「世の中がまるで変ってしまうのやとしたら、人やお店かて変わっていかな生き残られへんのやさかい!」

時代は変わる、新しい風が吹く。
五代さんの言葉、お父ちゃんのこと聞いてあさなりに考え抜いた言葉なんだなあと思うと、やはりこの人は女傑なのだと。





■この時代、嫁にきちんと向き合う舅。



「お互いにこう、まことの心を持って信用をしあわんことにはどうにもならしまへんやろ?」

嫁であるあさの意見を怒鳴って否定したりせず、きちんと聞いたうえで、ちゃんと説明する正吉さん。
意見は言うけど、自分の考えの浅さに気づいたらすぐに謝るあさ。


どっちも立派だなあ。


「変わっていかんと、生き残られへんか…」

あさの言葉をひとりで反芻する正吉さん。
ここが加野屋のターニングポイント。

前エントリで「今井家は公儀を見限った」と書きましたが。
今井のお父さんもきっと悩んで悩んでの結論だったのでしょう。
今井のお父さんじゃなくても、大坂のお父さんたちみんな悩んで悩んで、それぞれの道を行く。
そういう時代だったんでしょう。



お ま え は 言 っ と ら ん。



■一生懸命じゃないふりの理由



「なんでそないに一生懸命やあらへんふりしはるんだす?」

月曜からずっと描かれている新次郎さんの「働きたくないでござる!」

これただの高等遊民じゃなくて、兄との死別のシーンを考えると、何かあるとにらんでる。
亡き兄ちゃんとの思い出かあるいはコンプレックスか。

嫁ぐ前、ショックを隠し切れない新次郎に「優しいお人どす」ってあさが言ったとき、真剣な目をしていた新次郎。
新次郎の闇の部分を、もう一度あさが癒したげて、今度は投げ入れられないハグするの待ってる。



■蔵へ


祝言すっぽかしも、早速のデレも、インターナショナルストーカーも、「待たせたな」も、「金貸せよ」も。
あの場面でもこの場面でも、ずっと片隅にあった予告のあのシーン。

 


まさか、土曜の残り3分の時間にぶちこんでくるとは。

【ざっくりとした流れ】

新次郎から山王寺屋の話を聞いたあさがやってくる。

外からはつの琴の音が聞こえて、声をかけるあさ。

あさの声をきいて、表に出ようと店を通る廊下を行こうとするはつ。

言うこと聞けないんなら蔵へ←今ここ。


蔵閉じ込めはあまりに唐突でした。
そんな理由で?と。


というより、大した理由はないのでしょう。
八つ当たり、捌け口、家の実情をひた隠しにしたいだけなのでしょう。





ううう、見てるの辛い。

ミセスイビリ、もといミセスイケズといえば、「ごちそうさん」の和枝ちゃん。(どっちも違う)
キムラ緑子さん演じる和枝のイケズもなかなか酷いもんだったけど、悲しい理由がありました。
いびられるめ以子には何故か安心感がありました。

でもなぜだろう、萬田久子さん演じる菊さんのいびりは陰影がひたすらに怖い。

幸せそうだったはつ・惣兵衛夫婦からの急転直下、幸せな時間を過ごしているあさ・新次郎夫婦との対比。
そこに追い打ちるのが宮崎あおいの悲壮感漂う演技。
いろんなものが重なって、ひたすら怖い。

1週のときから継続して「芯の強さ」が描かれたはつでも、あまりに理不尽であまりにひどいことをされると「なんでも言うこと聞きます」と言ってしまうこと。
ここから削がれていくはつの幸せと気力。



今週加野屋で描かれたいろんな楽しいこと面白いことを一瞬忘れるくらいに辛い。



■惣兵衛の葛藤


物音を察知して駆けつけたのであろう惣兵衛。

 

 

「出したらあかんで」

惣兵衛、お母ちゃんのこと憎んでる、憎んでるけど逆らえない。
嫁のこと助けたいのに助けられない。


母は去って、蔵の中からはつの声だけを聞くしかない惣兵衛。
母に対する怒りと恐怖。
はつを守りたい、助けたいという思い。
両者が対立している自分への葛藤。

惣兵衛の心の蔵にしまってあった辛さが音もなく押し寄せる。
それを物語る柄本さんの表情。


 

 

「旦那様…旦那様」

柄本さんの台詞は「へえ」しかありません。
それでもこの表情の変化で、惣兵衛の心情が痛いほど伝わってくる。
『あまちゃん』、ユイちゃんがトンネルの中で被災した「もう遅い」に匹敵するシーン。
(参考:『あまちゃん』23週、まとめその1.あまちゃんの描いた東日本大震災


惣兵衛もお母ちゃんのこと怖いのかもしれない。
蔵に何か折檻されたときのトラウマがあるのかもしれない。

でもな、今はつを助けられるのはあんただけや。

はつがいびられるまで山王寺屋の傾きや時代性とかあったのですが。
でもそんな菊のいびりスイッチ入れたトリガーが実母(梨江さん)の来訪、大好きな妹(あさ)の来訪ってのが余計に辛い。


はつは閉じ込められたまま、第3週は終わり。
「蔵はいつ?」と思いながら祝言、待たせたな、五代、金貸せや、初夜など笑いながら観てきたけど、週またぎで挟んでくるとは。
はつのところだけ『あまちゃん』の132回終わって133回の予告(震災の予告)を観ている気分だ。



■対比構造


何度か触れていますが、姉妹が徹底的に対比構造して描かれます。
登場人物の言動で対比をあらわすのは言わずもがな、一瞬見落としそうな風景一枚でも対比をねじ込んできます。
土スタで「行間を読め」って言ってた近藤さんの言葉は、こういうことでもあるのかもしれません。

例えば。

 

手入れの行き届いた加野屋のお庭と、草生え放題の山王寺屋の庭。

あさの意見を取り入れて新しい風に乗りそうな加野屋と、実情をひた隠しにする山王寺屋。


 

店に積極的に出入りして仕事を手伝うあさと、1人奥で琴を弾いているはつ。

外にも自由に出かけられるあさ、表には出してもらえないはつ。

自ら蔵に入って現金を確かめたあさ、「店に出るな」と言われたことに口答えしただけで蔵に閉じ込められたはつ。

「お家を守る」あさ、「お家の商いに口を出さない」はつ。


蔵のカギを自ら開けた新次郎、開けたくても開けられない惣兵衛。

蔵で兄とかくれんぼして遊んでいた新次郎、これは予想だけど多分折檻で閉じ込められていた惣兵衛。

新選組から嫁を守ろうとした新次郎と、母親に逆らえず嫁を助けることのできない惣兵衛。



明暗と陰陽の見事な対比です。
台詞と台詞の間、行間を読むってこういうことなのかもしれないなあ。




「若い者をようしつけ、無体に罰してはあきまへん」

加野屋の朝礼のこの言葉。何かもっと意味があるのかもしれませんね…





■予告にて。




来週は井戸……。
はつは何を持ってるの……。

 

 






■幕末という「時代」




時代(考証)の見せ方のうまさ。。
水売りや両替商の朝の風景に驚くあさを描くことで、大坂と京都の違いを描く。



パチパチはんも含めて、小道具が生きている。
それを使っている人の息を感じる。



大阪堂島米会所、1730年に作られた世界初の先物取引市場。
手形のみで年貢の買取をする、商売の町・大阪の原点。



台詞の中で語られる時代。

時代は違えど、テレビの中でも、「息」を感じます。
川沿いの様子、米会所の様子は昔話ではなく、その延長線上に現代があるということを感じさせる。
それぞれが本当に生きているような、本当にそこにあるようなリアリティ。

そんな背景を背負ってるから、あさやはつが『幕末の昔の人』ではなく、『大阪の新婚さんたち』くらいの近さに感じる。
だからこそ感じる物語そのもののリアリティ。

製作陣の心意気がかっけー。




■やっちまった。



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